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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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381部分:第三十一話 張三姉妹、書に気付くのことその一


第三十一話 張三姉妹、書に気付くのことその一

            第三十一話  張三姉妹、書に気付くのこと
 バイスとマチュアを専属のマネージャーにした三姉妹は順調、いやまさに破竹の勢いで人気を上げていた。それは最早国で知らぬ者はない程だった。
「嘘みたいよね」
「そうよね」
 張角が張梁の言葉に笑顔で頷いている。
「私達のこと知らない人って」
「もう漢にはいないわよ」
「ついこの前までしがない旅芸人だったのに」 
 本当についこの前まで、である。
「何とか生きている感じだったのにね」
「それが今じゃ食べるものにも着るものにもこと欠かない」
 切実な問題である。
「しかも宿だってね」
「これまで野宿も普通だったのに」
「今じゃ上等のお宿のそれも一番いいお部屋よ」
「そうしたお部屋って何ていうんだっけ」
「確かあれよ。スイートルームよ」
 張梁はこう姉に話す。
「バイスが言ってたけれどね」
「そうよね。それにしてもバイスさんとマチュアさんがマネージャーになってくれて」
「人和も楽になったんじゃないの?」
「ええ」 
 その通りだとだ。これまで黙っていた張宝が静かに頷く。
「歌と踊りに専念できるから」
「そうよね。三人共そっちにね」
「集中できるのって大きいわよね」
「そうね。それは大きいわ」
 張宝もこのことを認めて頷く。
「私かなり楽になった」
「そうそう。何か私達絶好調って感じ?」
「このままいける?何処までも」
「油断は禁物」
 張宝はここで手綱を引き締めた。
「そこから全部駄目になっていくから」
「あっ、そうね」
「慢心は駄目よね」
 二人の姉は末妹の言葉にはっとなった。
「私達の夢って大きいからね」
「漢だけじゃなくて西秦や倭にもね」
「そこでも舞台やってね」
「皆に私達の歌を聴いてもらわないと」
「そういうこと」
 張宝は姉達の言葉に頷く。三姉妹の夢はとにかく大きいのだ。
「だから」
「そう。まだまだ私達の夢ははじまったばかり」
「こんなところで得意になったらね」
「駄目よ」
 こんな話をしながら旅を続け各地で舞台を開いていた。そしてだ。
 この日は幽州に来ていた。ここに来るとすぐにだった。
「やっぱり寒いよね」
「そうだよね」
 まずその寒さを感じるのだった。
「話には聞いてたけれどね」
「やっぱりよね」
「はい、これ」
 張宝は姉二人にすぐに上着を差し出した。
「二人共これを着て」
「あっ、有り難う」
「それじゃあ」
「私達の服はお肌をよく出す服だから」
 だからだというのである。
「風邪をひかないようにね」
「有り難う、人和ちゃん」
「それじゃあね。有り難く」
 張角と張梁はすぐに妹が出したその服を着る。ここで、だった。
 バイスとマチュアが三人のところに来て告げるのだった。
「それじゃあ燕都に行くわよ」
「いいわね」
「そこなのね」
 張宝が彼女達の言葉に応える。
「今話題の桃家荘には行かないのね」
「あそこには剣がいるわ」
「それに鏡も」
 ふとこんなことを言う二人だった。顔が歪んでいる。
「だから」
「今はね」
「今は?」
 張宝はその言葉にふと問うた。
 
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