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魔法少女リリカルなのはエトランゼ(異邦人) 再構築

作者:南條 綾
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2部 P・T事件
4章 海上決戦
  海上でのやり取り

 待機中だったアースラ艦内で唐突に鳴り響いた警報に、
俺は、急ぎブリッジへと向かっていた。
その後ですぐになのはとユーノがブリッジに入ってきた。

「はぁ、はぁ……フェイトちゃんっ!!」

 なのはがブリッジへと駆け込むと、映し出されたモニターにはジュエル・シードを封印するため、
激しい戦いを繰り広げているフェイトの姿が映し出されていた。
映し出されたフェイトの表情は、魔力を使いすぎて辛そうであった。
ジュエル・シードを発動させた雷呪文
あそこまでの広範囲呪文は本当に凄い
さっきまでなのはは凄いと思っていたが
やはりフェイトも凄すぎるな。
でもやはりゼロの動きが不自然すぎる
フェイトを守りながら行動はしているが
手を出さなさすぎだ
やつならバスターライフルとかあるのに何で!

「わたしもすぐに現場に――」

「その必要はないよ」

 なのはの言葉にクロノが冷たく言い放つ。
そんなクロノを驚きの表情でなのはは見つめる。
クロノはそのまま話を続ける。

「放っておけばあの子――フェイト・テスタロッサも自滅するだろうし、
それを守りながら戦っているゼロも疲れてくるはず好都合だ」

 クロノの言葉になのはは驚きで言葉を失う。

「仮に自滅しなくても、力を使い果たしたところで叩けばいい。」

「っ!? でもっ!」

「今のうちに捕獲の準備を!」

「了解」

 クロノはあえてなのはを無視するように、管理局員に指示を出した。
さすがお役所合理的だね
なのはは悔しさともどかしさから、自然と握った拳に力が入る。
クロノ間違ってるゼロは全然セーブしている

 その時艦長席に座っていたリンディが諭すように話す。

「私たちは常に最善の選択をしないといけないわ。残酷に見えるかもしれないけど、これが現実……」

「でも・・・っ!」

 俺はなのはを見つめる
本当は俺がとってもいいけれど俺が持っている瞬間移動は近距離移動、相転移、一度言った場所での瞬間移動。場所が分からないと使用できないんだよな
さてどうしようか

 なのはは叫ぶが、言葉が続かない。
なのはの表情が悲しみに歪む。

 [行こう]

 そこにはユーノが微笑みを浮かべながら立っていた。
ユーノの念話による声であったのだ。

[なのは、行って。僕がゲートを開くから、行ってあの子を・・・綾さんお願いします]

[了解、ゼロを防ぐ役目は任せて、まさかユーノがゲートの呪文が使えるとはびっくりだ]

[でも、それはわたしの理由で、ユーノくんと綾ちゃんには]

[うん。関係ないかもしれない。・・・だけど、なのはが困ってるなら、
僕はなのはを助けたい。
なのはが僕にそうしてくれたように。初めて誉めてくれましたね綾さん。ありがとう]

ユーノの言葉になのはは驚きの表情を浮かべる。

[行こう・・・なのは・・・]
[うん]

 そんななのはの表情を見たユーノは微笑みの表情を崩さず、背後に転送用のゲートを作り出した。
そして、俺はなのはの手をそれに向けて走る。

「っ!? ……君はっ!?」

それに気付いたクロノが声を上げるが、

「ごめんなさい! 高町なのは、指示を無視して勝手な行動を取りますっ!」
「勝手な行動とるね、でも命令権無いから大丈夫だよね」

「あの子の結界内へ――転送!」

 ユーノの言葉と同時に、なのはと綾の姿はアースラから消えた。


 フェイト、アルフ、の二人はジュエル・シードの封印に手間取っていた。
その最大の理由はジュエル・シードを発動するために使った大呪文であった。
フェイトの魔力を大量に消費してしまったためであった。
それと、ジュエル・シードの数が六個とかなり多かったからだ。。
フェイトはジュエル・シードの攻撃を回避しながら、焦りを募らせる。
フェイトが見つめる視線の先には、ビームサーベルを振るい
ビームライフルを撃ちながらジュエル・シードの攻撃をいなしているゼロの姿があった。

 そんな時だった。


 空から膨大な魔力を感じ取り、フェイトは戦闘中であることも忘れ空を見上げた。
その視線の先、遥か上空から白いバリアジャケットを纏った高町なのはが舞い降りた。
空を覆っていた雲の間から太陽の光が降り注ぐその光景は、
なのはの来訪を祝福しているかのようであった。
まるで天使だねと俺は思ったが
絶対に本人の前では言わないようしよう
フェイトはそんななのはの姿をじっと見つめていた。

 突如、アルフがなのはの方へと突進していった。

「フェイトの邪魔をするなーー!」

 アルフの突撃になのはは僅かに驚いた表情となるが、
その間に割ってゲートを開いたユーノの姿があった。

「違う! 僕たちは君たちと戦いにきたんじゃないっ!」

 ユーノ・スクライアがアルフの攻撃を防御しながら叫ぶ。

「まずはジュエル・シードを停止させないと不味いことになる! だから今は封印のサポートを!」

 ユーノは襲い掛かってきたアルフを無視し、魔法陣を展開すると、
ジュエル・シードをバインドによって抑え始める。
その姿を見たアルフは呆然としていた。
駄犬とフェイトは困惑の表情を浮かべていた。
そりゃそうだろう
ジュエル・シードを取り合う敵同士だと思っているのにこのような行動されたら
事情を知らないものが見たらきょとんとなるのは当然か
そんなフェイトになのはが近づいてくる。

「フェイトちゃん、手伝って! ジュエル・シードを止めよう!」

 なのははフェイトにそう話すと、レイジングハートをフェイトの方へと向ける。
すると、レイジングハートから桃色の光が飛び出し、フェイトの身体を包んでいく。
フェイトは驚いた表情でなのはを見つめる。
先ほどの桃色の光はなのはの魔力であり、なのははそれをフェイトへと分け与えたのだ。
今、フェイトの魔力はかなり回復していた。
その相手の行動がフェイトには信じられなかった。

「二人できっちり半分こ――」

 フェイトははっとなり、視線をなのはへと戻す。そこには優しく微笑むなのはの姿があった。
なのはの言葉にフェイトは困惑する一方であった。
しかし、なのははそれに構わず話を続ける。

「今、ユーノくんとアルフさんが止めてくれてる。だから、今のうちにっ!」

「二人でせ~ので、一気に封印!」

 なのははフェイトが悩んでいることも気にせず、そう言い放つと飛翔し、レイジングハートをシューティングモードへと移行しながらジュエル・シードの攻撃を回避しつつ砲撃が可能なポイントへと移動していく。
フェイトはそんななのはの姿を黙って見つめていた。

「Sealing form set up」

「バルディッシュ……?」

 声を上げたのは、フェイトのデバイスであり、相棒でもあるバルディッシュであった。
まるで、悩んでいるフェイトの背中を押すかのように、シーリングフォームへと形を変化させる。
決意を固めたフェイトは、巨大な魔法陣を展開し、ジュエル・シードを封印する体勢に入る。
同じように、フェイトから離れていたなのはも封印の体勢に入った。

 俺はゼロのほうを向きながら

「さてっと、こちらは・・・」

「ふん、俺はそこまで空気が読めないわけではない
貴様が余計なことをしなければ手を出さないさ」

「手を出したら」

「その時は背中に用心することだな」

こちらのフェイスガードのゼロさんは怖いね
やはり意図が分からん

 フェイトはバルディッシュを上空へと掲げ、
なのはから分け与えられた魔力を込めていく。
同じようになのはもレイジングハートに魔力を込め、砲撃の姿勢を取る。
そして、二人の準備が整った。

「せぇ~のっ!」

 なのはがレイジングハートを持つ手に力を込めながら叫ぶ。

『サンダー・・・』

 フェイトの静かだが力強い声が聞こえると、バルディッシュが電気を帯び始め、

『ディバイィィン……』

 なのはもレイジングハートの先端に膨大な魔力を集め、

『レイジーーーー』

『バスターーーー!!』

 二人の叫びにも似た声が重なり、互いにジュエル・シード目掛けて、
攻撃魔法を放った。それは、六個もあったジュエル・シードを簡単に封印できるほどの威力であった。
ジュエル・シードの封印は無事完了した。

ここにいるやつら末恐ろしいな
アルフにしろユーノにしろ
弱く感じるかもしれないが
そんなことはない
かなりの力の持ち主だ
駄犬扱いはするけれど

「――わたしは、フェイトちゃんといろんなことを話し合って、分かり合いたい」

 聞こえてきたのはなのはの声。優しく包み込んでくれるような、俺の好きな落ち着く声であった。
 そして、なのはは一旦話を止め、一度大きく息を吸い込み続きを話す。

「フェイトちゃんと、友達になりたいんだ」

 そんななのはの言葉に、フェイトは驚いたように目を見開いていた。
なのははただ、フェイトと友達になりたいだけなのだ。
確かに、ジュエル・シードのことやフェイトの事情もあるが、
なのはは自分自身の意思でフェイトの友達になりたいと願ったのだ。
一番の傲慢さんはなのはかもしれないなぁ
フェイトとなのはがジュエル・シードの封印に成功し、話をしているとき、アースラでは警報が鳴り響いていた。

「次元干渉!? 別次元から本艦および戦闘区域に向けて、魔力攻撃きますっ! ……あ、あと六秒!!」

「な……っ!?」

 いち早く状況を把握したエイミィが叫び、その言葉にクロノが驚愕すると同時に、
アースラは何者かの魔力攻撃によって、激しく振動した。
一般局員が慌てふためいている中、クロノはすぐに体勢を整え転送ポートへと走る。

「くっ……なのはたちの方も心配だ。僕もあちらに向かいます!」

「わかったわ。こちらは任せてっ!」

「了解!」

リンディの言葉に言葉を返すと同時に、クロノはなのはたちの下へと転移した。



そして、同じようにフェイトたちの方にも次元干渉の魔力攻撃が迫っていた。
空には曇天の雲が見えており、紫色の雷が鳴り響いている。

「か、母さん……」

その攻撃を見て、フェイトは空を見上げ呆然と呟く。その表情には、驚きと怯えが浮かんでいた。
そして、次元干渉の魔力攻撃がフェイトを襲った。

「う、うぁぁぁぁ!?」

 紫の魔力が雷のように、フェイトもろとも周囲へと降り注いだ。

「フェイトちゃんっ!?」

 なのはも名前を叫びながら、フェイトの下へと向かおうとするが、魔力攻撃の余波で上手く接近できないでいた。

「っ!」

 すると、アルフがこの混乱している中、ジュエル・シードの奪取に向かう。
フェイトを心配する気持ちもあったが、このままでは今回の全てが無駄になってしまうと感じたのだ。
フェイトの気持ちを汲んで向かいにいった。

(もう少し……っ!?)

アルフの手が僅かでジュエル・シードへと届きそうだったその瞬間、
転移してきたクロノにあと一歩のところで阻まれた。
アルフはジュエル・シードの邪魔をするクロノを憎しみが篭った瞳で見つめる。

「邪魔、すんなぁーー!」

「くっ!?」

 アルフはクロノのデバイスを掴み、力任せにクロノごと海へと投げる。
アルフはクロノが飛んでいった方向を少し見た後、ジュエル・シードへと視線を向ける。

「三個しかないっ!?」

ハッとしたアルフは、先ほど投げ飛ばしたクロノへと再度視線を向ける。
そこには、海へと投げ飛ばされたけれど、体勢を立て直したクロノがいた。
そして、その手には残り三個のジュエル・シードが握られていた。

「アルフ失敗したな」

「ゼロ!?」

 アルフが声のした方へと視線を向けると、そこには気絶したフェイトを抱きかかえたゼロの姿があった。
 フェイトは気絶はしているものの、外傷なくアルフはホッと一息ついた。

「アルフ今回は邪魔が入りすぎた撤退する」

「わかったよ」

 ゼロの言葉に、アルフは悔しそうに言葉を返す。
そして、ゼロたちが撤退しようとしたとき、

「逃がすと思うかっ!」

 それに感づいたクロノが魔力弾を放とうとデバイスを構える。――だが、

「邪魔だ」

 それより早く、ゼロはビームライフルを構えて海へと打ち込む。すると、海水が大きく跳ね上がり、フェイト達の姿をクロノ視界から消した。

「くっ!?」

 クロノは慌てて魔力弾を放つ。だが、視界を塞がれた状態では当たる筈もなく、跳ね上がった海水がなくなったとき、
そこにはフェイト達の姿はなかった。
辺りを見回してみても姿がなかったため、クロノは悔しげに表情を歪める。

「フェイトちゃん・・・」

 結局大きな動きをしなかったな
何がしたいんだあいつは・・・・
最期までフェイトを抱える以外何もしなかったなぁ
  
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