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ファーストキス

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第四章

 キスをした、それは軽いフレンチキスだった。そのキスの後で。
 杏美は愛美にそのキスのことを話した、すると愛美はすぐに杏美に尋ねた。
「どんな味だったの?」
「いや、何かね」
「何かって?」
「緊張してたしすぐだったし」
 それでというのだ。
「特にね」
「味がしなかったの」
「というかね」
 杏美は愛美に考える顔で話した。
「唇と唇を合わせただけで」
「味はなの」
「しなかったわ、とにかく緊張してたし」
 このことも言うのだった。
「だからね」
「味なんてなのね」
「本当によ」
「わからなかったの」
「そうだったわ」
「まさかそう言うなんてね」
 愛美は杏美のその返答に首をやや傾げさせつつ述べた。
「思わなかったわ」
「そうなの」
「レモンとか梅どかね」
「甘酸っぱい味だってなのね」
「思ってたから、じゃあ私も」 
 愛美は決心している顔で杏美に話した。
「これから」
「キスしてくるでしょ」
「今度ね、それで私が感じた味をね」
「お話してくれるのね」
「したらね」
 その時にというのだ。
「お話してくるわ」
「そうするわね」
「それじゃあね」
 こう話してだ、そしてだった。
 今度は愛美が彼氏とキスをした、それからだった。
 愛美は杏美に自分のキスのことを話したが彼女もだった。
「緊張しててね」
「それでよね」
「味なんてね」
「感じなかったわよね」
「どうもね」 
 こう杏美に言うのだった。
「何かね」
「そうよね、レモンとか言うけれど」
「しないわよね」
「全然ね」
「何でそんなこと言うのかしらね」
「わからないわよね」
「歌の歌詞じゃないかしら」
 愛美はこうも言った。
「こうした言葉って」
「キスの味はどうとかって」
「それで言ってるんじゃないの?」
「そうかもね」
 杏美も否定せずに返した。 
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