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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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5部分:第一話 関羽二人の少女と会うのことその五


第一話 関羽二人の少女と会うのことその五

「あります」
「そうか。ならいい」
「路銀は笛を吹いて」
 そうするというのである。
「それで貰っています」
「貴殿笛が吹けるのか」
「はい、これです」
 言いながらその横笛を出してきた。そのうえで言うのであった。
「これを吹いてそれで」
「そうしているのか」
「関羽さんはどうして路銀を手に入れておられますか?」
「それはだな」
 ここでバツの悪い顔になる関羽だった。
「店で働かせてもらったりしてだ」
「そうしてですか」
「そうだ。そうしていつも手に入れている」
 そうしているというのである。
「それでだ」
「そうですか」
「しかし。笛か」
 関羽は顔を上げて言った。
「いい感じだな。私も何かするか」
「何かありますか?」
「歌なら歌えるがな」
 こう言うのだった。
「暫くはそうして路銀を手に入れるか」
「はい、そうしましょう」
 こんな話をしながらそのうえで店に入った。こうして二人で食べてだ。路銀を稼いでそのうえで店の女主人に話を聞くのであった。
「ああ、あの娘達ね」
「そうだ。あれは何なのだ?」
「愚連隊ですか?」
「まあそういうところだね」
 こう答える女主人だった。二人は今はラーメンに炒飯、それと水餃子を食べている。そういったものを食べながら話をするのだった。
「けれどね」
「けれど?」
「何かあるんですか?」
「前はああいう娘じゃなかったんだよ」
 女主人が残念そうに首を捻って述べた。見れば恰幅がよく人のよさそうな感じである。その彼女が気さくな雰囲気で話をするのであった。
「昔はね」
「というと」
「どんな娘だったんですか?」
「やんちゃだったけれど素直な娘だったんだよ」
 そうだったというのだ。
「けれどね。親が流行り病で死んでね」
「そうして孤児になったのか」
「それからは」
「ああいう風になったんだよ。鈴々山賊団なんて名乗ってそのうえでああして街で悪さをするようになってね。この前なんてねえ」
 女主人の話は続く。
「県長さんのお屋敷の壁に派手に落書きをしてね。それで県長さん怒っちゃってね」
「県長さんが?」
「それで怒られたんですね」
「かなりね。それで怒ってね」
 そう話すのだった。
「もう兵を集めて。そうしてね」
「それでどうなった?」
「兵を集めるなんて只事ではないですけれど」
「いや、捕まえて牢屋に放り込んでやるってカンカンなんだよ」
 そうだというのだ。
「どうしたものかね」
「ううむ、それならだ」
「いいでしょうか」
 関羽とナコルルは女主人に同時に言ってきた。
「私達に任せてくれないか」
「御願いします」
 こう言ったところでお互いに気付いてだ。顔を見合わせて笑い合うのだった。
「どうやら同じだな」
「はい、一緒ですね」
 そのうえでこう言い合った。
「それではおかみ」
「それでいいでしょうか」
「まあねえ。あの娘も悪い娘じゃないしね」
 その娘をよくわかっていという言葉だった。
 
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