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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0086話『台風前の収穫』

 
前書き
更新します。 

 





昨日に阿武隈が北上達と一緒に北上の進水日を祝っていた間に農作業連合(私、武蔵、天龍、瑞穂、神威、そして最近加入した清霜)は今日の台風の準備に備えて兼ねてから育てていた農作物の収穫をしていた。
なんせ台風が来るんだからせっかく育てた野菜たちが流されかねないからな。
それで急いで収穫をしていた。

「武蔵! そっちのきゅうりとトマトを頼む!」
「任されたぞ!」
「天龍はそっちのナスをお願い!」
「あいよ!」
「その……提督。梅雨に植えた種とかなどはどうしましょうか……? まだ芽を出したばかりですので……」
「はい。台風で流されないか心配です」

私が色々と指示を出していると瑞穂と神威が心配そうに梅雨に植えた野菜のことを心配していた。
まだこれらは収穫するには芽を出したばかりだから早いからな。
不安になるのも分かる。

「そうだな。一応なにかシートをかけて様子を見るしかないだろうな。
まだ芽を出したばかりだから折れるとかいう心配はないだろうし……」
「そうですね……わかりました。この子達の耐久力に期待します。神威さん、シートを持ってきてください」
「わかりました、瑞穂さん」

それで神威がシートを取りに行こうとした時に、

「神威さん! シートなら清霜が持ってくるよ! ちょっと待っててね!」

そう言って清霜が元気にシートのある方へと向かって駆けて行った。



それを収穫の片手間に見ながらも、

「しかし……清霜はえらいな。他の子達はたまに手伝いに来る事もあるけど私達のように本格的に参加はしないというのに清霜だけは積極的に手伝いに来るからな」

私がそう話すとそこで武蔵が実にいい笑みを浮かべながら、

「そうだろう。清霜には私からあることを吹き込んでおいたんだ。聞きたいか……?」
「いや、なんとなく分かるような気がするんだけど言い出したら聞かせたいんだろう……?」
「うむ。戦艦になるための特訓と言っておいた」
「うっわ……武蔵の姐御もなかなか酷いっすね。もう何度も言われている事だけど駆逐艦の清霜が戦艦になれるわけないじゃないっすか」

そこで天龍が苦笑いを浮かべながらそう言う。
だけど武蔵は少し真剣な表情になって、

「そんな事を言うなよ天龍。清霜はあれで本気で戦艦になろうと日夜特訓を私としているんだ。その清霜の心意気だけでも買ってあげたいじゃないか」
「清霜さんの気持ち……瑞穂、少し分かります。瑞穂も何度かはせめて軽空母になりたいという夢を見たことはあります。でも以前に提督に言われたんです」

うん……?
前に瑞穂に言った事か。
そう、確かあれは……、
私が後少しで思い出そうとしている前に瑞穂がその内容を言った。

「提督はこう言いました。
『瑞穂、いいかい? 水上機母艦にもいいところはたくさんある。だから自身の力を卑下しないで誇りに思ってこれからも頑張ってくれ』……と」
「提督……とても良い事を言いましたね。神威も瑞穂さんの気持ちになって嬉しく思います」
「あはは……。そう言えばそんな事を言ったな」
「まぁ、そのあとの言葉で少し台無しにもなっていたんですけどね……」
「ほう……? どんなことを言ったんだ? 少し興味あるな」
「俺も俺も!」

それで全員が私を見てくる。
存外に言えと言う眼差しであった。

「はぁー……仕方がないな。ただ水上機母艦としては少し不安が残る秋津洲がいるから同じ水上機母艦として彼女の事も気遣ってほしいというお願いを瑞穂にしたんだ」
「「「確かに……」」」

全員が秋津洲の運用を考えると困りもんだなと思っているのだろう、何度も頷いている。

「まぁ、その分は可愛さと料理の手際の良さにステータスを全振りしているからな。秋津洲は……」
「そうかもなー。秋津洲って家事能力は鹿島と同様にかなり高いからな」

それで天龍は思い出しているのだろう。
お料理教室のメンバーに鹿島と秋津洲が入っているのを。

「それでも最近は色々と装備できるものも増えてきて役立っているんだけどな。
……っと、そうだな。こんな無駄じゃないけど話をしていると収穫が遅れてしまうな。急ごうか」
「「「了解」」」

それで収穫作業を再開する。
そこに清霜がシートを持ってきた。

「司令官! シートを持ってきたわよ!」
「ありがとう清霜。清霜はこの中では一番体力がないんだから少し休んでていてもいいぞ? 水分補給をしてきなさい」
「うん、わかったわ!」

それで清霜は木陰に入っていってドリンクを飲んでいる。
うん、素直でよろしい。
その後、私たちも休憩を交代しながらやっていってもう出来上がっているものは大体収穫できたので荷台に全部載せたあとに間宮さんのところへと向かった。
甘味処間宮へと到着してドアを開けて、

「間宮さーん! 少しいいかな!」
「はーい! 少しお待ちください! 伊良湖ちゃん、配膳はお願いね」
「わかりました、間宮さん」

間宮さんが伊良湖ちゃんとそんなやり取りをしながらもパタパタと小走りで玄関までやってきた。

「提督。それにみなさんもどうしました? 私になにかご用でしょうか?」
「うん。ちょっと外に出てもらっていいかな? 新鮮な野菜が収穫出来たんで持ってきたんです」
「まぁ! とても素敵ですね。ぜひ頂いてもよろしいでしょうか!」
「ああ。そのために持ってきたからな」
「それでですが他にはどこに持っていくのですか……?」
「うん。鳳翔さんの居酒屋のところと萩風とか秋津洲がいるお料理教室に持っていこうと思っているんだ。そして残った分は食糧庫に保存の形でいこうと考えているんだ」
「そうなんですか。彼女達もきっと喜びますね。提督、ありがとうございます!」
「喜んでもらえたならよかったよ。な、みんな」
「うむ」
「おう!」
「はい!」
「やりがいがありました!」
「やったね!」

みんなから言葉を貰って甘味処を後にした後に鳳翔さんのところやお料理教室などへと持っていき、その度に感謝の言葉をもらったので少し嬉しい気持ちになってくる。

「なぁみんな。少しいいか?」
「なんだ……? まぁ提督のその顔だ。おそらく野菜作りで感謝の言葉をもらえるのに味を占めたのだろう?」
「ああ。だからこれからもみんなで野菜作りを頑張っていこうか。できればもう少し仲間も増やしたいところだし」
「わかったぜ。あとで龍田にも聞いてみるよ」
「きっと秋津洲さんも手伝ってくれると思います」
「速吸さんもきっと話に乗ってくれると思いますよ」
「そうだな。大和も誘ってみるか」
「清霜は夕雲姉さん達も誘ってみるね」
「勧誘は任せる。だけど無理強いだけはだめだぞ?」

それで五人とも「分かってます」と答えてくれたのでよかった。
まぁそんな感じで初めての野菜作りはなんとか台風前に収穫出来て成功を収めたのであった。






……ちなみにこれは昨日の事だ。
今はもう台風が直撃していて外は大荒れである。
昨日に収穫しておいて本当によかったと本気で思った。

《提督……昨日に収穫しておいて本当によかったですね》
「ああ榛名。これは確かにひどい台風だ。窓がミシミシ言っているからな……」

榛名とそんな話をしながら本日の執務をしているのであった。 
 

 
後書き
野菜の収穫回でした。
今後も野菜作りの話は続けていこうと思っています。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。 
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