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ハイスクールD×D/EXTELLA

作者:edjigboj
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戦闘校舎のフェニックス
  絶賛決戦中!

棟夜Side
一誠たちは一人も欠けることなくライザーの眷属6人をリタイアさせたけど、ユーベールーナを投入後流れが変わった。一誠たちが運動場で敵を引き付けてる間、リアスが直接ライザーを消し飛ばすことにしたようだ。
運動場では激戦が繰り広げられる中・・・。

 『弾けろ! 洋服崩壊ッ!』
一誠が仮面をつけた女イザベラの服を消し飛ばした直後、魔力を打ち消し飛ばした。

 『ライザー・フェニックス様の戦車一名、リタイア』
・・・何故だろう、勝ったのに嬉しいと思えない。洋服崩壊、自分の魔力をイメージとして相手に送り込み発動させたのか。合宿中、夜中に何かの練習をしていたのを見かけたが。

 「いくら何でもこれは無いな・・・そして黒歌、何故俺の顔に張り付くんだ?」

 「変な女の乳房を見せないためにゃ」
そういいさっきより密着してくる・・・モフモフ感が気持ちいね。
まぁ別にみる気はさらさらないんだけどね。
途中校舎の屋上で爆発が起きた。煙が晴れるとリアスとアーシア、ライザーが一騎打ちをしていた。さっきの爆発でリアスは息が上がり多少ケガを負っている。対してライザーは平然としていた。疲労してる様子も見受けられない。
ケガはアーシアの神器と俺の簡易術式でなんとか治せても魔力はどうにもならない・・・そろそろ詰みか? 

 『俺の思いに応えてみせろ! ブーステッド・ギアァァァァッ!!』

 『Dragon booster second Liberation』
そう思っていると、一誠の籠手に変化が現れた。赤いオーラーが左腕を覆い形状が変化していった。籠手が一回り大きくなり、手の甲にあった宝玉だけじゃなく腕のほうにも表れた。
・・・おぉ! どんな能力だろうな。
見ていると、木場が神器を解放させそれを見た一誠が拳を地面に打ち込む。

 『赤龍帝からの贈り物!』

 『Transfer!!』
途端に地面からいくつもの魔剣が地面から飛び出しライザーの眷属を串刺しにした。
これは・・・木場の神器の力を増大させたのか? 

 『ライザー・フェニックス様の兵士二名、騎士二名、僧侶一名、リタイア』
グレイフィアさんのアナウンスが聞こえる。これで残る眷属は女王のユーベルーナと上空に逃げたライザーの妹だけだか。一誠たちは校舎に向かおうとした直後、再びアナウンスが飛び込んできた。

 『リアス・グレモリー様の女王一名、リタイア』
・・・マジか。皆を驚いていると爆発が起こった。そこでは傷だらけの小猫と木場が鮮血で体を染め倒れている。上空には無傷のユーベルーナが微笑を浮かべている。
朱乃の戦って何故無傷なんだ? 一方的にやられたとは思えないが・・・回復できるものでも所持していたのかな。

 『降りてきやがれ! 朱乃さんの! 木場と小猫ちゃんの仇を取ってやる! 降りて来い! てめぇに俺の神器の力を叩き込んでやるから降りてきやがれぇぇぇッ!』
一誠が激怒し挑発が、ユーベルーナは嘲笑の眼差しで一瞥し校舎に飛んでいく。一誠が追いかけていくが途中で膝をつく。立ち上がろうにも全身が震えていた。
激戦を繰り広げ、仲間を失ったことで心身共に限界が来たのだろう。ド素人のくせに無茶しやがって、これ以上戦い続ければ壊れるっつうのにな。
でも、一誠の目に光りがある。




一誠side
女王ユーベルーナの攻撃で朱乃さんと小猫ちゃん、木場がやられた・・・でもまだ部長とアーシアが戦ってる! 向かわなきゃ!

 「まだ戦いますの? どう考えても、あなた方の負けですもの」
入り口にはいると壁に背もたれているライザーの妹、レイヴェルがいた。さっきの魔剣攻撃でやられなかったのか? そういえばアナウンスで僧侶一名と言われていたのかもしれない。

 「うるせぇ。まだ俺も部長も倒れてねぇ」

 「そうですけど、もうあなたもリアス様も体力が残ってはいないでしょう? どんなに傷が癒せても体力までは戻りません。それに私たちにはこれがありますわ」
レイヴェルは懐から小瓶を取り出した。聖水か? いや、そんなわけないか。

 「フェニックスの涙。聞いたことがあります? 如何なる傷も癒す我が一族の秘宝ですわ」
フェニックスの涙!? 合宿の時に部長から聞いたことがあった。どんなきずでも完治できる代物だって。

 「そんなのありかよ!?」

 「あら? ゲームでの使用も二つまで許されているのですよ? そちらだって聖母の微笑と何か術式が描かれているものを所持しているではありませんか? それで回復していたではありませんか」
俺の心中を把握したように言ってくる。

 「これは私の一族にしか造れないので、高値で取引をされていますのよ。レーティング・ゲームが始まってからいいこと尽くめですの。不死身と涙、私たちの時代でしてよ」
自慢げに話すライザーの妹。
戦いの最中に相手が回復をしたら、朱乃さんでも・・・。ここで悲観的になっても始まらない。俺の術式は画数がもうない・・・体力がないならそれを奪う!

 「うおぁぁぁぁぁっ!!」
レイヴェルに向かって駆け出し奪おうとするが、あっさりとよけられそのまま倒れる。

 「無駄ですわ。あなたの体は既に限界ですの。どう足掻いてもお兄様には勝てないのですから、ここで大人しくしていなさい」

 「余計な・・・お世話だ」
痛みが走る体を無理やり立たせ、再び駆け出す。それを見たレイヴェルが嘆息し手に炎を作り出した。

 「仕方ありませんわ。痛いでしょうけど、これで少し眠っていなさい」
飛んでくる炎を避けた瞬間俺は大声で叫ぶ!

 「あーパンツ見えた!」
 
 「え!? 嘘!」
慌ててスカートを抑えるがこれは嘘! 腕が下がった瞬間体当たりする!

 「キャ!」
尻餅をつくと手から小瓶が放り出され、それを地面にあたる直前でゲットし、それを飲む・・・!! 
さっきまで痛みが走ってたのに、今じゃなんともねぇ。スゲェ、これならまだ戦える!

 「あ、あなた! 下級悪魔の分際でよくもッ!」

 「近寄ってくるんじゃねぇ。裸にすんぞ鳥娘」
俺が手を向けそういうと、身を守る体制になった。そう、女の子ならそれでいいんだ。

 「プロモーション! 女王!」
力がみなぎる。いくぞ! 俺は一気に階段を駆け上る。後方からは、悔しげな金切り声が聞こえてきた。

 「おい。聞こえてんだろドライグ?」
屋上を目指す俺は、左腕に宿るドラゴンに話しかけると、宝玉が光る。

 『なんだ小僧? いいツラになってんじゃねぇか』
そんなのはどうでもいい! フェニックスの涙を飲んで回復したから、あれは出来るよな?

 『そうだな・・・使うには十分だ。まぁ、後はお前次第だ』
それだけ分れば十分だ! 俺は絶対に部長を勝たせてみせる!
駆け上がっていくと屋上の扉が見えた! 休む暇もなく勢いよく開け放つ!
・・・っ。
目の前で対峙する部長とライザー。アーシアは部長の背後にいて神器で傷を治していた。よかった。二人とも無事だったんだ。
でも、部長は辛そうな表情で息をしている。紅の髪も乱れ、制服もボロボロだ。
俺は大きく息を吸い込んで、屋上全体に聞こえるよう声を張り上げる。

 「部長ォォォォォッ! 兵頭一誠! 参上しましたぁぁぁっ!」
全員の視線が俺に集中した。

 「イッセー!」

 「イッセーさん!」
部長とアーシアが歓喜の声をあげる。女の子をいつまでも待たせられるかよ!部長とアーシアの前に出てライザーを見る。

 「ドラゴンの小僧・・・何で無傷なんだ? まさか貴様・・・」
やっぱり気づくか、この焼き鳥野郎。

 「あんたの思ってる通りさ。妹から奪ったフェニックスの涙で回復させてもらった。これであんたを倒す!」
俺の言い方に、ライザーは舌打ちをする。

 「ライザー様。私が兵士のボウヤと僧侶のお嬢さんをお相手しましょうか?」

 「いいやユーベルーナ。お前は手を出すな、纏めて俺が倒す。そのほうがこいつらも納得するだろう」
それを聞いたユーベルーナは一礼して後ろに下がった。一人で相手をする気か?

 「ふざけないでライザー!」
激高した部長が魔力を打ち出す。顔面に直撃したライザーの頭は消し飛んでいた! が、消し飛んだ部分から炎が立ち上り顔、髪を形成していく。元の状態に戻ったライザーは嘆息し首の骨を鳴らす。
不死身・・・これがフェニックスの再生能力。

 「投了するんだリアス。これ以上は他の場所で見られている君のお父上にもサーゼクス様にも格好がつかないだろう? 君はもう詰んでいる。ドラゴン小僧の力があっても結果は変わらん。チェックメイトだ、リアス」
諭すように言うライザー。

 「黙りなさいライザー。私は諦めない! 詰んだ? まだ王である私が健在なのよ?」
そうだ! まだ部長が言うなら戦える! まだ終わりじゃない! あの焼き鳥野郎に本当のドラゴンの力を見せつけてやる!

 「部長ッ!」
俺は部長に向かって声を張り上げる!

 「俺は木場みたいに剣の才能はありませんッ! 朱乃さんみたいに魔力の天才でもありませんッ! 小猫ちゃんみたいにバカ力も、アーシアの治癒の力も、悠みたいに全部を完璧にこなすことは出来ませんッ! それでも最強の兵士になりますッ!」
俺はここで部長に誓う!

 「あなたのためなら、俺は神様だって倒してみせますッ! このブーステッド・ギアでッ! 俺の唯一の武器でッ! 俺はあなたを守ってみせますッ!」
あなたを守って、仲間と一緒に強くなって、誇れる最強の兵士になります!

 「輝きやがれぇぇぇぇぇぇッッ!! オーバーブーストォッ!」

 『Welsh Dragon over booster!!!』
籠手の宝玉が赤い閃光を解き放つ。
フィールド全体を赤い光が覆った。俺の体が真紅のオーラに包まれる。
・・・力が。お前の力が流れ込んでくる。

 『ああ。使ってみろよ。ただし、十秒だ。それ以上はお前の体が持たない』
分かってるって、ドライグ。十秒以内に終わらせる!

 『そうだ。だが十秒あればお前は・・・』
俺は・・・。

 「俺たちはライザーを殴り飛ばせるッッ!!」
赤いオーラを放ちながら、俺は前に飛び出す。俺の体は赤い鎧を身に纏っていた。
ドラゴンの姿を模した全身鎧。
いつもの籠手は左腕だけじゃなく、右腕にも装着されている。籠手にあった宝玉が両手の甲、両腕、両肩、両膝、胴体中央にも出現していた。
背中にはロケットブースターのような推進装置がついている。

 「鎧!? 赤龍帝の力を鎧に具現化させたのか!?」
驚愕しているライザーとユーベルーナ。奴の見解は概ね正しい。
見た目は小柄なドラゴンみたいなもんだ。顔すら鎧に包まれているからな。

 「これが龍帝の力! 禁手《バランスブレイク》、赤龍帝の鎧《ブーステッド・ギア・スケイルメイル》・・・俺を止めたきゃ魔王様に頼み込め! 何しろ、『禁じられし忌々しい外法』らしいからな!」
スケルイルメイルの能力は十秒間、爆発的な力を解放すること。一度解放したら、十秒間は無敵でいられる。
けど、リスクも大きい。能力解放後の十秒後は丸三日は神器が使えなくなる。赤きドラゴン・・・ドライグにそう説明された。つまし一か八かの十秒だけの無敵モードだ。

 『Ⅹ』
カウントが始まった。こいつが発動した以上、時間はない!
決めさせてもらうぜ、ライザー・フェニックスッ!
両の手のひらに魔力の塊を作り出し、右手をライザーの方へ向け打ち出す。
打ち出された魔力は巨大な塊となりライザーに襲い掛かる!
なんて量の魔力だ! あんなに小さな魔力がここまで巨大になるなんて。俺が一番驚いたわ!

 「デカい!」
ライザーとユーベルーナは上空に逃げた。だが・・・。

 「もう一つあるんだよぉッ!」
左腕に残った魔力をライザーにじゃなく、ユーベルーナに向かい打ち出す。避ける間もなく魔力の塊はユーベルーナを飲み込んだ。

 『ライザー・フェニックス様の女王一名、リタイア』
よし! 後はライザーだけだ!

 『Ⅸ』
容赦なくカウントは進む。わーってるよ。そう急かすな!
俺の視線の先には、さっきの攻撃を見たためか、警戒心を強くしていた。
奴の体を虹色のオーラが覆う。凄まじい魔力を感じる。

 「赤龍帝のクソガキ! 悪いが手加減はしない! 認めたくないが、今のお前はバケモノだ! 主であるリアスの前で散れェェェェッ!」
咆哮を上げるライザーの背中に巨大な炎の両翼が現れた。奴の全身を炎が渦巻きフィールドを熱気が包み込む。
あんな炎、食らったらやばいだろうな。

 「フェニックスと称えられた我が一族の業火! その身で受けて燃え尽きろッッ!」
火炎に包まれたライザーが高速で迫ってくる。眼前に広がるあり得ない質量の炎。そのシルエットは巨大な火の鳥だった。
翼から生み出される業火の塊。ヤバいか?

 『不死鳥フェニックスの炎はドラゴンの鱗にも傷を残す。食らい続けるのは得策じゃない』
そうかいドライグ。でも、避けるわけにはいかない。
後ろで部長が見てるんだ。俺はあのアレを受け止める。

 「てめぇのチンケな炎で俺が消えるわけねぇだろォォォォッ!」
背中の噴出口から魔力の火を噴かしながらライザーへ突っ込む。

-ドゴンッ!-
互いの拳が顔面にぶつかりあった瞬間、力と力が生み出した波動がフィールドを振動させ、校舎のガラスが割れた音が聞こえた。
俺とライザーは殴り合いながら力を比べる。一撃をもらうたび重い衝撃が全身に走る。

 「怖いか! 俺が怖いか! 当たり前だ!  その鎧がなければ俺の拳が届く以前に業火の熱でお前は消失している! お前からその籠手を取ったらお前は何の価値もない下級悪魔のクズにすぎない!」
言いたいこと言いやがって、けど、正論だ! 俺から籠手を取ったら何にも残らない! 奴は上級悪魔、俺は下級悪魔。拳を交わせば交わすほど実力差を感じる。

 『Ⅶ』
悪魔の本気の戦い。全身を恐怖が支配する。だれだってこんな思いしたくないさ!
でも! でもよ!
俺は籠手に隠してたものを手のひらに掴む。

 「負けるわけにはいかねぇんだよォォ!!」

-ガゴッ!-
俺の拳がカウンターでライザーの顔に入った。ライザーと俺は後ろに下がる。

 「そんなもの! 効く・・・」

-ゴバッ!-
ライザーの口から大量の血が吐き出された。殴られた部分からは煙が上がっていた。

 「ぐおぁぁぁぁッ!? こ、この痛みは・・・!!」
当然だ。俺の手にはこいつが握られてるからな。手を開き、握っているものを見せつける。

 「十字架! 十字架だと!?」

 「イッセー!!」
驚愕するライザー。部長も声をあげる。
悪魔の苦手なアイテム・・・十字架。それを手にしてライザーを殴った。
アーシアから受け取って隠しておいたものだ。

 『Ⅵ』

 「十字架の効果を神器で増大させて、お前を殴った。高めに高めた聖なる攻撃は上級悪魔にだって効果テキメンなわけさ。たとえ不死身のフェニックスでもこのダメージはそうそう癒せないんじゃないのか?」

 「バカな! 十字架は悪魔の身を激しく痛めつける! いかにドラゴンの鎧を身につけようと手にすること自体が・・・ッ!」
その時、ライザーは初めて俺の左腕の変化に気づいた。ドラゴンの鎧の一部になっているからわかりにくいだろうが、近くで見れば気づくだろう。
無機質に見える全身鎧と、生きているかのような脈動を続ける左腕を。

 「・・・籠手に宿るドラゴンに・・・自分の腕を支払ったのか? それがそのバカげた力の理由かッ!」

 「ああそうさ。俺はこの力を一時的にでも得るために、左腕を代価にくれてやった。俺の左腕は本物のドラゴンの腕だ。だから、十字架は効かない」
左腕をドラゴンにすることが、ドライグの絶大な力を使う代償。俺がライザーと互角に対峙するために自分の腕を支払った。籠手はドラゴンの腕と一部と化している。

 「そんなことをすれば二度と腕は元に戻らない! お前はそれが分かっているのか!?」

 『Ⅴ』
くだらない話をしていてもカウントは進んでいく。


 「それがどうした? 俺みたいな奴の腕一本で部長がお前との婚約が破談になるんだ。 こんな安い取引はないだろう?」

 「イッセー・・・あなた」
すみません部長。弱い俺にはこの方法しかなかったんです。だから、俺がこいつに勝ったら笑ってくれますよね?
俺の言葉を聞いたライザーは目元を引きつらせた。

 「イカれてるな・・・。だからこそ、迷いのない一撃が放てるのか・・・怖いな。初めて俺はお前に心底畏怖しただから!」
ライザーの両翼がいっそう大きく燃え上がった。

 「俺は全力でお前を倒すッ!」
火の鳥・・・。周囲を炎に包みながら俺へと突っ込んでくる!
負けねぇ! 負けてられるか!

 『Ⅳ』

 「うおおおおおおおおッッ!」
手に握る十字架に力を込める! 一撃! 俺が打ち込める最大の一撃をこの十字架に込めるッ!
ライザーの拳が! 俺の拳が! 互いの拳が重なり合った!

-カッ!-
激しい力と力がぶつかりあい。その衝撃と閃光が走り、俺の視界を覆う!
同時に体を包んでいたものが消失した感覚を感じた。雨の日、家に帰ってからレインコートを脱いだ時に感じるもの、それに似ている。
熱気が俺の全身を包み込む。バカみたいに熱い! さっきまではここまで外気温を感じなかったはずなのに!
視界がもとの調子に戻ったとき、俺は自分の体を見て変化に気づいた。
鎧が・・・解除されてる!?
俺の全身を覆っていた赤いドラゴンの鎧がなくなっていた! 抜き身抜きの姿。ドラゴンの腕と化した左腕が残されていた。
手のなかの十字架もさっきので弾かれたのか、少し離れた場所の床に転がっている。
おい、龍帝! どういうことだ!? まだ十秒経ってないだろう! 何で鎧が解除されてる!? 
俺の支払った代価じゃ、これが限界だってのか!?

 『いや、お前がこの力を得るために、俺に支払った代価は十分だ。だがな、お前の基礎能力では鎧の力を制御するのに足りなさすぎる。修行不足だ』
・・・ッ。あんなに仲間と修行したのに、まだ足りないのかよ!

 『あの程度、悪魔としての永い生の中では、微々たるものにすぎん。悪魔の修行っていうのは、何十年も繰り返してこその意味がある』
あーもう! そういう説明はいい!
今度は何を支払えばいい!? 目か!? 足か!? 何でもくれてやるからもう一度、鎧を具現化してくれ!

 『短期間で二度目の鎧は、今のお前では無理だ』
・・・またなのかよ。俺が弱いから・・・。クソ、何で俺は肝心な場面でカッコつけられないんだ・・・。

 『鎧の力が解除される瞬間、ドラゴンの力を少しだけ宝玉に移せた。込めた力でライザー・フェニックスを一時的に圧倒できるだろうが、それで終わりだ。再生能力の高いフェニックス一族を倒すには・・・」
何度も倒すか、絶対の力で屠るか・・・か。

 『そうだ。残念だが、今の籠手の力じゃ何度も倒せない。倍増した状態も絶対の力とは程遠い。倒す条件をどちらも満たすことはない』

-グイッ!-
襟元を強く掴まれ、宙に浮かされる。
ライザーだ。苦笑しながら力を強める。く、苦しい。

 「兵士の力でよくやったと褒めてあげよう。本当によくやったよ。正直ここまでやれるとは思わなかった。ドラゴン使いの力、この身で十分に体験できた。あと一年・・・いや、半年、ドラゴンの力になれていたら俺は負けていただろうな」
奴の表情は真剣そのもの。冗談ではないようだ。
あと半年・・・あと半年結婚待てよ!って言いたい。
ライザーの服はボロボロだった。再生能力の高いライザーでも、強化された聖なる攻撃を食らえば回復が遅いようだ。

 「なに、引け目を感じることはない。俺がリアスの婿になったら、俺がお前さんを鍛えまくってやるよ。強い悪魔になるぜ、お前」

 「うるせぇ。余計な・・・お世話だ!」

 「さて、そろそろ眠ってもらおうか。少しだけ意識がなくなるだけだ。目覚めた時には無事式も終わってる。これ以上、心身ともに苦しむのは嫌だろう? 俺もサドじゃないんでね、一気に決めさせてもらう」
掴んでいない手に炎を集める。アレをぶつける気か・・・。

 「あばよ」
俺に当てようとした瞬間、

 「やめて!」
部長の声が聞こえ、俺の体が床に落ちた。見れば、部長がライザーに抱き着いていた。

 「ありがとう、朱乃、祐斗、子猫、アーシア・・・イッセー。不甲斐ない私のために、よく頑張ってくれたわ」
・・・ッ部長のせいじゃないです! 俺が、俺が弱いせいでッ! 
俺の視界はぼやけ始めた。すぐに俺が泣いていると分かった。

 「私の負けよ。投了します」
部長が言った。敗北・・・俺たちの初ゲームは負けた。
意識が落ちる寸前、部長が泣いているのが分かった。
俺は・・・弱すぎる。




棟夜side
 『リアス・グレモリー様の投了を確認。よってこのレーティング・ゲームはライザーフェニックス様の勝利となります』
一誠たちの敗北。これでリアスの結婚が決まったわけだ。
さてと・・・俺も行動しますかね。
 
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