ドリトル先生と悩める画家
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第七幕その九
「そうしたいです」
「ああ、ラフレシアはね」
「今は咲いていないですか」
「あのお花は特別だからね」
ただ大きくて凄い匂いをするだけではないのです。
「お花が咲くのはごく僅かな間だけでね」
「じゃあ今は」
「多分だけれどね」
「咲いていないですか」
「明け方の僅かな間だけで」
先生は植物学者なのでこうしたこともお話出来ます、動物学も植物学も沢山の論文を書いていて博士号も持っています。
「この植物園でも特別の観るイベントを開催する位だからね」
「そういえばそんなのやってますね」
「そうだね」
「だからですね」
「うん、今はね」
残念ながらというのです。
「咲いていないよ」
「そうですか」
「本当にあのお花はね」
「僅かな間しか咲かないんですね」
「咲いている姿はインスピレーションになるだろうけれど」
それでもというのです。
「それは諦めてね」
「わかりました」
太田さんも納得しました、もっと言えば納得するしかありませんでした。
「じゃあそうします」
「そういうことでね」
「はい、ただ熱帯のコーナーには行きます」
熱帯のお花達が咲いているそちらはというのです。
「そうします」
「それじゃあね」
「はい、そうして」
そのうえでというのです。
「スランプを脱出します」
「そのきっかけにするんだね」
「そうします」
「それじゃあ僕は別の場所に行くけれど」
「どちらに」
「椿の方に行くよ」
薔薇達からというのです。
「そちらにね」
「ああ、椿ですか」
「後で熱帯の方にも行くけれど」
「次はですね」
「椿の方に行くよ」
「そうですか。じゃあ熱帯の場所でお会い出来たら」
「またね」
先生も応えます。
「宜しくね」
「こちらこそ」
笑顔でお話をしてです、先生と動物の皆は一旦笑顔でお別れしました。そして先生達はその椿のコーナーに行きました。
そして赤や白の椿達を観て楽しんでいますと。
ふとです、動物の皆が先生にこんなことを言ってきました。
「お花っていいわね」
「どのお花もね」
「観ているとそれだけで」
「何か違うね」
「草木自体が観ているだけで心を癒してくれるからね」
先生も皆にお話します。
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