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ハイスクールD×D~黒衣の神皇帝~ 再編集版

作者:黒鐡
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課外授業のデイウォーカー
  最下層・抜き取られた聖杯と上役達×公開処刑と化したフィールド

最下層への階段を下りてく俺達、ここで第一階層に居たルシファー達と合流後にアーシアも禁手化解除してる。俺らやアザゼルにとっていいデータが採れたと思ってるし、試作簡易型赤白龍神皇帝は強度が足りないようなので研究データをトレミーに送信。先頭は俺とギャスパーであり、もうそろそろヴァレリーを助け出す事もだが落ち着いて階段下りると装飾凝った石造りのデカい扉が出現。

「一真先輩、ヴァレリーはもう・・・・」

「俺の予感もギャスパーの思う通りだが、真の力を発揮するチャンスでもある」

「・・・・ヴァレリー」

デカい扉を蹴り飛ばして入室するが、俺とギャスパーの思ってた通りとなってた。最下層は祭儀場と言う感じで、儀式に使われそうな場所で怪しい銅像や書物の棚が部屋のあちこちに置かれてた。

「・・・・ギャ・・・・ギャスパー・・・・?」

ヴァレリーの声が弱々しく聞こえたので、辺りを見渡すと・・・・床に巨大魔法陣中央に寝台が置かれ、そこにヴァレリーが寝かされてた。魔法陣は最終段階に入ってるのか、怪しい輝きが一層放ち、その光はヴァレリーを包み込んでいて表情は苦痛しか言えない程に苦しい顔だ。

「ヴァレリー!」

冷静な表情をしながらギャスパーは叫ぶ。魔法陣に近付こうとしても、障壁に阻まれて近寄る事が出来ない状態。魔法陣内で術式操っている男、マリウスを見ながら言い放つギャスパー。

「貴方、私の約束を破る気満々だったようですね!これ以上ヴァレリーを苦しまないで下さい、そして本当の意味で解放を!」

ギャスパーはあくまで冷静に落ち着いた表情で、マリウスに訴えかけていた。それもリアス達が知らないギャスパーの静かなる怒りで、リアス達が知る情報は対人恐怖症と泣き虫に女装癖に神器コントロール出来てなかった。今のギャスパーは別人だと思うぐらい成長したんだと思うグレモリー眷属。

「ええ。最初から約束など口頭であり、私が言った『解放』とはこの事なのですよ。もうすぐ彼女の心身を蝕んでいた聖杯が取り出されますよ!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ!」

一層高い絶叫が上がりながらも、俺とギャスパーは静かに怒りを溜める。ヴァレリーの体から何かが出現し、ゼノヴィアと祐斗が魔法陣障壁を断ち切ろうとしても無駄に終わる。

「くっ!」

「斬れないか!」

「止めろ!今下手な攻撃をすると術式に影響が出て、聖杯と聖杯所有者のヴァレリーにも影響が出る」

「そこの真龍の言う通りですね、総督殿に案がありそうですけど無駄です。私は誰よりもこの聖杯に触れ調査して来ました。抜き出し方法も誰よりも熟知してます」

それ程強力な障壁なのだろう、それを斬りつけようとしていたアーサー達を止めるアグニ達。アザゼルは手元に小型魔法陣を展開させて、相手術式を調査すると舌打ちしてた。

「くっ!このプロテクトコードは・・・・シャルロットのだ!何故俺も知らんコードをお前が知っている!?これもリゼヴィムの野郎からの情報提供なのか!?」

「アザゼル、それをこっちに見せてくれませんか?・・・・ふむ、これは私しか知らないコードのようですね。やはりあのバカからのようです」

「彼らからは色んな情報を提供してくれました。お陰で聖杯研究は飛躍的に進み、滅んだはずの邪悪な魔物達も現世に復活させる事が出来たのですよ。それとヴァレリーが持つ聖杯は、今までの聖杯所有者よりも突出部分がありまして。主に生物にとっての弱点を可能な限り薄めるという面が優れていたのです」

吸血鬼達が強化されて、邪龍共に龍殺しの効果が余り無いのもヴァレリーが持つ聖杯がその分野に強かったようだ。マリウスが術式操作を止めると。

「ふふふ、お陰で無事完了致しましたよ」

魔法陣の術式が強い発光をして、ヴァレリーを包み込んでたがアーシアの神器抜き取りは未遂に終わってた。これが本来ある悲しみのようだが、俺には関係ないのでスルーしてる。静かに怒りと攻撃するタイミング取ってたが、体内から小さな杯が出現して金色に輝く代物。あれが神滅具の一つで聖遺物の聖杯。

「・・・・あぁ・・・・」

ヴァレリーは神器を取り出された事により生気を完全に失い、寝台でぐったりする瞬間に俺が神速を使ってヴァレリーを奪還した。で、ギャスパーが居るとこまで運んで行く時にマリウスの野郎は何も行動しないのが不気味に思うのは俺達だけのようで。聖杯を取り出したからもう用済みなのだろう。

「これが・・・・神滅具『幽世の聖杯』で、しかも禁手の発動条件も揃った代物です」

魔法陣の障壁が無くなったからと言っても、既にヴァレリー奪還済みで今にも死にそうだから延命処置をした。これで少しは喋れるが、神器を抜かれた者がどうなるかは分かってる事だが死者蘇生も出来る俺が居なかったらどうなってたか。延命措置したとこで変わらないし、生き返るには聖杯をヴァレリーに返還すれば大丈夫なはず。

「ふむ。妙だな。神滅具の抜き出しにしては・・・・」

流石のアザゼルも気付いたようだが、今は横に寝かされているヴァレリーにギャスパーが静かに話しかける。

「ヴァレリー、貴女の仇は私が取ります」

その声に反応して目を開けるが、ギャスパーの変わり様にヴァレリーも驚いてた。だけどその目は怒りに燃えてたギャスパーの目でもある。

「・・・・何時の間にギャスパーは変わったのね、これも一真様と一緒に居たからかしら。昔のギャスパーなら泣き虫だったはずなのに」

「ごめん、私は、いえ僕は君を助ける事ができなかった・・・・」

「いいえ、私はちゃんと助けてもらったわ・・・・最期に・・・・変わり果てたギャスパーに会えた・・・・それだけで十分よ、それに私の唯一の友達・・・・家族。ねぇ、ギャスパー・・・・」

「何かな?」

「・・・・お日様・・・・見たかったわ・・・・皆でピクニックに行けたら・・・・どんなに・・・・」

「見れるさ、今は一真先輩の延命処置でこんなに喋れるんだ。僕が連れて行ってあげるよ、ピクニックも行きたいね」

その手を取りながら、ギャスパーは静かに言って天井を見上げるヴァレリーはその先を見据えていた。危篤状態でもギャスパーは泣かない顔ではなく、落ち着いて静かに怒りを燃えても冷静な目で語りかけている。

それも知らないヴァレリーもだが、リアス達もとても驚いた顔してたけどハイブリッドの朱乃と白音も同じ気持ちでな。この状況に耐えられなくなったアーシアは、護衛役のファーブニルによって抱きついてきた。

『全く、まさかアーシアを泣かせるとはとんでもない奴だ』

『ここは任せな。俺とギャスパーは静かに怒りで燃えている事に気付いてるのは』

アーシアも一度体験するはずの道であったが、例え未遂であっても悲しむ事が出来るのも友達が目の前でこうなれば誰だってこうなるさ。アーシアの道を修復したのも俺だが、ヴァレリーがこうなる事も知りながら黙ってた。ヴァレリーはギャスパーの頬を撫でた後、ギャスパーの胸元に手を添える。もしかしてヴァレリーはギャスパーの中にいる存在を知っていたのかな。

「・・・・ここに・・・・もう一人の貴方も居るけれど・・・・どうやら織斑様と貴方自身も知ってたようね。だったら最期にお願いしなくちゃ・・・・貴方ともお話がしたかったわ・・・・貴方が表に出れる所を見たかったけど《ヴァレリー、俺ならここにいるぜ》まあ・・・・貴方からそう言ってくると言う事は、ギャスパーを媒介にして喋っているようね」

《ああ。一真の旦那とギャスパーの許可で俺は表に出て来られる。俺もある意味でギャスパーであり、中にいるのもギャスパーである》

この声について俺とヴァレリー以外の者には聞こえないが、ギャスパーの気配が変化した事には気付いた様子だな。バロールと話した後、ヴァレリーの命が散りそうになるが昏睡状況になるのだろう。

生死の分岐点として死神ではなく神によって、生きてるけど俺ら以外の者らはヴァレリーが死んだと思ってる。この光景に不快に拍手するマリウス・ツェペシュは、聖杯を片手に掴みながら笑みを浮かべてながらリアスに告げる。

「リアス・グレモリー様、貴女の力を私に撃って下さい」

「・・・・ええ、遠慮なくいかせてもらうわ。何故一真達やギャスパーが無言のままの冷静振りに呆れてたから、代わりに私が怒りの鉄槌をくれてやるわ!吹き飛びなさい!」

俺らの事を不快に思っての一撃、手に危険な滅びの魔力を込めながらアーシアによる回復後、ある意味でヤバい危険モードと化した滅びの魔力が解き放たれる。奴は防御無しで受けたのだが、残された宙に浮かぶ聖杯と下半身のみで上半身は綺麗さっぱり消滅したかに見えた。

これで終わりなはずがないと思いきや、残った断面から肉が盛り上がり形を作って完全復活したマリウス。普通ならあり得んが聖杯の力で再生されたとしか思えん。

「ふむ、見て下さい。瞬時に回復特性も得ました。これも取り出した聖杯からの力が、所有者の体内にあった頃よりも抵抗なく放出可能なのでしょうね。上半身消滅時は流石に魂も消えるかと思いましたが、下半身に残留する魂があればこの程度の損傷は復活できるレベルのようですね」

「アレが聖杯の力、上半身が無くなろうが頭だけになったとしても体の一部があれば復活可能と言う事か」

「先程グレンデルが言ってた事は本当のようですね『魂さえ残っていれば体を新調できる』と言うのは」

「だがこの状況で拍手する輩が居るようだな」

ヴァーリやルフェイに曹操も気付いたが、この状況を見て如何にもこちらが有利だと思ってる輩がいる。マリウス以外の吸血鬼で、祭儀場の暗がりから多数の人影が出現した事により警戒態勢を取るグレモリー眷属。

「・・・・やはりそうだ」

「再生能力が向上している」

「まるでフェニックスのようですな」

出現した中年・初老のクソジジイ達の威厳がある者ばかりで、純血吸血鬼だから立ち振る舞いだけで王族かそれに近い偉い者らなのだろう。コイツら全員マリウスに荷担した者ら、皆々の登場によりコイツは口元が緩んでた。

「これは叔父上方。準備整いました。どうされます?早速更なる強化を施しますか?」

「夜の永遠住人である吸血鬼は、弱点の多い種族だがそれを無くすとどうなるか分かってるつもりなのか?」

「日の光、流水、十字架、聖水・・・・人間よりも優れた種族であるのに、我々はそれらを抱える所為で彼らの隆盛を許してしまった」

更なる強化についてもだが、吸血鬼と言う種族を無くすと絶滅危惧種となってしまうのは俺的にヤバい事だ。人間以外の種族でも弱点はあるが、それを補う事で弱点克服しようと努力する心得を持つ。上級悪魔だろうと己の力を強くしようと修行する悪魔はレアだし、チートな力を使うのは俺達だけで充分かもしれん。

「聖杯を用いて我々は吸血鬼を遥か超越した存在に作り替える!」

「そして人間共に代わり、この世界を支配せねばならない。我ら上位種に支配されてこそ、人間達は本来の家畜としての本懐を遂げられるのだよ!」

・・・・家畜ね、どんだけ見下すんだコイツらは。まあここには半神半魔と神に神滅具持ちが五人居るし、吸血鬼や悪魔は一部の者達に威厳やら格上と言う調子に乗ってる者らが沢山居るから腹立つ。ここは公開処刑もいいかもしれんし、コイツらが上位種だと言うのなら全てを創った創造神である俺に瞬殺されても文句ねえよな?

「放逐された家畜が無駄に増えるのは仕方のなかった事とは言え、永い物でしたな」

「全くです。しかしこれで世界は真の姿になれるでしょう」

「あとは現王と憎きカーミラを始末すれば全てを新たに始める事が出来る。そして計画の最終段階、この国の住民を全て作り替えるのだ」

「折角、我が国に聖杯が(もたら)されたと言うのにあの王は現状維持を訴え、吸血鬼の進化を否定した。余りに愚鈍であった」

「・・・・とまあ、私について下さった上役はこのような意見をお持ちなのですよ。私は聖杯を使って自身の研究を進められればいいだけの事」

愚鈍はお前らだと思うし、作り替えると言ってる合間にテメエらの存在を消す事も可能。それも一瞬でな、首謀者であるマリウスが頷きながら微笑みを俺らに向ける。イカレ具合もだが、そんな事の為に『禍の団』を引き寄せてこの連中らを煽ってクーデターを仕掛けた。全て自身の聖杯研究の為だけに動いてただけだし、用済みと判断されたヴァレリーを殺しても気にしない。

『ギャスパー、昏睡状態のままだが生きてるのは俺とお前だけだ。普段使わない力をここで使っても問題なさそうだしな』

『はい。私もヴァレリーの心臓が動いてますし、怒りの頂点が達しました。前回は幻術による力でしたが、今回は全力を持ってコイツらを殲滅します!』

《ついでに俺の力も表に出す。それ程しないと気が済まない程にな》

CB以外は死んだと思ってそうだし、俺とギャスパーの念話会議してる間にアザゼルは目を細めて言う。

「・・・・荒れてるね、ったく。しかし神滅具というのはホントにとんでもない代物だ。それを持って生まれただけで、その世界の(ことわり)が崩される」

「まあな。俺やヴァーリに曹操と言った神滅具所有者も仲間前なら、この世界を崩壊させまくりだ。俺に宿った事で二天龍の因縁と言う宿命は終わり、互いの仲間意識を高めてドライグとアルビオンも戦い方をアレンジしている。『黄昏の聖槍』の曹操・『絶霧』のゲオルグ・『魔獣創造』のレオナルド、コイツらじゃない所有者で敵になってたかもしれん。今回は随分とラッキーだとは思わんか」

「一ちゃん達が神滅具をちゃんとした利用してるし、今回はイレギュラーが多い。ここに居るヴァーリや曹操達もCB側になれたのも、ある意味でラッキーな出来事なのかもしれない。だがお前らがその神滅具を持つのは非常に危険だ、その聖杯を渡してもらおうか。返答次第では戦闘があっても可笑しくない状況だ」

アザゼルがマリウスに忠告するが、今度は俺に忠告するように言う。

「貴方方も神器・神滅具を言い様に使っているではありませんか・・・・単に価値観と文化の違いで、相互理解が不能になっているだけでしょう?」

「ならここにいるグリゴリ総督であるアザゼルに渡しな。神器研究についてはグリゴリの専売特許を持ってるし、保存から封印まで出来てしまう組織と言おう。だがそれでも嫌なら創造神黒鐡である俺かオーディンかゼウスに渡せ。その聖杯は持ち手によっては危険な代物だ、特性・監視・保護対象を持つがそう聞いても渡さねえだろう」

俺もアザゼルも考えながら笑ってしまい、マリウスも薄気味悪い笑みを浮かべているが当然のように渡す程バカではないと思ってる。ツェペシュ王・・・・エドワードが逃げ込んだ時に約束した。

現政権持ちたいのならツェペシュ側とカーミラ側の争いを止め、吸血鬼同士で俺が仲介しながら和解と友好をし、更に三大勢力に停戦してくれと頼んだ。エドワードもモニカも最初から理解してた様子。そして吸血鬼の上役達が俺らに言う。

「魔王殿の妹君、堕天使の総督殿。そして前四大魔王、悪魔の世界でも古来より気高い血を有する者が上に立ち、それ以外の者達を付き従える。真実はそうだったはずだ」

「貴方方も人間の欲を糧にして生きてきた。我々の場合は食料が人間だっただけで考え方は同じはずです」

「リアス・グレモリー殿、我らと同様の純血貴族である貴女ならばご理解下さるでしょう。貴族とそれ以外の生き物の差というのを・・・・」

「そこまでだ!どうやらお前らを処刑するしかなさそうぐらいに、ここで公開処刑を始める!ギャスパー、いやバロール!出番だ、表に出ろやぁぁぁぁ!」

《ああ、俺も一真の旦那も静かに怒りを溜めていたが。どうやら旦那も俺も堪忍袋の緒が切れた、ここで公開処刑を開始しようか。なあ相棒?》

「ええ、私も貴方も私自身です。私達で貴方達を葬り去ります、行きますよ。私の声と体をバロールに預けます!」

吸血鬼達の演説を遮るように怒りが爆発し、祭儀場に響き渡る声と表に出たバロール。表裏一体のギャスパー、全員が室内を見渡して二人を見ると全身ドス黒いオーラが生み出される。これは前回の幻術ではなくマジな方か、室内を覆いギャスパー・ヴラディの目はヤバい程危険過ぎる輝き。一ちゃんも今まで怒った事を見た事ないが、これ程とは思えない程の双眸でマリウスと吸血鬼の上役を激しく睨んでいた。

《やっと俺の出番となったんで、とことん暴れさせてもらうが今何て言った?貴族とそれ以外の者と俺は聞こえたが》

「ああ言ったよバロール。それも俺らの前でな」

「一ちゃん、ギャスパーの様子が変だぞ。ってか今バロールと言わなかったか?」

「それについては後程な。今はコイツらの処刑が先だ、この俺である創造神黒鐡とギャスパーの中にいるもう一人のギャスパーで処刑を行う事をな」

《おいお前ら、テメエらが言う超越者と言う存在とやらを俺と旦那に見せてみろ・・・・》

祭儀場が次第に闇に染まるが、俺は普段の俺とは思わない程の怒気と覇気と殺気を向けていた。バロールも同じくそうだが、前回は幻術だが今回はマジな方の暗黒・漆黒・暗闇と化した。俺とバロールの殺気によって展開されて、上下が闇に染め上がり光を感じないフィールドと化した。闇を生み出すバロールにも変化が訪れる、全身が闇に染まり人の形を崩して暗黒龍となる。

俺も無言で黒鐡改召喚後、隣に居る暗黒龍と化したバロールと破壊神黒鐡改激情態モードとなる。普段と違い大きさと目とオーラが段違いだし、目の色は緑から赤で纏うオーラも暗黒面となる。バロールも破壊神黒鐡も闇オーラを全身に放つが、CB以外は震えて見ているだけだ。

《この姿は俺である魔神バロールの意識の断片と融合した結果変質し、全てを喰らう闇を操る存在になった》

『その通りだ、で、その姿の名は「禁夜と真闇たりし翳の朔獣(フォービトゥン・インヴェイド・バロール・ザ・ビースト)」と名付けようか。ちなみに俺も普段とは違う俺であるぞ。今の状態は破壊神黒鐡激情態モードと言おうか』

獣の咆哮と魔神による咆哮であり、元々黒鐡改は魔神の姿だろうと時が変わり創造神と言う立ち位置になったので神々しいオーラを発するようになった。今だけは魔神であり破壊神であり、現れた暗黒龍と破壊神黒鐡は五メートルぐらいの全長。アザゼルとアグニ達CB兼黒神のみ静観してた。

「おいおい黒ちゃんが創造神から破壊神になるともう誰にも止められねえぞ!それよりあの現象は一体?さっきから黒ちゃんはギャスパーの事をバロールだとか言っていたが、やはりホントの事だったのか!」

アザゼルだけはそう言っていたが、神器に詳しいアザゼルにもこの有様は分からずにいたか。

「こ、これは・・・・っ!」

「何だというのだっ!?」

破壊神と化した黒鐡改と暗黒龍と化したバロールを見てた吸血鬼の上役も震えてたが、マリウスだけは冷静に分析するよう俺とバロールを見る。正確にはバロールの方だけど。

「・・・・落ち着いて下さい、叔父上方。これがユーグリット殿からの報告にあったギャスパー・ヴラディの本性なのでしょう。それにしてもまさか創造神黒鐡もここで破壊神に目覚めるとは驚きですね。しかし恐れる必要などありません。進化した吸血鬼たる我々がハーフの力と破壊神の力如きに屈するようでは笑いの種にもならぬでしょ」

そう言われた上役達は臆しながらも強く頷く。

「そ、そうだ。その通りだ」

「我々は聖杯にて超越した力を得た吸血鬼。次のステージに進んだ我らがハーフと破壊神如きに遅れを取るはずが・・・・」

『バグンッ』



『ザンッ』

と何かに喰われた音と斬られた音が聞こえたと思えば、一人の吸血鬼が闇から生まれたワニの大きな口に飲み込まれていき、一人の吸血鬼は漆黒の剣による斬首されて倒れて喰い尽くされていく。頸と体が崩れ落ちたと共に破壊神黒鐡の闇が伸びてドラゴンヘッドにて喰われて行く。

《次のステージが・・・・何だって?》

『聖杯によって超越した吸血鬼ってこんなもんなのか?それにしても中々な味だが、これが吸血鬼の味も慣れれば旨いもんだ』

暗黒龍と破壊神が会話してる間、部屋の至る所から見た事がある黒い生物が誕生すると共に、黒鐡の分身体と言うべき黒い鎧を着た騎士が生まれる。三つ首の龍・爬虫類フォルムの蝶々・植物を媒体した龍・一つ目の巨人、暗黒フィールドから生まれて破壊神黒鐡の部下である黒騎士の指示があるまで動かない。

この光景に身震いしていく吸血鬼達だが、マリウスだけは平然としているが生まれた生物が歩み寄って行く。二人の男性が怒りに顔を歪めて自身の体から虫や獣を生み出していく。

「その手の芸当は貴様らだけではないぞ!」

「そうだそうだ!闇に包まれた獣とヒト化如きが・・・・」

啖呵切ってた男性達だったが、空を滑空してた鳥型魔獣に拉致られて運ばれた先に居るのは絶望しかない。待ち構えるバロールから生まれた暗黒生物・黒騎士団・ドラゴンヘッドが囲むようにして待機してると。

「「や、止めろぉぉおおおおおおおおっ!!」」

『挑発してきたのはそちらではないか、黒騎士も自由に動け』

《黒鐡の旦那もやるねぇ、ま、俺から生まれた生物の指示役を黒騎士に任せている》

抵抗空しく一方的に喰われたり斬られての惨殺された風景を見るアグニ達、惨殺後にドラゴンヘッドが喰われていくのをただ見るだけ。もし止めようとしても無駄に終わるだけだと分かってるし、創造神黒鐡とギャスパーの真の力によって全身の震えが止まらないグレモリー眷属。朱乃と白音によってまだマシな状態だが、真に受けているヴァーリ達は殺気を受けてもビビっていない。

「まさかこれ程とは。創造神黒鐡が怒るとこうなる訳か」

「創造神は三位一体とも聞いた事がある。が、今俺らが見ているのは創造神から破壊神にフォルムチェンジしたとしか思えん」

「これがギャー君の・・・・ううん、バロールの力なのですね姉様」

「そうね白音。バロールは神性を既に失われて魔の力のみ残った存在として知ってたけど、あの時とは桁違いの力で幻術ではなく真の力って感じだにゃん」

「これがギャスパーの真の姿だと言うのか、闇の魔物が増え続けているが俺らには一切攻撃してこない。どういう事か知ってる口だな、アスモデウス」

アザゼルが前四大魔王に言うと知ってたかのように話し出す。闇の魔物と黒騎士団は敵味方の識別が出来て、それを指示させているのが破壊神黒鐡が私達に襲わせないようにしてる。バロールに関してもで、ギャスパーの母親の胎内に居る時に魔神バロールの断片化された意識が宿って生まれた存在。

「だからギャスパーの神器である『停止世界の邪眼』は、バロールの力に引き寄せられたのだと思うわ」

「なるほどな、だから一ちゃんも名前だけ教えてくれた時にバロールと言った訳か。だが黒ちゃんの姿は何だ?」

「アレについてはほとんど見たい姿だけど、一応教えとくねー。アレは創造神黒鐡が破壊神黒鐡となり、更に激情態モードとなってるけど私達に攻撃しないよう破壊しないようにしている。本来なら敵味方情け無用に破壊行為をする存在だけど、怒りの矛先は幸い吸血鬼だけ向いてるから」

「ひぃっ!」

「そ、そんな!進化したはずの我らの力がっ!」

「な、何なのだっ!?」

「貴様らは一体、何だというのだっ!?」

アザゼル達は俺らの事を教えておいて、吸血鬼達は必死に抵抗するが、無駄だと分かっていて何度打ち倒しても魔物と黒騎士が立ち向かってくる。

《何故、上手く吸血鬼の力が発動しないか分かるか?お前達が聖杯によって強化された力を停止させているからだ》

『俺の場合は聖杯の力からの強化前になったお前達にしてる。さっさと黙って差し出せ』

停止能力と強化前に戻した発言によって凶悪な出来事だと思ったグレモリー眷属。敵である吸血鬼達が立ち回れないのも当然だし、奴らの足を取られて変化出来ないよう全身を闇での捕獲。

「くっ!人間の腹から出てきた卑しい『擬き』がぁぁぁぁっ!」

「近付くな!下賤な生き物がぁぁぁぁっ!わ、私達には高貴な血が・・・・貴様らには到底想像もつかない歴史と伝統を持って・・・・」

『そんな事知らねえよ!俺らは怒りの象徴となった存在だ、黙って喰われよ!ギャスパー・バロールもやっちまえ』

《おうよ、破壊神となった黒鐡の旦那。お前達、そこの吸血鬼共を喰らい尽くせ》

俺とバロールの指示によって動く黒騎士と闇の魔物は、吸血鬼の上役は無様に喰い尽くされてしまう。そして残った残飯をドラゴンヘッドが残さずに飲み干していくが、余りの光景にアーシアは目を瞑り耳を押さえた。護衛のファーブニルはまるで地獄絵図のように見えたようで。上役の吸血鬼が全て喰い尽くされた後、拍手する輩であるマリウスはこのような状況でも余裕で見ていた様子。

「素晴らしい。昨今、ハーフの間で異質な力を持つ者が生まれている。主に神器所有者なのですが・・・・キミはその中でも屈指だ。そこの黒鐡殿も破壊神の名に相応しい力を見せてくれた。それに聖杯に匹敵するポテンシャル。どうだろうか?私の研究に協力してくれるかね?」

この状況下でもそんな事が言える程イカレテるのか、奴の探究心もだが聖杯の力に余裕を見せているからなのか。俺とバロールの反応は微妙な雰囲気に満ちていた。

《・・・・・ヴァレリーのようにか?》

『この俺が協力するとでも思うのか?』

「怒っているのかな?まあ聞きたまえ。そもそも聖杯の研究は・・・・」

《・・・・・・・・》

言う事はそれだけかと呆れたので、まずギャスパーが腕を伸ばして横薙ぎに放つ。高速で放たれたそれをマリウスが反応できずに左腕を吹っ飛ばされた。

「おっと、これはこれは・・・・凶暴ですね。しかし、この程度は聖杯の力で強化した肉体には無意味・・・・」

再生されるはずの左腕は聖杯が輝いていても、一向に生えてこない。この反応にマリウスも訝しげになって首を傾げる。

「・・・・ん?何故だ。腕が再生しない・・・・聖杯の力が弱まった?はずもないな。では一体・・・・」

『・・・・・・・・』

今度は剣を神速で振り、勢いを付けて横薙ぎに放つ俺。マリウスはその場で飛び退き回避しようとしたが、ドラゴンヘッドによって右足を噛み砕いて尻餅をつくマリウス。

「くっ!・・・・今度は足か。何、この程度・・・・」

聖杯を輝かせても足は再生しないし、破壊された箇所が腐食し始める。再生されないし足も腕も生えてこない事により、流石のマリウスも徐々に焦りを感じていく。疑問を口にするが、俺とバロールはその顔が見たくて見たくてウズウズしてたよ。聖杯で復活できない表情をな。

「・・・・何故だ?何故再生しない?腕も足も!どうして再生の反応が出ないのだ!?ヴァンパイアとしての変化も起きない!コウモリ・虫・獣と何故化ける事が出来ない!?これも私の力が丸事停止させられてる所為なのか!?あり得ん!叔父上達は兎も角、直接聖杯を持つ力までもが能力を停止させられるなど・・・・っ!」

彼は自身の傷口を見て仰天する。腕と足が腐食し始めたと思えば、今度は傷口に闇塗れてた。

「・・・・き、傷口が・・・・闇に浸食されてるのか?闇が私の再生を阻んでいると・・・・?いや、そんな事は・・・・っ!キミ達は聖杯の力すら超えているのか!?」

《どうした?再生するなら早くしろ、出来るもんならな》

『だが再生不可だよ。俺が闇侵食と共にお前の細胞破壊してるのだが、破壊神の名は伊達ではない事で破壊と再生を繰り返すのみ。お前は俺とギャスパーの怒りを買ったのだ、それだけの事実でありお前は怒らせた報いを果たしてもらおうか』

一歩、また一歩距離を詰める俺とギャスパー。マリウスは焦りだして、俺らを嗜めようとする。

「ま、待て。落ち着きたまえ・・・・そうだ!この聖杯でヴァレリーのクローンを作ってあげましょう!魂もどうにかしてサルベージすればいい!悪い話ではないだろう?それに創造神黒鐡は死者蘇生出来る力を持つと聞く、それで蘇生させて日本に連れて帰りなさい。それで君達も満足なはずです!」

俺とギャスパーは互いに見た後、俺らは拒否するかのようなドスの利いた低い声を発した。

《・・・・その口を押さえろよ。お喋りは必要ない、ヴァレリーが蘇る可能性はあるかもしれんが、俺達はお前を生きて帰すぐらいならお前を殺してやろうか》

『テメエは怒らせてはいけない存在、神と魔神を舐めた代償をここで払え。お前はここで死すべき存在だ』

一歩一歩距離を詰める俺とギャスパー。マリウスは這いずりながら逃げようとするが、その表情は明らかに余裕ではなく絶望へと色が変わる瞬間であった。本体である俺とギャスパー、黒騎士団と闇の魔物達とドラゴンヘッドがゆっくりと近付く。

「く、来るな」

聖杯を突き出して俺らに向かって叫ぶ。

「来るなぁぁぁぁっっ!卑しいハーフと破壊神如きがぁぁぁぁぁぁっ!」

黒騎士団と闇の魔物達がマリウスを囲み、ドラゴンヘッドも待機しているが一斉に囲まれたマリウス。破壊神黒鐡とギャスパーの指示を聞くように待機してると、何時の間にか合流したルシファーが警告を告げたようで。

「リアス・グレモリー、貴女は恐らく近い将来、眷属の使用制限が掛けられそうね。まあウチの一真も色々とセーブすると思うけど、あの状態となった一真は破壊神となって暴れるでしょ。ギャスパー・ヴラディも危険な存在だけど創造神黒鐡を怒らせたらどうなるか、アレも理由の一つだけどね」

「・・・・・・・・」

ルシファーの言葉にリアスは何も返す事が出来ない。まあ前魔王ルシファーだからな。そして俺らはマリウスの眼前に立って真正面から告げて、それが合図となって闇の軍団は一斉にマリウスに群がる。無論喰らう為に。

《・・・・お前だけは、この世の肉片一つ遺す事は許されない》

『ああ。テメエだけは魂まで闇に喰われて死に果てろ、我らを怒らせた報復だ。痛い思いをしながら果てな』

「あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

絶叫が室内に響き渡って聞こえなくなったら何も無い状態へとなった。闇に喰われた末路と言うべき存在は、破壊神によって魂でさえ黄泉路ではなく直接地獄行きへとなるからな。そしてマリウスが居た場所には引き抜かれた聖杯だけが残っていた。 
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