ファーストキス
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第五章
「歌詞とかってそういうの書くしね」
「だからかもね」
「本当にね」
二人で話した、この時はそれで終わったが。
一年後だ、二人はこんなことを話していた。まずは杏美から愛美に笑ってこんなことを話した。
「この前のデート二人でクレープ食べたの」
「それで食べた後に?」
「そう、キスしたんだけれど」
「甘い味したでしょ」
「苺の味がしたわ」
それの味だったというのだ。
「甘かったわ」
「そりゃ先にクレープ食べたからね」
「だからなのね」
「そう、その味がしたのよ。私なんかね」
今度は愛美が話した、二人共くすくすと笑っている。
「お好み焼き食べてからね」
「それからだったから」
「もうね」
「お好み焼きの味がしたの」
「おソースとかマヨネーズのね」
それのというのだ。
「味がしたわ」
「それ何か面白いわね」
「多分二人共歯とか唇に青海苔着いてたし」
「それあるわよね」
「それでね」
さらに言うのだった。
「何か二人でキスした後面白くて笑って」
「お好み焼き味のキスね」
「傑作でしょ」
「そうね、何かキスってね」
杏美はくすくすと笑いつつ答えた。
「その時によって味が変わるわよね」
「そうそう、食べたものでも」
その日のだ。
「その時の気分でもね」
「微妙に変わるわね」
「してみないとわからないのよね」
杏美もくすりと笑って言った。
「これが」
「そうなのよね」
「いや、このことがわかったわ」
「キスがどんな味か」
「してみるまでわからない」
「してからのお楽しみね」
それがキスの味だというのだ。
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