ドリトル先生と悩める画家
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八幕その八
「今日の晩御飯も楽しみだよ」
「そしてお昼は何か」
「晩御飯も楽しみだけれど」
「一体何を食べるの?」
「それで」
「うん、おうどんがいいかな」
先生はお昼はそれはどうかと言いました。
「あれもあったまるからね」
「あっ、いいわね」
「おうどんもね」
「じゃあおうどんも食べて」
「そうしてあったまりましょう」
「おうどんはいつも食べてるけれどね」
こちらも先生の好物になっているのです。
「冬は特に美味しいね」
「何といってもあったまるから」
「だからよね」
「冬のおうどんは最高」
「他の季節よりも」
「そう、じゃあね」
「今日のお昼はおうどんだね」
動物の皆も笑顔で言います。
「そっちも楽しみだし」
「お昼も食べましょう」
「そしてあったまりましょう」
「そうしようね」
こうしたこともお話してです、先生は皆で実際にお昼はおうどんを食べました。勿論他のお野菜のお料理や御飯もです。そうしてあったまりました。
しかし講義に行く時にです、先生は寒空の下風景画を描いている太田さんを見て言いました。
「こんな寒い時でも」
「うん、描いてるね」
「やっぱり凄い勢いで」
「あの真剣さは頭が下がるよ」
「あそこまでするんだね」
「好きだからだね」
だからだというのです。
「寒くてもやるんだ」
「そうしてスランプから脱出する」
「そのことを目指してるんだね」
「だからこそ頑張る」
「寒くても」
「元々好きなんだろうね」
こうも言った先生でした。
「絵を描くことが」
「最初からなんだ」
「スランプ云々じゃなくて」
「普通に絵を描くことが好きなのね」
「それが太田さんなのね」
「そうだろうね」
こう皆にお話するのでした。
「だから雪が降りそうでもなんだ」
「描くんだ」
「そうなの」
「そうだと思うよ」
こう言うのでした、太田さんを見て。ですが。
またお空を見てです、今度はお空と同じく曇ったお顔で言いました。
「本当に天気が悪いね」
「うん、どうしてもね」
「本当に雪が降りそうだよ」
「寒いしね」
「降らないといいけれど」
「それは心配だね」
先生にとってもです。
「降らないことを祈るよ」
「全くだね」
「そのことについては同感よ」
「僕達もね」
「少なくとも夕方までは」
「お家に帰るまではね」
「降らないで欲しいよ」
先生のお言葉には切実なものさえありました。
ページ上へ戻る