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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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504部分:第四十話 曹操、華陀に会うのことその九


第四十話 曹操、華陀に会うのことその九

「けれど駄目だったのよ。何を食べてもね」
「ううむ、そうだったのか」
「すぐにして欲しいしそれは駄目だったの」
「そうか。なら食事療法は駄目だな」
「私としても残念なことにね」
「わかった。ならだ」
「なら?」
 華陀の言葉を待つ。その彼の言葉はこうしたものだった。
「いっそのこと腹を切るか」
「えっ、お腹を!?」
「そうだ、腹をだ」
 華陀は自分の右手でその自分の腹をさすりながら言うのだった。
「切ってだな。出すのだ」
「な、何言ってるのよ」
 曹操は飛び上がらんばかりになって華陀に言い返した。
「そんなことをしたら死んじゃうじゃない」
「曹操殿、注意して欲しい」
「んっ、何になの?」
「見えているぞ」
 話を少し入れてきたのだった。
「今日は黒か」
「し、しまったわ」
 我を失って飛び上がってしまってだ。見せてしまったのだ。
「こ、これはその」
「安心しろ、医師として患者に服を脱いでもらう時は多い」
「それでどうしたのよ」
「別に下着を見てもどうとは思わない」
「そうだというのね」
「だから安心してくれ」
「それはそれで問題じゃないの?」
 曹操はとりあえず自分のスカートを下げてそのうえで座りなおしてからまた華陀に対して言うのだった。対象ではないとはいえ見せて恥ずかしかったのだ。
「私の下着を見て何も思わないって」
「何もとは何がだ?」
 華陀は曹操の今の言葉にきょとんとさえなる。
「何がどうしたんだ?」
「ああ、それはもういいわ」
 華陀が本当に鈍感なのがわかったもう言わないことにしたのだ。
「もうね」
「いいのか」
「ただ。貴方どうも生涯の伴侶は得られそうにないわね」
 いぶかしむ目での言葉だった。
「顔はいいのに」
「ははは、俺はこれでも百年生きているからな」
「そんなに生きていたの」
「俺の医術を自身にやってだ。それでそれだけ生きているのだ」
「仙人じゃないわよね」
「近いかもな」
 このことを否定することはなかった。
「だから伴侶とかはな」
「そうなのね」
「そういうことだ。それでだが」
「ええ。お腹を切って大丈夫なの?」
「俺の調合する薬がある」
 華陀は明るい笑いと共に話してみせる。
「それを飲んで眠れば起きた時にはだ」
「お腹が元に戻っているの?」
「切って中のそれを取り出して縫ってだ」
「それで終わりなの」
「後で糸を取って終わりだ」
 そうだというのである。
「これはどうだ?」
「それで大丈夫なの?」
「ああ、腹を切ってか」
「まずはそれよ」
 曹操が気にしているのはやはりこのことだった。
 
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