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魔法少女リリカルなのはエトランゼ(異邦人) 再構築

作者:南條 綾
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2部 P・T事件
4章 海上決戦
  急展開

 フェイト達がいなくなって、俺達はアースラへと戻った。
今はリンディさんからブリーフィングルームに来るように言われたので、そこへ向かっている最中である。

命令権無いからといっても何かは言われるかな

「指示や命令を守るのは、個人のみならず、集団を守るためのルールです。
勝手な判断や行動があなたたちだけでなく、周囲の人たちを危険に巻き込んだかもしれないということそれはわかりますね?」

「「「……はい……」」」
 
 さすがに正論だけあって俺も素直に返事はした。

 リンディさんの言葉に、なのはとユーノくんは頭を垂れる。
今、なのはとユーノと俺は命令違反をしたことに対して、リンディさんからお叱りを受けている。
リンディさんがふぅと息を吐いた。

「本来なら厳罰に処すところですが、結果として得るところがいくつかありました。
……よって、今回のことについては不問とします。それに始めっから命令権ないので処罰にも出来ないですし」

リンディさんの言葉になのはは顔を上げ、隣にいるユーノの方を見る。
ユーノは今回の件が不問になることが意外だったのか、
少しだけ驚いた表情をしていた。
なのはも今回の件が不問になったことは意外だったので、ユーノとなのはは同じく驚いていた。
おれは命令権無いの知っているからあのように入っただけだし
そんななのは達の反応に気付いたのか、リンディさんが釘を指してきた。

「命令権はなくともお願いは聞いてほしいですね?
2度目はこんなに甘くないですからね」

「はい・・・」

「すみませんでした・・・」

 なのはとユーノくんは謝りながら、揃って頭を下げる。
リンディさんもなのはとユーノが反省していることがわかったのか、厳しかった表情を緩めた。
多分俺に言っても仕方ないと思ったのかもしれない。
初遭遇であんな態度を取ったらそうなるな

「さて、問題はこれからね。クロノ、事件の大元について何か心当たりは?」

「はい。エイミィ、モニターに」

[はいはぁ~い]

これまで黙って壁に背を預けた姿勢で傍観していたクロノが、
リンディさんの言葉に答え、エイミィさんへと声を掛ける。それにエイミィさんはいつものように、軽く返事をする。
しばらくすると、エイミィさんが見えるようにモニターを展開した。

「あら……?」

「そう。僕らと同じ、ミッドチルダ出身の魔導師プレシア・テスタロッサ」

 モニターに映し出された人を見ながら、クロノくんが話を始めた。

 
「偉大な魔導師でしたが、違法な研究と実験で放逐された人物です。
登録データから先ほどの魔力波導と一致しています」

 一旦言葉を切り、クロノくんがこちらを気にするようにちらっと視線を向けてくる。
 そんなクロノくんの行動を察したわたしは、静かに頷きを返した。
 そして、少し言い辛そうにしながらクロノくんが話を進め始める。

「あの少女――フェイト・テスタロッサはおそらく」

「フェイトちゃんも、あのとき母さんって言ってました」

「親子、ね」

 クロノくんとわたしの言葉を聞き、リンディさんは悲しい表情で呟いた。

「エイミィ、プレシア女史について、もう少し詳しいデータを出せる?」

[はいはい。すぐに探します]

 エイミィさんはいつものように返事をした後、モニターの画面が消えた。
プレシアさんに関するデータを探し始めたようだ。

資料を集め終えたエイミィさんがブリーフィングルームへとやってきた。

「ではエイミィ、説明をお願いできるかしら?」

「はいはい」

リンディさんの言葉に返事をすると、エイミィさんは話を始めた。

「プレシア・テスタロッサ。
ミッドの歴史で二六年前は中央技術開発局の第三局長でしたが、
当時、彼女が担当していた実験が失敗。結果的に中規模次元震を引き起こす結果となったため、
中央を追われ地方へと左遷されました」

 エイミィさんはそこで少し息を吐き、話を続ける。

「それからも結構揉めたみたいですけど、結局その後、プレシア・テスタロッサは行方を暗ましています」

「行方不明になるまでの行動はわからないの?」

「その辺のデータは綺麗さっぱり抹消されちゃってます。今、本局に問い合わせて調べてもらってますので」

「時間はどれくらい?」

「一両日中には……」

リンディさんは少し考える仕草をすると、考えがまとまったのか話を始めた。

「プレシア女史もフェイトちゃんも、あれほどの魔力を放出した後ではしばらく動けないでしょう。問題はもう一人の人物ね」

「フェイスガードの男、ゼロですね。」

リンディさんの言葉にクロノが小さく、それでいてはっきりと聞き取れる声で呟いた。
リンディさんはクロノの言葉に静かに頷いた。

「そうね。現状から考えるに、彼が一番何者かわからないわね。エイミィ情報はある?」

「いえそれがまったく?」

「そう」


「そうですね。ではエイミィ、もう少し調べてもらえるかしら。
このゼロの情報を」

「わかりました。調査してみます」

 リンディさんの言葉にエイミィさんはブリーフィングルームを出て行った。
 そして、リンディさんがそれを見届けた後、声を上げる。

「では、今日はもう解散としましょうか。なのはさん、ユーノくん、お疲れ様」

「お疲れ様でした」

「あ、お疲れ様です」

 リンディさんの言葉にユーノくんとわたしは返事をした後、ブリーフィングルームを出ようとした時

「と言うわけでいったんなのはさん、ユーノさん、綾さんはいったん帰りましょう。さすがに長時間滞在しているのも悪いですから」 

 今、なのははリンディの計らいで高町家へ帰ってきていた。
なのはが帰ってくると、母親である高町桃子は笑顔でなのはを抱きしめてくれて、なのはは嬉しくて、
少しだけ涙を流していた。父の士郎、兄の恭也、姉の美由希はそんな二人を笑顔で見つめていた。
そしてなぜか綾の両親までいたのだから綾はびっくりしてしまった。
その後はリンディを交え、リビングでなのはたちは話をしている。

「と、そんな感じの十日間だったんですよ~」

「あら、そうなんですか~」

「いい経験してきたみたいね綾ちゃん」

 そう笑顔で会話をしているのは、リンディと桃子と綾の母親である。
桃子の横には恭也と美由希が座っており、
美由希の膝の上には、フェレットの姿となっているユーノが座っていた。
桃子の対面に綾の母親と父親が座っていた。
 
 一方、なのははというとリンディと桃子の会話を聞きながら、僅かに笑顔を引きつらせていた。

[――というか、リンディさん、見事な誤魔化しというか、真っ赤な嘘というか……]

[う、うん。すごいね……]

[本当のことは言えないですからね]

[まぁ流石としか言えないですね]

 なのはとしては本当は、家族に嘘をつくのは気が引けるのだが、
流石に今自分が行っていることを言うことはできないため、リンディが嘘で誤魔化しているのだ。
そんなリンディの心配りに有り難さを感じていると、美由希が声を掛けてきた。

「なのは、今日明日くらいはこっちにいられるんでしょ?」

「綾ちゃんもそうなの?」

「うん。大丈夫」

「なのはだけそれで私が帰れないなんて・・・そうなったら私は悲しいかも」

「なにか理論武装して困らせて反省室息とか」

「・・・美由希さんはそう私の事を思っていたんですね」

「そうそうアリサもすずかちゃんも心配していたぞ? もう連絡はしたのか?」

 恭也さんがナイス質問をしてくれて話が変わってくれた。

「うん。さっき、メールを出しといた」

 恭也の質問になのはは笑顔で答える。

 次の日・・・
普通の小学生と同じく学校へと登校していた。
なのはは親友である、月村すずかとアリサ・バニングスとの久しぶりの学校に笑顔を見せていた。
同じようにすずかとアリサも、なのはが学校に来たことをとても喜んでいた。
そして、なのはは二人にこれからのことを魔法関係を除いたことについて話しをした。

「そうそうまさか綾が完全にかかわっているとはね。結構冷たいのね」

「綾ちゃんも少しは話してくれても良かったのに」

「それについてはごめんね。
私だけならいいけれどどこまで話していいかわからなかったから」

「まぁなのはのカバーもしてもらっているから許してあげるわ」

「アリサありがと」

「アリサちゃんどういうこと」

「だってなのはの事だからどうせどじするでしょ
だから多分フォローしているのかなと思って」

「もうアリサちゃんも素直に心配って言えばいいのに」

 なのはの話を二人は親身になって聞いてくれて、
なのはは全てを伝えられないもどかしさと、二人の優しさがとても嬉しかった。

「あ、そういえばね。昨夜、怪我をしている犬を拾ったの」

「犬……?」

 なのはが話を終えると、アリサが場を盛り上げるように話を始めた。
アリサの言葉に、すずかは首を傾げている。
それを見て、なのはもつられて首を傾げていた。


「うん。すごい大型で、毛並みがオレンジ色で、おでこに赤い宝石がついてるの……」

 アリサの言葉に、なのはは思わず、あっと短く声を上げる。頭の中でフェイトの使い魔の姿が思い浮かんだ。

(もしかして、アルフさん……? でも、どうして……)

[綾ちゃんもしかして・・・]

[普通おでこに宝石は付けないから十中八九あの駄犬でしょ]

[駄犬って・・・]

 なのははそう疑問に思いながらも、アリサとすずかとの話しに集中した。
そして、学校が終わると四人はアリサの家にやってきた。

 そこで、なのは達が目にした人物は、

[――やっぱり、アルフさん……]

[……あんたか……]

 そこにはなのはが予想していたとおり、
フェイトの使い魔であるアルフの姿があった。
ほぼ全身に包帯を巻かれた姿は痛々しく、
ひと目見てかなりの怪我を負っていることがわかった。

[その怪我、どうしたんですか? それに、フェイトちゃんは……?]

[…………]

 なのはが念話でそう問い掛けると、アルフは何も言わずに背を向けて座り込んでしまった。

「あらら。元気なくなっちゃった。どうしたの? 大丈夫?」

「傷が痛むのかも。そっとしておいてあげよう?」

 そんなアルフを見て、アリサとすずかが心配するように話す。
なのはとしては、なぜアルフが今ここに居るのか理由を問いたかったが、
アルフがこのような状態では埒が明かないと、なのはが考えていると、すずかの腕に抱かれていたユーノが腕から飛び降り、
アルフの近くに歩みを進めた。

[なのは、綾さん。彼女からは僕が話を聞いておくから、
なのは達はアリサちゃんたちと行って]

[うん。お願い、ユーノくん]
「それじゃそちらは任せたね」

 なのははユーノにそう言葉を返すと、アリサとすずかとともに家へと入っていった。
ユーノはなのはたちが家へと入っていったのを確認すると、アルフへと話し掛ける。

「いったいどうしたの? 君たちの間で、いったい何が……?」

「……あんたがここにいるってことは、管理局の連中も見てるんだろうね」

「うん」

 ユーノが頷くと、別の人物の声が割り込んでくる。

[時空管理局、クロノ・ハラオウンだ。どうも事情が深そうだ。正直に話したら悪いようにはしない。
君のことも、君の主フェイト・テスタロッサのことも……]

 そう真剣に話すクロノの言葉を聞き、アルフはしばらく無言であったが、しばらくすると観念するように口を開いた。

「・・・話すよ、全部。だけど約束して、フェイトを助けるって。
・・・あの子は何も悪くないんだよ」

[約束する]

 アルフの悲痛な言葉に、クロノは真剣な表情で頷いた。
そして、アルフはゆっくりと今回の事件の顛末を話し始めた。
プレシア・テスタロッサがジュエル・シードを探していること。
フェイトは母親の命令で、その手伝いをしていること。
ゼロがプレシアに協力していること。

「あたしは我慢できなくなって、プレシアを一発ぶん殴ってやろうと思った。だけど、このザマさ・・・」

 アルフは自分が知っていることを全て話し終えると、深く息を吐いた。

[……とりあえず、プレシア・テスタロッサの目的はわかっただけでもよしとしよう]

考え込むアルフとユーノに、そうクロノが告げた。

「うん、そうだね。なのはと綾さん、聞いてた?」

[うん。聞いてたよ……]

[こちらも聞いてたよ。]

念話越しに、元気の無いなのはの声が皆に聞こえてくる。

[なのは、君の証言とアルフの証言から、彼女の言葉に嘘偽りはないと判断する]

[うん。これからどうなるのかな?]

クロノの言葉に、なのはが質問を返した。

[プレシア・テスタロッサ及び、ゼロを捕縛する]

 
[だから、僕たちは艦長の命令があり次第、今回の任務をプレシア・テスタロッサとゼロの捕縛に変更する。
君はどうする、高町なのは?
それに南條綾]

クロノがそう話すと、なのははしばらく黙っていたが、決意の篭った声で話し始める。

[……わたしはフェイトちゃんを助けたい!
アルフさんの想いと、それからわたしの意思。フェイトちゃんの悲しい顔は、
何だかわたしも悲しいから。だから、その悲しい思いから救いたい。
それに、友達になりたいって返事もまだ聞いてないし]

「私は最初っからなのはのサポートって決めていたからなのはのお手伝いはするつもり」

[わかった。こちらとしても、君達の魔力を使わせてもらえるのはありがたい。
正直な話、今の僕たちだけではフェイト・テスタロッサとゼロの相手をするのは厳しいからね。
だから、フェイト・テスタロッサについてはなのはに任せる。アルフ、それでいいか?]

「ああ。……なのは、だったね。頼めた義理じゃないけど……だけど、お願い。……フェイトを助けて」

[うん。大丈夫、任せて!]

なのはの元気な声を聞き、皆は自然と笑顔を浮かべた。

うんやはりなのはの笑顔ってひまわりの様であり
すべてを安心させる多いつくす癒しの笑顔だなぁ
これが俺のしたい理由だ
意外とゼロも同じだったりして
 
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