魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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第44話 スカさんからのお願い
「おおーっ!!ラスボスのダンジョンみたい!!」
ライが興奮ぎみに叫ぶ。
あながち間違いじゃないけど…………………
俺達有栖家は夏休みに里帰りするフェリアと共にスカさん家に遊びに行くことにした。
前回の移動が複雑だったのを踏まえ、朝早めに来たのだが…………
「ふぁ〜あ。で、なんで俺達も?」
「そうよ」
「お前らな……………」
桐谷はあくびを、加奈はだるそうに言う。
そして今回桐谷と加奈もスカさんの家へ連れてきた。
この先何があるか分からないし、この世界のスカさんを信じていないわけではないが、もし敵になった場合に顔ぐらい分からないと困るだろうと思ってだ。
なのに当の本人たちは無関心である。
「フェリア、セイン達は?」
「おそらく皆ホールにいると思う」
「よし、それじゃあ早く…………」
「待て」
俺は先に行こうとしたライの首根っこを掴む。
「ぶぅ〜何すんだよレイ………」
「何って、お前場所分かるのか?」
「あっ………」
その場にいた全員がため息をついたのは言うまでもない……………
「ライ!!」
「セイン!!」
二人は顔を合わせた瞬間抱き合った。
フェリアの案内でホール(リビング)に来たが、そこには本を読んでいたセインがいた。
「……………大きくなった?」
「うん?身長は伸びてないよ。ブラジャーは新しいのを買わなくちゃいけなくなったけど…………」
それを聞いた女性陣(有栖家の面々と加奈とセイン)の顔が………
ライめ、また余計なことを。
「皆さんよく来ましたね」
「こんにちはウーノさん」
台所にいたウーノさんがこちらに来て挨拶をした。
「初めまして、有栖星です」
「有栖ライだよ」
「有栖夜美だ、よろしく頼む」
「佐藤加奈です、よろしくお願いします」
「加藤桐谷だ、よろしく頼むな」
そう言った桐谷をウーノが見た。
「何か?」
「あなたがあの赤いロボットの操縦者?」
「ロボットの操縦?」
「あれはあなたが操っていたのではないのですか?」
「あれは、えっとバリアジャケットだっけ?あれみたいなもんですよ。さしずめ“バリアアーマー”って所ですかね」
「アーマー…………だからあんなに硬いのね。ということは零治君の黒の亡霊も………」
「まぁコイツの言ったバリアアーマーって呼んだほうがいいっすね」
俺の場合は色々面倒な所があったりするけど………
俺のアーマー、ブラックサレナとアーベントはダメージが限界を超えると、本人の意思とは関係無く、勝手にアーマーが消え、再び再展開するのに時間がかかってしまう。
防御が硬いからと言って調子に乗っていると勝手に解除される場合があるので油断出来ない。
そんな話をしていると………
「チンク姉、レイ兄、星姉、ライ姉、夜美姉、加奈姉、桐谷兄」
俺達の後ろから名前を呼ぶ声が聞こえた。
この声はウェンディだな。
「あっウェンディ、お久しぶ…………」
星はそこまで言って固まった。
「どうした星?」
固まった星に夜美が声をかけた。
とその時、
「きゃああああああ!!」
星の叫び声がスカさんのリビングに響く。
星の目の前には緑色の半魚人がいた。
「レ、レイ〜!」
星は涙目になりながら、俺の後ろに隠れた。
「は、は、は、半魚人が!」
「星、恐らくウェンディだぞ……………」
夜美は呆れながらも冷静に言った。
「えっ!?ウェンディ?」
「ちぇ、やっぱ夜美姉にはお見通しっスか〜」
半魚人はそう言って頭を取り始めた。
「頭が取れた〜!!!」
俺の腕に泣きつく星。
「落ち着けって!ウェンディなんだよ!!」
「ぐすっ、でも恐いんだもん…………」
ヤバい、凄く可愛いんだけど。何この生物。
で、結局………………
「ごめんなさいっス、少しやり過ぎたっス…………」
「全くです………グスッ、もうあんなことしないでください」
俺の服の袖を掴んだまま、目の赤い星は説教をしていた。
いつもの感じはなく弱々しい。
(星姉可愛いっス。)
「聞いてますか、ウェンディ?」
「バ、バッチリっス。星姉は萌えるっス!!」
笑顔でサムズアップするウェンディ。反省のはの字も無い。
「今の星じゃ、いくら説教しても迫力が無いな」
「今度から星を驚かせれば、説教も優しくなるんじゃないかな?」
「ライ、そんなことしたら俺が代わりに説教な」
「うっ………」
「あれ、チンク姉?それにみんな?今日だったっけ?」
「久しぶりだな、ノーヴェ」
星も落ち着き、リビングでのんびりとし始めた頃、ノーヴェが部屋に入ってきた。
「ノーヴェ、他のみんなを見ていませんか?」
「見てないぜ、みんなまだ部屋だと思うよ」
「ならお客様が来ているのだから挨拶ぐらいさせないと。皆を連れてくるわね」
そう言ってウーノさんは部屋を出ていった。
「ノーヴェ、早くこっちに来るっス!みんなで狩りに行こうぜっス!!」
CMみたいに誘うウェンディ。
「分かったから、PSP取ってくるからまだ始めるなよ」
今度はノーヴェも自分の部屋に戻る。
「なぁ零治…………」
「何だ桐谷」
「何であんなに馴染めてるんだ?」
俺、桐谷、加奈、星は大きなテーブルの椅子に座り、はしゃいでるライ達を見ていた。
「私、こんな変な場所怖いわ…………」
まぁ加奈の反応が正しいよな。稼働してないとはいえ、不気味だし。
ここだけ普通の部屋って言うのも不気味だよな………
いっそのこと建て替えろよスカさん………
ライだけはテンションが違かったけど……………
「うぅ…………」
「星、まだ駄目か?」
相変わらず俺から離れない星。
「すみません、もう少しこのままで…………」
「まぁ構わないけど…………」
加奈の視線がものすごくキツイんですよね………
「やあ、いらっしゃい」
と、そんなときスカさんがやって来た。
紫の髪をしたロリっ子を連れて………
「スカさん、アンタやっぱりロリコンだったか………フェリアを造った辺りから怪しいと思っていたが………」
「何か勘違いしているようだが…………この子はルーテシア」
「ルーテシア・アルピーノです……………」
ルーテシアって………………
ああ!!バカでかい虫を召喚したり、なんか虫の要素を感じないガリューだっけ?を召喚する虫大好き少女だったよな。
「俺は有栖零治だ。よろしくな、ルー」
「あなたがレイ兄?」
「ん?ウェンディにはそう言われてるけど」
「ウェンディがよく話に出す…………」
「…………何か嫌な予感しかしない」
「小さい子が好きだから気を付けろって…………」
「ウェンディ!!!」
俺はウェンディに制裁を与えるため、レアスキルでジャンプした。
「初めて直接見たが、やはり便利なレアスキルだね」
「遠距離は流石に無理だけどな」
あの後、俺はウェンディにお仕置きをし、今、とても爽やかな気分になっている。
俗に言ういい仕事をしたなぁって感じである。
「ジェイル」
「ああ、すまない。さっきも言うようにここの羽の部分にもブースターをつければいくらか安定すると思うんだけどね」
「羽ではないのだが………それに、これ以上重量が増えると更に操るのが難しそうだ」
「要するに今使っている物で安定させて欲しいってことだね?」
「ああ、出来るか?」
「面白いね、やらせてもらうよ。先ずは………」
普通に馴染んでるな桐谷………
加奈と星はウーノさんと話が弾んでるみたいだ。
ルーはウェンディ達の所へ行ったようだ。
「っとそうだ、零治君、頼みがあるんだが………」
「何?」
「ルーテシアの事なんだが…………」
そう言ってスカさんは俺にメガーヌさんの話をし始めた。
「なるほどね。スカさんも心を入れ替えたってことか」
「だけど、目覚めさせるのに必要な物があるんだ」
ああ、成る程。
「それを取ってきて欲しいってことか」
「その通り。すまないが………」
「それくらい構わないさ。………でもナンバーズに行かせても良かったんじゃないか?」
「ナンバーズには別にやってほしい事があるのでね」
「ナンバーズにね…………」
俺はそう言ってセイン達を見た。
「ライ行ったよ!!」
「任せて!!」
「うわっ!?ルー!そっち行ったっス!!」
「任せて、これで決める…………」
「ノーヴェ、そっちにいたか?」
「ううん、こっちには居ないよチンク姉。夜美は?」
「こっちもいないみたいだ」
「これでな…………」
遊んでばっかりじゃないのか?
前に来たときもウェンディ達は遊んでいたような………
「彼女達じゃないよ。トーレ、クアットロ、ディエチさ。彼女たちにはまだ早いからね」
まぁあんなんだからな………
何するか分からないけど、ウェンディなら100%失敗するところしか思い浮かばない。
「ふ〜ん。まあいいや。何処に行けばいいんだ?」
「第6管理世界のアルザス地方さ」
「で、何でお前らまで来てるんだ?」
「いいじゃない、手伝ってあげるんだから感謝しなさい」
「頼んでないし」
「いいじゃないか、俺にとってもジェイルが作ってくれたプログラムを試して見たいし」
「いや、戦闘になるとは限らんし」
「わ、私はレイがいないと不安で………」
「星、お前はそんなキャラじゃないはずだ!」
うる目で懇願する星。
俺を萌え死にさせる気か…………
今の会話で分かる通り、星、加奈、桐谷が付いてきた。
ここは一応管理世界なので管理局員も少なからずいるはず………
せめて星と加奈は帰ってもらいたかったが、星を見て折れた。
まぁ心配しすぎか。
只今俺達はアルザス地方にある大森林の中を歩いている。
探しているものは光蓮花と呼ばれる花で、白く透き通った花で、暗い洞窟の中で光輝くらしい。
それを探しに来ているのだが…………
「砕氷刃!」
氷の刃で茂みから出てきた大きな蜘蛛をバツの字に斬り付けた。
「何でこの世界は生物が大きいのよ!!」
フェアリーを操りながら加奈が叫ぶ。
加奈が叫ぶのも分かる。何せ襲ってきた生物が大体3メートル以上なんだよ。
俺でも叫びたくなるわ。
しかも…………
「どけっ!!」
ヒートホーンで近づいてきた巨大カブトムシを桐谷が吹っ飛ばす。
今俺達は大量の虫に囲まれている。それを相手にしてるのは俺と桐谷。
星と加奈は後衛でバインドとフェアリーによる攻撃で敵を抑えている。
星の魔法だとどうしても爆発で目立つのでバインドのみ。
桐谷もクレイモアは禁止。爆発音が響くからな。
派手に戦うと管理局員が来るかもしれないし。
だけど………
「ったく、切りがない」
「レイ、どうします?」
星が虫たちにバインドを多重にかけ、虫たちを動けなくする。
「仕方ない、前方の虫を吹っ飛ばして逃げるぞ!」
「それしかないか…………」
「また走るの!?」
「加奈、文句を言うな!!星頼む!!」
「分かりました、皆さん道を開けてください!!」
ルシフェリオンを前に構え、星が言う。
「ブラストファイヤー!!」
星の砲撃が虫の大群に一直線に伸びる。
それにより虫達は吹っ飛び、目の前に一直線の道ができた。
「みんな行くぞ!!」
俺たちはその道をダッシュで進んだ。
「ふぅ、なんとか逃げ切ったな…………」
俺たちはあのまま虫たちを振り切り、綺麗な湖に出た。
日差しが湖に降り注ぎ、綺麗さを更に引き立てている。
「もうへとへと………」
加奈はその場にへたり込んだ。
「私も少し休みます………」
星もその場に座る。
やっぱり女の子にはキツかったかな………
「俺、少しこのへんの様子を見てくる、桐谷その間頼むな」
「ああ、気を付けてな」
俺は湖の周りを歩きだした。
「静かだな」
俺は歩きながら湖を観察していた。
「綺麗だ」
そんな感じで少し油断していたんだろう。
「おわっ!?」
いきなり茂みから何かが現れ、俺にぶつかった。
いつもなら警戒してぶつかったりしないのだが……………
だが、その衝撃は弱く、逆にぶつかったほうが軽く吹っ飛んだ。
「痛た………」
ぶつかった所をさすりながら俺はぶつかってきたものを見る。
どうやら虫ではないようだ…………って!!
「人間!?」
そこには気絶したピンク色の髪の毛の女の子と小さな白い竜がいた…………
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