終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?赤き英雄
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太陽の傾いたこの世界で
走る黒猫と灰色の少女
「さっきのチビ猫が持っていたもんだ。こいつを追ってたんだろ?」
こくこく、と二度もうなずいていた。
「あり、がとう」
戸惑いながら、両手で包み込むようにしてブローチを受け取った。
「この辺りは初めてか?」
少女は再びうなずく。
「……そうか。なら俺が案内出来るはんいんならしてやる」
カイトは自分のマントをはぎ取ると有無をいわさずに少女の頭におっかぶせた。
フードが外れ、彼自信の風貌が周囲に晒される。
肌にまとわりつくような視線とざわめきが今度は、カイトに向けられる。
「え……」
自分で自分の姿を見ることはできない。けれどもちろん、カイトは自身の姿をよく知っている。だから、周囲の者たちがそして目の前でマントをかぶって呆然としている少女がいま何を見ているのかを、よく理解している。
ツンツンの紅の、髪、赤い瞳している。
あまり珍しい色だ。成人男性。
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