ハイスクールD×D/EXTELLA
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戦闘校舎のフェニックス
棟夜VSフェニックス眷属
棟夜side
目を開けると、そこは駒王学園の運動場だった。
「よく来ましたわね。人間さん」
離れた先ではライザーを抜きにした眷属がいた。全員が俺に敵意を向けてきている。
パーティの服装から一誠たちと戦った同じ服装に変わっていた。
「まさか本当に一人でくるなんて驚きましたわ。中々来ないものでしたから、ビビッて逃げ出したのかと思いましたの。その潔さは嫌いじゃありませんけど、まさかあなた、本当にお一人で私たち全員を倒す気でいらっしゃいますの? オホホホ、愚かですわね! お仲間がいれば少しは楽に倒せたかもしれないのに・・・」
」
・・・ベラベラベラベラよく喋んなコイツ。喋らないといけない病気にでもかかってるんじゃないか?
「もし今ここで謝罪し許しを請うなら、私がお兄様に許してもらえるよう頼んであげますけどッ」
「うるせぇよ。ベラベラ喋ってないでとっとと始めよぅぜ」
手招きして挑発すると、レイヴェルが頬を引きつらせる。
「・・・いいですわ。もうあなたには何も言いません。あなたたち! あの人間を徹底的に叩きのめしてやりなさい!!」
レイヴェルが命令すると、レイヴェル以外の眷属が俺を取り囲む。ユーベルーナは宙に浮かんでこちらを見てくる。
「ちょい待ち!」
そう言い懐から二枚の布を取り出して目隠しをして、さらに片腕を布で腰に固定する・・・よし、しっかり固定されてるな。
「一体何のおつもりかしら?」
「ハンデだよ。ハ・ン・デ。今から20分間、好きに攻撃してきていいぞ。その間、俺は攻撃しない。20分立てば俺も動くが。一発でも俺の体か頭にぶち当てりゃ、俺はそこでリザインを宣言してやるよ」
「・・・それは私たちの相手など眼中にない、そう仰られたいのですか?」
「そりゃそうだ。お前らなんざ本気で相手にするわけないだろう? ホラこいよ」
手招きし挑発すると、敵意が幾分か増した。まぁ、コイツらプライド高そうな奴ら多そうだしな。
「その言葉、そっくりそのままお返しいたしますわ! 行きなさい!!」
「ライザー様への悪口は許さない!」
「「バラバラにする!」」
まず最初に、棍棒使いのミラとチェーンソーを持った双子イルとネルが突撃してきた・・・正直言って、イルとネルは振り回すだけでまったく当たらず、ミラは頭部や腹部を狙ってくるだけで避けるのに造作もない。
ん? 不意に背後から魔力が飛んでくる。確かあそこにいるのは・・・兵士のシュリヤー、マリオン、ビュレントだったか。隙を突いて狙ったんだろうけど。
「無意味だ」
魔力で足を強化し、飛んできた魔力を蹴り落としお返しに短剣を指の間に3本投影し投げつける。
「うっ!!」
「こっちは背後をとっているのよ!」
「どうして正確に投げられるの!?」
声を上げる3人。どうやら直撃したようだ。相手の位置さえ覚えていれば、当てるのに造作もない。
「「「「ハァーーッ!!」」」」
「「ニャニャッ!!」」
今度は戦車の雪蘭とイザベラ、騎士のカーラマインとシーリスに兵士の獣人ニィとリィが一斉に飛び掛ってくる。
雪蘭は足を主体としたクンフーに、攻撃が重いイザベラとシーリスが見事な連携・・・いや。イザベラとシーリスの隙をなくす様にニィとリィ、カーラマインが合わせてるのか。
・・・でもまだまだだな。これなら俺の親父や師匠のほうが早いし怖かった。この程度の攻撃じゃ俺に傷をつけるのは不可能だ。
残った片腕で捌き、合気の要領で投げ飛ばす。
「クッ! なぜ攻撃が当たらない!!」
「こっちは5人で攻めているんだぞ!?」
そりゃぁ風きり音や筋肉の音、呼吸で次の行動がわかるからね。俺には当たらんさ
そして・・・。
「ほぅ!」
大きく飛び上がり後方に下がると、さっきまでいた場所が爆発した。ユーベルーナの仕業か。
「チッ」
舌打ち、杖を握り締める音が聞こえた。テメェの不意打ちを食らうほどバカじゃねぇよ。
残りは後10数分ほどかな? ま、頑張りますか。
20分後。
「「「「「「「「「「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」」」」」」」」」」
「ファ~~。やっと終わったか」
息を乱しているフェニックス眷属とは対称に、目隠しと腕を固定していた布を取った俺は欠伸を噛みストレッチをしている。
「なにをしていますの!! 相手は一人、こちらは十四人! 倒すのにどれだけ時間がかかりますの!? 早く倒してしまいなさい!!」
レイヴェルが痺れを切らしたかのように声を上げる。なら傍観しないで戦えよ鳥娘が・・・まぁ時間も過ぎたことだし、終わらそうか。
「悪いが、お前らにはここから退場願おう」
大きく深呼吸し、目を閉じ詠唱する。
「I am the bone of my sword. Steel is my body, and fire is my blood I have created over a thousand blades.」
すると、徐々にだが学校の風景が変化・・・侵食されていく。
「こ、これは一体!?」
「異空間が変わる、いや。飲み込まれているのか!?」
「Unknown to Death Nor known to Life. Have withstood pain to create many weapons. Yet, those hands will never hold anything. So as I pray, “unlimited blade works”」
詠唱し終えると、すでにそこは学校の運動場ではなく、数え切れないほどの剣が突き刺さった荒野。空には巨大な歯車がひしめいている場所だった。
「な、何ですの、ここは?」
「さっきまでいた場所とは違う」
急な変化に動揺を隠せない眷属たち。ユーベルーナさえ驚愕している。
「神髄を見せよう」
右手にシーリスと同じ大剣を投影し横なぎに一閃、木場の光喰剣と炎凍剣を両手に持ち連続で斬りつけ、大きく飛び上がりゲイ・ボルクを投げつける。
「全部持って行け!!」
最後に腕を振りかぶると、地面に突き刺さった剣が浮遊し空を覆うほどになり、腕を眷属に向けると、遥か上空から無数の剣が豪雨のように降り注ぎ大爆発を引き起こす。
世界が元に戻ると、地べたには眷属が全員傷だらけで倒れている。
『ライザー・フェニックス様の女王一名、騎士二名、戦車二名、兵士八名、僧侶一名、リタイア』
グレイフィアさんのアナウンス直後、体が光に包まれて消えていく。まずますかな・・・一名を除いて。
「ハァ、ハァ、ハァ。あ・・・あなた。本当に人間ですの?」
すでに満身創痍といっても過言じゃないほどボロボロのレイヴェルだったが、徐々に傷が消えていったが、顔に疲労が出ている。
「至って普通の人間だが?」
特典さえ除きゃな♪
「冗談を言わないでくださる!? お兄様の眷属は皆かなりの実力者!! リアス様の眷属でさえギリギリの戦いだったのにも関わらず、あなたは疲れるどころか・・・余裕を持って戦っていたではありませんか!!」
「まぁね。少なくとも今のお前に答える義理はないさ。それじゃ、俺は先を急ぐのでさいなら」
背を向け手を振り校舎へ向かおうとしたが・・・その必要はなかった。何せ。
「レイヴェル!!」
「お、お兄様!?」
敵大将が直接、来てくださったのだから。
一誠side
試合前に挨拶を済ませた俺たちは観客席に移動した。観客席の中央には、何かの魔法陣を介して中継を映しているスクリーンに似たものがある。悪魔って異空間も作れちゃうしすげぇな。
俺たち以外にも貴族悪魔たちが座っているが・・・正直胸糞が悪い。
「人間がライザー様に勝負を挑み、なお魔王様に要求をするなど・・・なんと愚かしい」
「まったくですな。そもそもなぜ人間がリアス様のために戦うのか見当がつかん。よほど欲深い人間に違いありませんな」
「やはり人間は愚かな生き物ですな」
「「「「ハハハハハ」」」」」
ッ、好き放題言う貴族悪魔。棟夜の実力を知らないくせしてペラペラ話しやがって!
俺は痛いほど拳を握りしめた。そうしないと殴りそうだからだ。
「部長」
木場の言う通り、ドレス姿の部長が俺たちの方へ来ていた。部長も棟夜と挨拶をしたのかな。
「ここにきても大丈夫なんですか?」
てっきり、魔王様たちと同じ場所で見るのかと思ってたけど。
「ええ。やっぱり私にはここが一番だから」
そう言い笑う部長。でも・・・何時もとは違う笑いだと俺は感じた。絶対勝てよ、棟夜! 俺たちの分まで頑張ってくれ!!
フィールドは駒王学園の運動場だった。そこにはすでにライザーの眷属がすでに待機していて、少し遅れて悠が転移されてきた。
『よく来ましたわね人間さん』
悠が来た途端に喋り出すレイヴェル。ペラペラ話すレイヴェルだが棟夜は完全に呆れた視線を向けていた。
『うるせぇぞ。ベラベラ喋ってないでとっとと始めよぅぜ』
と言いうと、レイヴェルと兵士三人以外の眷属が棟夜を囲むように円陣を組んだ。ユーベルーナは相変わらず空から見ていやがる。
今にも飛び掛ろうとした時、いきなり棟夜が目隠しと片腕を布で腰に巻きつけた! 何してんだアイツ!?
『ハンデだよ。ハ・ン・デ。今から20分間、好きに攻撃してきていいぞ。その間、俺は攻撃しない。20分立てば俺も動くが。一発でも俺の体か頭にぶち当てりゃ、俺はそこでリザインを宣言してやるよ』
軽い口調で話し挑発する棟夜に、相手は憤怒の表情を浮かべる。いくら腕が立つからって無謀にもほどがあるだろう!!
レイヴェルが眷属に命令を下すと、俺が戦った双子と棍棒使いが飛びだした。目隠しをしているはずなのに、当たることはなく余裕といった感じで躱し続け、飛んできた魔力を足で蹴り壊して短剣を投げつけ、今度は雪蘭とイザベラ、カーラマインとシーリスに猫獣人ニィとリィの攻撃も腕一本で捌き続けて、女王ユーベルーナの不意打ちもまったく当たらなかった。
そして20分が経過した。結果は棟夜が逃げ切り、レイヴェル達は攻撃を当てることができなかった。
すげぇ。本当にやりやがった。
目隠しと布を外した棟夜はストレッチ後、深呼吸し目を閉じ
「I am the bone of my sword.」
何かを詠唱し始めた。これって、英語か?
「Steel is my body, and fire is my blood I have created over a thousand blades.」
すると、棟夜たちが戦ってる異空間に変化が生じた!! 学校の運動場の奥、棟夜の背後にあるプール側から風景が変わっていった!!
「Unknown to Death Nor known to Life. Have withstood pain to create many weapons. Yet, those hands will never hold anything. So as I pray, “unlimited blade works”」
言い終えると同時に、異空間の風景が変わっていた。学校から焼け果てた荒野に数えきれないほど突き刺さった剣。空には巨大な歯車が覆っている。
何だよアレ、異空間内の風景が変わるなんて。
『神髄を見せよう』
手にはシーリスと同じ大剣を持って横なぎに一閃、木場と同じ光喰剣と炎凍剣で連続で斬りつけた後、大きく飛び上がるとあの紅い槍、ゲイ・ボルクを投げて最後に腕を振りかぶると地面に突き刺さった剣が浮かび上がって、振り下ろすと剣が凄い勢いで眷属に向かって飛んで行って大爆発を起こした。
煙が収まると、そこは元の学校の運動場に戻っていた。そこには相手眷属が全身傷だらけで地面に倒れていた。ユーベルーナも一緒だ。
『ライザー・フェニックス様の女王一名、騎士二名、戦車二名、兵士八名、僧侶一名、リタイア』
アナウンス後、体が光りだしフィールドから消えていった。
ただレイヴェルだけは、リタイアしていなかった。あれだけの攻撃されていても直ぐに傷が治っていた。でもその顔には疲労が見えていた。
『ハァ、ハァ、ハァ。あ・・・あなた。本当に人間ですの?』
『至って普通の人間だが?』
『冗談を言わないでくださる!? お兄様の眷属は皆かなりの実力者!! リアス様の眷属でさえギリギリの戦いだったのにも関わらず、あなたは疲れるどころか・・・余裕を持って戦っていたではありませんか!!』
レイヴェルの言うことは一理ある。ライザーの眷属はみんなが強かった。イザベラと戦ってたときだって、神器の新しい力がなきゃ俺も木場も、小猫ちゃんも負けてたかもしれない。なのに棟夜は一人で倒した。人間なのかって疑うのは当然かもしれない。
棟夜がレイヴェルに背を向け校舎に向かおうとしたが、ライザー本人が直接出てきやがった。
幾つか言葉を交わすと、ライザーが炎を纏って突撃した。
棟夜side
「下がってろレイヴェル。こいつは直接俺が叩き潰す」
「で、ですがこの人間はっ」
「口答えするな。こいつの強さは見せてもらった。今のお前じゃ勝ち目なんざない。戦いの邪魔にならないところに行け」
悔しそうな表情を浮かべた後、俺をひと睨みし炎を翼を生やし上空へ移動した。
「貴様、前にあった時から気に食わん人間だと思っていたが、俺の眷属を倒したところ、少しは腕が立つようだな」
「それで? 何か褒美でもくれるのかい? それとも、潔くリザインでもしにきたのか?」
「フッ、眷属を倒したからと言って調子にのるなぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
-ゴオォッ-
ライザーが吼えると、全身を炎が包み込んだ。ってかアッツ 火傷しちまうよ!
「貴様は骨すら残さず消し炭にしてやろう!!」
「消し炭になるのはゴメンだね!」
高速で飛来し殴りかかってくるライザーを飛び越え弓と黒鍵を投影し、弦を限界まで引き絞り、放つ。黒鍵は尋常じゃない速さで飛んでいきライザーに突き刺さるが、次の瞬間黒鍵が跡形もなく溶けた。
チッ、効果なしか。一応魔力で強化してたんだけどなぁ。
「そんな玩具で俺を倒せると思っているのか!?」
「さぁな!!」
次々と黒鍵、他にも剣や刀、槍を投影し放っていくがことごとく壊され距離を詰められる。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄―ッ! 貴様の攻撃が通用しないと解らんのかー!!」
クソ! 殴りかかってきたのを咄嗟に干将・莫耶で受け止めたが。
「グッ! ガハッ!!」
ゴン! と頭突きを食らい、続けざま殴られた。倒れこむ直前で地面に手をつき体制を整え両足で着地する。
・・・ッ。口ん中切ったな。鉄の味がする。
「どうした? 貴様の力はその程度じゃないだろう?」
不敵笑みを浮かべるライザー。ムカつく笑み浮かべやがって。
斬りかかろうとするまえに、俺は聞きたいことがあった。
「少し聞きたい。何故そこまでリアスと結婚したがる?」
「ふん! 下賤な人間に教えるのは癪だが、特別に教えてやろう。俺とリアスは先の大戦で生き残った数少ない純血悪魔だ。純血悪魔の血を絶やさないために、この婚約は悪魔の未来がかかっている重要なことだ」
悪魔の未来ねぇ・・・。
「でも数少ない純血悪魔でも、他にいるんだろう? 純血悪魔。リアスじゃなくそいつ等と結婚すりゃよくねぇか? 純血を絶やさないならそれでいいじゃんよ。リアスに拘る理由はなんだ?」
他と言ったらソーナ位だな・・・絶対に断ると思うけど。
「分っていないな人間。リアスは『グレモリー』家だからだよ」
・・・なるほど。
「ああ。漸く理解したわ・・・テメェが正真正銘の最低クズ野郎だってな!!」
-ゴシャッ!!-
「グアァッ!?」
俺の拳が頬にめり込み、吹き飛んで倒れこむ。
「き、貴様!」
ライザーが殺気をだして睨んでくるが、そんなことはどうでもよかった。
「リアスが嫌がるのが理解できるぜ。悪魔社会の中じゃ誰もがグレモリー家のリアスと見るのは当たり前だ。だがな、リアスにとっちゃそれはアイツ個人を殺してるんだよ。個人のリアスじゃなく、グレモリーのリアスとして見られるのがな」
一呼吸置いて、俺は続けて話す。
「アイツさ。夢があるんだよ。グレモリーを抜きにしたリアス自身を愛してほしいんだとよ。小さな夢とリアスは言ってが、夢に大きい小さいはないんだ。大切なのはそれを持ち続けることさ・・・まぁ、夢なんざ持ち合わせていないようなテメェには分らんだろうけどさ」
「ええい、黙れ黙れ黙れ! くだらん事を喋りやがって!! ならば貴様はリアスを愛せるとでも言うのか!?」
なんでそうなるのさ・・・。
「さぁな。俺は人間だからな。たとえ一緒にいたとして百年足らず、もしくは病気か事故、これで死ぬかもしれない脆弱な生き物だ。ただ・・・それでも俺は、アイツを助け、守ることは出来るぜ? これは俺が自分の意思で決めたことだ。たとえ相手が魔王だろうが神だろうが、俺は命を懸けてアイツを守ってやるさ」
ってか俺何言ってんだろうな~。何か思いついた事言ってみたけど死ぬほど恥ずかしい。穴があったら埋まりたい気分だぜ・・・まぁそれはコイツを倒してからでいいか。
「そうか・・・ならば今ここで死ねーーーーーッ!!」
空高く飛び上がったライザーは巨大な炎の塊を生み出し、俺目がけて投げつけてきた。
当たったら消し炭どころか、全部消え去るだろうな・・・でも。
「死ぬ気は更々ないんだよ」
-ボゴォォォォォォォォォンッ!!-
一誠side
高速で迫ってくるライザーを飛び上がって回避すると、弓と黒い剣を投影して放った。剣はライザーの体に突き刺さったけど、あっという間に溶けてしまった。普通の武器じゃ相性が悪すぎる!
無駄だと分っていても、棟夜は次々と剣と刀、槍を放っているけど全部壊され距離を詰められた。
殴りかかってきた拳を干将・莫邪受け止めた瞬間、頭突きを食らい殴られた。倒れこむ直前受け身を取って倒れずにすんだ。
『どうした? 貴様の力はその程度じゃないだろう?』
不敵な笑みを浮かべるライザーに、棟夜は話しかけた。
『少し聞きたい。何故そこまでリアスと結婚したがる?』
『ふん! 下賤な人間に教えるのは癪だが、特別に教えてやろう。俺とリアスは先の大戦で生き残った数少ない純血悪魔だ。純血悪魔の血を絶やさないために、この婚約は悪魔の未来がかかっている重要なことだ』
それは部室でも聞いたことだ。純血悪魔の血を絶やさないためにこの婚約は必要だって・・・でも、だからって無理やり婚約させんのはどうなんだよ!!
『でも数少なねぇ純血悪魔でもさ、他にいるんだろう? 純血悪魔。リアスじゃなくそいつ等と結婚すりゃよくねぇか? 純血を絶やさないならそれでいいじゃんよ。リアスに拘る理由はなんだ?』
困惑した表情浮かべた棟夜に対して、ライザーはこういった。
『分っていないな人間。リアスは『グレモリー』家だからだよ』
ッ。やっぱりライザーは部長の事をグレモリーのリアスとして見ているんだ。
『ああ。漸く理解したわ・・・テメェが正真正銘の最低クズ野郎だってな!!』
それを聞いた棟夜は一瞬ポカンとしていたけど、息を吐いた直後駆け出しライザーを殴りたした!!
『リアスが嫌がるのが理解できるぜ。悪魔社会の中じゃ誰もがグレモリー家のリアスと見るのは当たり前だ。だがな、リアスにとっちゃそれはアイツ個人を殺してるんだよ。個人のリアスじゃなく、グレモリーのリアスとして見られるのがな・・・アイツさ。夢があるんだよ。グレモリーを抜きにしたリアス自身を愛してほしいんだとよ。小さな夢とリアスは言ってが、夢に大きい小さいはないんだ。大切なのはそれを持ち続けることさ・・・まぁ、夢なんざ持ち合わせていないようなテメェには分らんだろうけどさ』
部長にも夢ってあったんだな。何時も毅然として凛々しくいるからそういうのは見っていないのかと思ってたけど、普通の女の子と同じ風に夢をもってるんだな。
『黙れ黙れ黙れ! くだらん事を喋りやがって!! ならば貴様はリアスを愛せるとでも言うのか!?』
『さぁな。俺は人間だからな。たとえ一緒にいたとして百年足らず、もしくは病気か事故、これで死ぬかもしれない脆弱な生き物だ』
・・・そうか。何時も一緒にいるから何も感じなかったけど、松本と元浜。父さんや母さに棟夜は人間だから、俺たちより先に亡くなっちまうのか。俺たち悪魔は千年くらい生きるらしいけど、棟夜たちはそうはいかねぇんだ。
いつか来る別れか・・・そう思うと、少し寂しいな。
『ただ・・・それでも俺は、アイツを助け、守ることは出来るぜ? 俺が自分の意思で決めたことだ。たとえ相手が魔王だろうが神だろうが、俺は命を懸けてアイツを守ってやるさ』
不敵な笑みを浮かべながら言う棟夜に目元を引きつらせたライザーは、巨大な炎の塊を作り出し投げつけた!!
『そうか・・・ならば今ここで死ねーーーーーッ!!』
-ボゴォォォォォォォォォンッ!!-
「「「「「「「トーヤーッ(さん)『君』!!」」」」」」」
爆発が画面一杯に映り何も見えなくなった俺たちは声を上げた!!
少しすると、地面が熱で赤くなった地面が映し出された。その中に棟夜の姿が見当たらなかった。
部長やアーシアは両手で口元を覆い涙目だ。朱乃さんも限界まで目を見開いている。子猫ちゃんは黒歌に抱き着いて震えている。
俺と木場はライザーの炎の威力に唖然した。
まさか、負けたのか?
そう思った直後だ。
-ゴォォォォォォォォォォォッ!!-
突然風が吹き荒れて、一つの竜巻を作り出した。竜巻と言っても炎の竜巻だ。そしてその中に人の影が映りこんだ。
影が腕を振り払うと、竜巻が消えて、そこには無傷の棟夜がいた!・・・いたんだけど。
「アイツの服、変わってないか?」
さっきまで紅い外套を着ていたはずなのに、白髪に黄金の鎧を身に纏った姿に黒い瞳から赤と青のオッドアイに変わっている。そして肌も少し黒くなってる。
『ライザー。ここからは少し本気で行かせてもらおう』
そして棟夜とライザーの最後の戦いが始まった。
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