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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  宵の時



時は戻る。


まだ施設は破壊されておらず、彼も戻ってはいない。
だが機関の施設を破壊している間にも、敵の侵攻は止まっていないのだ。









「ラピュタ、冬木市上空に向かってます!!」

オペレーターの声が、その場に緊張を走らせた。
ここは冬木の街からは離れた都市部。


そこで座して待つのは、弓の英霊。
冬木の地に舞い降りんとする敵を、迎撃する場所にある。


「・・・・あれか」

肉眼では到底視認不可能なその距離で、鷹の目はそれを確認した。
止めてみせるという覚悟を見せる。


「投影開始(トレースオン)!」


そして、矢を構える。
構えたそれは、ゲイ・ボルグ。

見て、交戦までしたそれは、もはや真贋を超えるほどの高精密さを誇る。



「撃ち抜かせてもらうぞ・・・・要塞!!」

投影した槍を矢へと変換、弓に番え、弦を引く。
魔槍たる宝具の真名を唱え、朱き魔槍がその手から放たれる。


槍はその瞬間、距離という概念を捨て去った。
地平線の向こうに、うっすらと太陽を感じさせる宵の空を、真紅の光が刹那すらかけずに渡って行く。



―――――ズッ、ゴォン・・・・・

そして空の向こうからとんでもない振動音が聞こえてきた。
空を流れる雲が少し歪む。


だが



「ちょっと、人の家にいきなりこんなの飛ばしてくるなんて失礼だと思わないの?なに?これがホントの投げやり?」


「闇」の作り出すゲートから、「光」がゲイボルグをクルクルと回しながら目の前に現れてきた。
その光景に、舌打ちをしてアーチャーが剣を投影しながら皮肉を返した。


「私は投げてない。そもそも、勝手に街の上を徘徊している君は良いのかね?」

「あー、うん。だってほら、この大きさどうしようもないじゃない?」


ダンッッ!!


援護を要請しながら、アーチャーが駆ける。

ラピュタはこのままでは冬木に入ってしまうだろう。
ならば目の前の化け物だけは、ここで止めなければ。



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「ダメです」

「えー!?」



「EARTH」本部ビル内医務室
そこで綺堂唯子は長岡ユキに宣告を受けていた。

曰く、戦闘には参加するな、と。



「いきなりの「扉」の解放、さらに人知を超えた技術の使用」

「真パニッシャーパーンチ!」

「それのせいであなたの筋肉は限界を迎えています」



不動と動を同時に行い、掛け合わせる突き。
それは彼女の体に申告ともいえるダメージを与えていた。

そもそも、扉を開くことすらWORLD LINKなどの世界からのバックアップがあってやっと、安全にできるのである。
それを個人に引き出したのはすごいが、まずそれで身体のバランスが崩れただろう。

どんなに異常な力を持っても、その身体はまだ“No name”範囲内のものだった。
だが、こうして力を得た以上はそれを超えることになるのだ。バランスも崩れる。


しかし、それは別に時間を掛ければ体に馴染むものなので大して問題ではない。
ただ、問題なのはその状態であんな大技を放ってしまったということだ。

言うなら、バランスを取ろうと揺れている天秤を、机ごと蹴り飛ばしてしまうようなもの。
事実、彼女は「EARTH」に到着と同時に転倒し、乗っていたバイクを見事大破させていたのだから。



「うーん・・・・最初はだいじょうぶだったんだけどなぁ」

「フィードバックが来てるんですよ。とにかく、悔しいでしょうが今回の戦いは見送ってください」

「そんなぁ・・・・・」


今唯子は右腕を三角巾で吊るしており、安静にしているように言い渡されていた。
だが、このままでは引き下がれない。


「せめて戦況がわかる位置にいたいんだけど・・・・」

「構いませんが、飛び出していかないようにそれなりの処置は取らせてもらいますよ?」

「処置?」





五分後





「これが処置ですか」

「まあ、ええ」


管制室には長岡と、鎖で縛りつけられた唯子がいた。
ミイラ男ならぬ鎖少女だが、こうでもしないと彼女は飛び出していってしまうだろう。


「私って信用無い?」

「まさか。でも飛び出して言っちゃうでしょ?」

「むぅ」


言われることに反論できない唯子。
そうしてモニターを見ていると、要塞が冬木上空に到達し、地上と空中で戦闘が行われていた。


「ラピュタ、冬木市上空に入りました。アーチャーと交戦していた「光」は姿を消しました」

「地上の模造兵士には、バーサーカーを中心としたメンバーが迎撃に当たってます」

「空に「虚無」の存在を確認。仮面ライダーファイズブラスターフォームが迎撃中。モニターに出します」



ガヴォン、という音がして巨大モニターにファイズブラスターフォームと「虚無」の二人が交戦している姿が映し出された。


両肩にせり出したブラッディ・キャノンと、両腕で構えるファイズブラスターで狙い撃つファイズ。
直線に動き、ファイズの周りを旋回していく「虚無」はそれをすべて回避し、その後には尾を引くように爆発が追って行っていた。


そしてある一点で消えたかと思うとファイズの眼前に迫ってきており、ファイズはそれをすんでのところでブラスターから刃を生成して受け止め、地面にたたき落とされた。


「!! 乾さん!!」

「やはりライダーの最終フォームであっても一対一は無茶です!!」


そうして、「虚無」がさらなる標的に目を向ける。
その瞬間


騎英の手綱(ベルレフォーン)!!!』

ガォオッッ!!!


真っ白な光のエネルギーが「虚無」を掠めて行き、その体を揺らめかせる。

駆けてきたのは、ペガサス。
その背に騎手たる英霊を乗せ、天空を駆ける。


『さあ、行きますよ!!!』




そうして、英霊が挑む。

そも、彼らは霊長の守護者。
ならば総じて、彼らは敵だ。






その映像を見ながら、ほかの戦況も見る。


地上ではバーサーカーが無双ぶりを発揮していた。
更には蜀・魏の武将が勢ぞろいして無人に湧いてくる模造兵士を粉々に砕き倒していっている。


一見、押しているようにも見える。
だが相手は一点から湧いてくるのではなく、空から落ちてくるのだ。しかも、無限に。

バッタバッタと斬り伏せ、破壊していく姿は胸のすくものだが、状況が好転しないのは重くのしかかってくる。



「相手が大したことのない模造兵士でも、この数は・・・・」

「数が多すぎる・・・かといってラピュタに攻め込むだけの占領はもう!!」

ヴィーッヴィーッヴィーッ!!!

「緊急アラート!?なにがあったの!!」

「地上に高エネルギー反応!!このパターンは・・・・赤銅です!!!」

「地上部隊は注意してください!!出てきます!!」



そして、ついに彼女が動き出す。

赤い光を闇夜に煌かせ、地上に破壊の翼が舞い降りた。



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「ッ!?この威圧感!!!」

「ウォぁッッ!?」



駅前広場を埋め尽くす模造兵士。
それを相手取っていくバーサーカーを中心とした彼女たちが、何かを感じ取って振り返る。


その方向に鈍い、赤の光が光ったかと思った瞬間、模造兵士が木っ端芥のように散り飛んで行った。



「赤銅の翼・・・・!?」

「くっ、ついに出てきたか!!」

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」



その光の方向にバーサーカーが突進し、斧剣を振り下ろす。
だがそれは見えない力に止められてしまい、振り下ろした風圧が土埃だけを払っていく。


そして、一人の女性の姿をあらわにする。
見間違えようもない、赤銅の翼。

その手にΧブレードが出現し、バーサーカーの腹を横一文字に切り裂いた。



「■■■■■■!!」

「儚き力よ・・・・?」

「■■■■■■!!!!」

「!?」


その一太刀で終えると思ったのだろう。
なおも咆哮を上げるバーサーカーに、赤銅の翼が驚愕と共にその足を掴まれて投げ飛ばされる。


「理解。其の方、御霊幾多在り也」

「是ァァアアア!!」


そして、春蘭を筆頭にして武将たちも切りかかっていく。
Χブレードが浮き、赤銅の手掌にコントロールされて振るわれていった。


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「ッッ!!!」

「こーら!行かないで!!」

「でも!!」


戻って、管制室。
そこでは唯子がやはり、飛び出そうとして鎖をガチャガチャと言わせていた。

確かに、彼女が出てきたのならその顔に一発だけでもお見舞いしたい唯子だろう。
だが、今の身体の状況で行って勝てるのだろうか?


「――――ッ!!」

「無理でしょう!?アリスさんが帰ってきて、調整してくれるまで待ちなさい!!!」

「いつですか!!」

「・・・・数分前に蒔風さん達と出て行きましたから・・・・・」

「待てないですよ!!他の翼人の人たちだって、手が足りてないんでしょう!?」

「そうですが・・・・」



そうしていると、モニターに新たな動きがあった。

二つの巨大な反応が、赤銅のもとに向かって行っていた。
そこにある名前は、北郷一刀とクラウド・ストライフ。

だが、赤銅を挟んで反対側から、もう二つの反応が突撃してきていた。




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空を行く二人。
赤銅の翼が出てきたと報告を受け、身体を休めていた彼ら二人がついに動き出したのだ。


上空から一気に急降下して、地方都市・冬木の上空に差し掛かる二人が、それを確認した。



「見つけた!!」

「行くぞ!!」



二人が剣を取りだし、すれ違いざまに斬り裂こうと構えて一気に降って行く。
このままいけば、赤銅に攻撃できるだろう。

クラウドは大剣に魔洸を纏わせ、一刀は流星剣に光を溜めこむ。




ビュオおおおおぉォォォォォォ・・・・


雲の切れ間を抜ける。

街を分ける川が見えてくる。

線路が見え、駅前大広場を視認する。


街がどんどん近づいてきて、ミニチュアのそれが現実感を伴っていく。


そして、二人はわかれる。

一方は川に向かって、もう一方はビル群の中に向かって。
二人は赤銅を挟んで対角線上の二点それぞれに、落ちていく様に急降下していった。


そして、地面スレスレでドンッッッ!!と一気に真横に方向を変え、地面と水平に赤銅へと向かって行った。


クラウドは川を斬りながら公園に入り、さらにその中の森を抜けて
一刀はビル群の隙間を一直線に進み、風をまき散らして


駅前の広場、その中心で、バーサーカーと武将たちを相手取って投げ飛ばしていく赤銅に突撃し―――――!!



ゴォォオオオオオンッッ!!!!



大地を割ったような衝撃音

そしてその刃を、「闇」と「虚無」が受け止めていた。


「んな」

「にぃ・・・!?」


「闇」は一点に集めた黒煙で
「光」は流星剣を白羽取りで正面から


それぞれ受け止め、その刃の進行を止めている。



「さ、させません・・・・」

「さあ、楽しませてもらうよッ!!」


バガァッッ!!


タイルが一気に始め飛び、熾烈な戦闘が続いていく。



それを尻目に、赤銅が力をΧブレードに込め、空を仰ぐ。
そこには要塞ラピュタが浮いており、そこに向かってを向けた。



バンッ!という音がして、赤銅色のエネルギーが打ち上がっていく。
それは模造兵士が落ちてくる穴に入り込み、さらにその最奥まで侵入していった。


そして、到達したのかラピュタに赤い光が走った。
機械の回線のような光が全体を走り、模造兵士の落下がいったん止まる。


そして直後


------------------------------------------------------------



「な、なんですかあれは!?」

「模造兵士が・・・飛んでる!?」


「EARTH」管制室モニターには、新たな脅威が映っていた。
それらが落ちてくる穴から、飛行能力を有する模造兵士が飛び出してきたのだ。

いままでの穴の半分から出てくるそれは、ライダーの救援をしていたなのはの砲撃に落とされていくがやはり数が多い。


地上に落ちる模造兵士は半分になったものの、厄介さはそれ以上だ。



「だめだ・・・・こちらのキャパシティを凌駕してます!!

「全部は捉えきれません!!」

「これは・・・・」


それらを聞いて、長岡が愕然とする。
そんな数の敵、どうすればいいというのだ。



「どうしますか長岡さん!!」

「飛行能力まで有する軍勢相手では、現状「EARTH」に勝ち目はありません!!」

「くぅ・・・・・」

「私、行きます」

「唯子さん!!ですから・・・・」

「身体がまずいのは知ってます!!右腕は使えません。でも、だからと言って引けますか!?」


唯子はもう我慢ならなかった。
皆が命を賭して戦っているのに、なぜ自分はここにいるのか。


「あなたはもう十分に」

「十分かどうか、それを判断するのは私です!!」


十分、とはやりきった、ということだ。
もう何も思い残さず、満足しているということだ。

だが、唯子は目の前の状況に満足してない。
出来るはずがあるだろうか?この状況で、できると言えるだろうか?


「街が、燃えてます。あの中に、あの街の人たちだっているんです!!」


無論、全員避難しているので一般人は誰もいない。
だが、唯子が言っているのはそういうことではないのだろう。


「避難所の中で、いつ終わるかわからない戦いの終わりを待って、膝を抱えて泣いている人だっているかもしれません!!」


その人たちは、誰もが自分たちの勝利を信じてくれている。
だからこそ、自分たちの街を我々に預けてくれたのだ。


「それなのに、十分なんてことはないです。この状況で十分なんてことは、絶対に!!」

「唯子さん・・・・」

「私の力は、全部「助ける」ために手に入れました。だから、この力を使わせてください!!お願いします!!」

頭を下げる唯子。
それを見て、長岡は深いため息を一つついて鍵を取り出す。

そして、ガチャガチャと鎖を取っていく。

「全く・・・あなた達はみんなどうしてこう・・・・」

「長岡さん!!」

パァッ、と顔を明るくさせる唯子だが、その目の前にズビシと長岡が指を向ける。

「いいですか?絶対に真パニッシャーは使わないこと!!赤銅とは絶対に誰かと一緒に戦うこと!!」

「戦うの、止めないんですか?」

「止めたって戦うでしょうあなたは・・・・」


そうして長岡が最後に小瓶を取りだし、唯子の右腕に振りかける。
すると動かなかった右腕は動きだし、五体が満足に活動を始めた。


「凩の再生能力を、アリスさんに抽出してもらったものです。こうなるなら渡してやってくれと言われてました」

「アリスさん・・・・」

「でも!!完治ではないです。さっきも言いましたが、真パニッシャーを撃てばあなたの右腕は本当に使い物にならなくなります!!そこを忘れないでくださいね!!!」

「はい!!・・・・・・ありがとうございます!!!」


そうして、唯子が飛び出していく。


「あの女、ハッ倒してやるんだから・・・・!!!!」


玄関先に、これから冬木に向かおうとするメンバーがいる。
唯子はそれについて行き、赤銅の元へと向かって行った。




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「・・・オレは・・・・・」

その頃、ミッドチルダの郊外に広がる森林部

そこを彷徨う一人の男がいた。


「どうすれば・・・・・いいんだ?」


鉄翼刀。
何を背負がいいかわからず、何をなせばいいのかを迷う男。


その男に、謎の声が聞こえてきた。


「それでいいのか?」

「!?」






さあ、取り戻そう。
大切なモノを


戦士たちは、立ち上がる。




to be continued
 
 

 
後書き

だんだんメンバー減ってきてしまいましたね。
最初に一気投入とかするからですね。


さて、冬木にやってきたラピュタ。
そして、ついに赤銅降臨。


「虚無」は空で
「光」と「闇」は地上でそれぞれ戦闘をしています。

アーチャーはやられて引っ込みました。
さすがに止めきれなかったのでしょう。


さて、彼らに勝ち目はあるのか?
多分どっちかの翼人が赤銅を相手にして、「光」と「闇」はどっちかとバーサーカーたちに任せると思います。



唯子に使った治癒薬はある種の劇薬です。
完治するくらいだと、濃すぎて身体を変貌させてしまうから完治ではないんですよ。

身体はだいじょうぶですけど、蓄積ダメージは残ってるから、真パニッシャーを使うと体が壊れます。



そして、翼刀に移ります。
前回のあとがきに出すとか言っておきながらすみません、次回です。
話かけてきたのは、誰だ!?


ちなみに時系列的には蒔風復活よりも前ですので、まだ機関の施設は破壊できてません。
よって、模造兵士も万全。しかも強化されてる。

前話で蒔風が「くだらない」宣言してぶん殴ったのが、夜が明けてからの8時くらいですからね。

こっちはそろそろ明けてくるころ。
だいたい5時か4時くらい。まだ三時間ずれてます。





次回、二人目リバース!!

ではまた次回

 
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