ドリトル先生と悩める画家
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第十一幕その七
二月十日の八条神社での戎祭りに行くのでした。先生はお家から動物の皆にトミーを連れてそうして神社に行きました。
神社には沢山の人が参拝というか遊びに来ていました、様々なお店が出ていて右に左に繁盛しています。
勿論境内もです、お参りで人が一杯いて次から次にお賽銭を入れて手を合わせています。お守りとかも売られています。
先生もお賽銭を入れてです、動物の皆やトミーそれに途中で合流した王子と一緒に手を合わせています。
それが終わってからです、先生は皆に言いました。
「じゃあお賽銭を入れてお願いもしたし」
「出店だね」
「そちらに行くんだね」
「そうしようね」
「それで皆どんなお願いをしたのかな」
王子は微笑んで、です。皆に尋ねました。
「お賽銭を入れて」
「うん、何時までも皆が一緒にいられる様に」
「仲良く健康にね」
「そうなれる様にね」
「そうお願いしたよ」
動物の皆は王子に口々に言いました。
「そうしたよ」
「やっぱり皆仲良くいたいからね」
「先生と一緒にね」
「そうしたいからね」
「僕もだよ。ただ僕はね」
王子の場合はといいますと。
「自分の国のこともお願いしたよ」
「そうだよね、王子はね」
「将来王様になるから」
「自分の国のこともお願いしないとね」
「やっぱり駄目だよね」
「うん、さもないとね」
王子はさらに言いました。
「王様になる資格がないよ」
「国のことを思わないとね」
「どうしてもだよね」
「王様にはなれないね」
「いい王様には」
「そうだよ、王はその国の為に全てを捨てて働かないといけないんだ」
王子は強い言葉を出していました、これまで以上に。
「日本の天皇陛下やイギリスの女王様だってそうだね」
「あの方々は凄いね」
「どちらの方もね」
「国家の為にね」
「全てを捧げておられるね」
「僕はタイの前の王様も凄いと思うし」
先生はこの方のお名前も出しました。
「日本の明治、昭和両帝もね」
「そうだよね」
「あの方々はね」
「非常にだよね」
「君主としてのお手本である」
「そうした方々だね」
「質素であり民のこと、国のことを何よりも考えておられた」
明治、昭和両帝がというのです。
「そうした方々だよ」
「そうだよ」
「本当にね」
「あの方々は」
「ああした君主になりたいよ」
王子の切実なお考えでした。
「あの方々みたいにね」
「さもないとだよね」
「王様にはなれないね」
「ちゃんとした王様には」
「そう思うよ、だからお願いしたんだ。ただお願いするだけじゃなく」
さらに言う王子でした。
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