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奇妙な暗殺教室

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テストの時間 前編

 
前書き
久しぶりすぎて分からない人の為の前回のあらずし

倉橋「クレープ美味しぃ〜〜」


矢田「本当!美味しいね!」


丈一郎(やれやれ……予想外の出費だ……あと、これってあらずしじゃなくね?)


 

 
それは突如訪れた。いや、こうなる事は前々から予想はしていたがここまで壮絶だとは知らなかった。



「「「「「さて、始めましょうか!」」」」



「待て待てどうしてそうなった。」



丈一郎が言うのも無理はなく、殺せんせーは27人に増えていた。正直鬱陶しいので止めさせたい


「東城君がそう言うのは無理がありませんが」


「中間テストが迫って来ました」


「そうそう」


「そんな訳でこれからは」



「先生の分身が1人ずつマンツーマンで」



「それぞれの苦手科目を徹底して復習しする時間…即ち」



「「「「高速強化テスト勉強をおこないます」」」」



「………お、おぅ」



もう何も言わんぞ……ツッコミを入れるのも目の前の光景を見たら憂鬱でしかない。



「下らね…ご丁寧に教科別にハチマキとか…ってなんで俺だけナル◯なんだよ!」



「寺坂くんは特別コースです。苦手科目が複数ありますからねぇ」



生徒の苦手科目に合わせてハチマキを変えている徹底ぶり……そう言えば変な所で凝り性だったな




まぁ俺に負けた時の浅野の悔しがるツラが見てみたいので奴の作戦に乗ってやるか…なに、性格が悪い?カルマと中村に比べたらこんなの可愛いもんだから気にすんな。



そんな訳で国語7人、数学8人、社会3人、理科4人、英語4人、◯ルト1人、計27人の殺せんせーの分身が強化授業をしてる。因みに俺は国語が苦手だ。理由は古文なんて日常生活では使わずとも生きていけるから。(作者も学生時代そう思ってました)



「でも先生 こんなに分身して体力持つの?」



「ご心配なく、一体外で休憩させてますから」



「それむしろ疲れない!?」



…俺があまり言えたことじゃあないが、奴がE組の担任になってからというもの…感覚がくるって仕方がないな



「おい…殺せんせーこの問題について質問があるんだが……」


「あ、はいそれはですね…この公式をニュニャ!」


目の前で《グニャン!》と殺せんせーの顔が突然曲がる。ふと隣を見ると案の定、カルマが邪悪な笑みをニヤニヤ浮かべていた 。



「ちょっ!急に暗殺しないでくださいカルマ君‼︎それ避けると残像が全部乱れるんです‼︎」



「以外と繊細なんだな…この分身」



「はぁ……やれやれだぜ」











こうして授業が終わり、俺は帰ろうとしていた。


「この六面体の色を揃えたい。素早くたくさんしかも誰にでも出来るやり方で…あなた方なら如何しますか?先生方」



だが、職員室の前で聞き覚えがありこのE組専用校舎で最も聞きたくない声を聞いて、俺は思わず足を止める。



(なんだ?…奴がわざわざこんな山道に来るんだ?何かの策略か?)



いつもの様に冷静沈着に分析を開始すると後ろからコツコツと足音が聞こえた。


「あれ?…ジョジョも職員室に用があるの?」



ん?…なんだ渚か…そう言えば殺せんせーにノートの提出しろって言われていたな



「まぁな…それより職員室見てみろ」




丈一郎か指を指した職員室には、烏間先生、ビッチ先生、今入った殺せんせーそして…



「答えは簡単、分解して並べ直す 合理的です。初めまして、殺せんせー」



この学校の理事長、浅野 學峯がいた。



「にゅや…?」



「この学校の理事長サマですってよ」



「俺たちの教師としての雇い主だ」



「にゅやッこれはこれは山の上まで!それはそうと、私の給料、もうちょいプラスになりませんかねぇ」



「「…………」」



醜い大人だ…俺(僕)はそんな大人にならない様頑張ろう。


こうして2人の少年は1つの誓いを立て、また一歩大人の階段を登った。



「こちらこそすみません いずれ挨拶に行こうと思っていたのですが…あなたの説明は防衛省やこの烏間さんから聞いてますよ。まぁ私には…全て理解できるほどの学は無いのですが、なんとも悲しいお方ですね。世界の救世主となるつもりが世界を滅ぼす巨悪と成り果ててしまうとは」



救世主…?滅ぼす…?おいおい…奴を雇っている身としてある程度の情報は知っているんだろうが随分とまぁ面倒な話をしやがる



「いや、ここでそれをどうこう言うつもりはありません。私ごときがどうあがこうが地球の危機は救えませんし、よほどの事がない限り私は暗殺にはノータッチです。……」



一瞬烏間先生に何か言っていたようだが内容はわからなかった。




「しかしだ。この学園の長である私が考えなくてはならないのは、地球が来年以降も生き残る場合、つまり、仮にだれかがあなたを殺せた場合の学園の未来です」



理事長は窓を開けたことで出来た空間に腰掛けながら言った。その先は、何を言いたいのか、俺にはすぐ分かった。



「率直に言えば、ここE組はこのままでなくては困ります」



「…このままと言うと、成績も待遇も最底辺という今の状態を?」



「はい」


それは、この椚ヶ丘中学校がここまで成長する基盤となったシステム。合理で動く理事長にとってそれを崩されるのは望ましくないだろう。


「働き蟻の法則を知ってますか?どんな集団でも20%は怠け、20%は働き、残り60%は平均的になる法則。



私が目指すのは5%の怠け者と95%の働き者がいる集団です。


『E組のようになりたくない』、『E組にだけには行きたくない』、95%の生徒がそう強く思うことで…この理想的な比率は達成できる」



「……成る程、合理的です。それで5%のE組は弱く惨めでなくては困ると」





「えぇ…今日D組の担任から苦情が来まして…


『うちの生徒がE組の生徒からすごい目で睨まれた』


殺すぞと脅されたとも」





……
………
…………


俺は隣にいる渚に目を向けると、ばつがわるそうに顔を背ける。まぁ、若干改竄されているし俺には関係ないからどうでも良いんだけどな




「暗殺をしているのだからそんな目つきも身につくでしょう。それはそれで結構…問題は、成績底辺の生徒が一般生徒に逆らうこと。それは私の方針では許されない。以後厳しく慎むよう伝えて下さい」



伝達事項を伝えた後、理事長は殺せんせーに何か投げ渡す。あれは…知恵の輪?



「一秒以内に解いてください」


「え!そんないきなり…」



慌てて殺せんせーは知恵の輪を解こうとする。だが……



「にゅ……にゃ……」



一秒後、結局解けることは出来ず、知恵の輪どころか本体まで絡まった。



(なんてザマだ…)


「やれやれだぜ…」



その姿に渚は開いた口が塞がらず、丈一郎は呆れてなにも言えなかった。



「噂通りスピードはすごいですね。確かにこれなら、どんな暗殺だってかわせそうだ。でもね殺せんせー、この世の中には…スピードで解決出来ない問題もあるんですよ。…では私はこの辺で」




そう言い理事長が職員室を出た時、丁度俺たちと目があった。



「やぁ!中間テスト期待してるよ!特に東城君!君なら直ぐにでも復帰できると思うから頑張りなさい!」



一瞬笑顔でそう言って、言い終わったと同時に無表情に変わり、その場を立ち去った。




「ねぇ…ジョジョ…」



「分かってる。皆まで言うな」



そう言い俺たちはそれぞれ帰路についた。そんな中俺は理事長に対して心の底から何かが燃え始めていたのを感じていた。






そして翌日


「さらに頑張って増えてみました。さぁ、授業開始です」



……もう大抵の事には驚かないと思っていたがこの先生は俺の想像をはるかに超えてきやがる。



「…どうしたの殺せんせー?なんか気合入りすぎじゃない?」



「んん?そんな事無いですよ?」



嘘つけ…昨日の理事長に言われた事に対抗してんだろ?まぁここでなにもしないんじゃあ



「次のプリントを寄越しな…殺せんせー」



「ヌルフフフ…東城君。既に5枚目ですが余裕そうですね」



「五月蝿せぇ……良いから次のプリントを寄越しなちゃっちゃと解いてやるよ」




男が廃るよな?殺せんせー











「ぜー…ぜー…」



マッハ20を誇る殺せんせーでも流石にあそこまで動いてばてないわけがなく、椅子に座り込んで団扇を仰いでいた。まぁかく言う俺も…


「あぁ……頭いてぇ……」



「まぁ殺せんせーにあんだけ詰め込まれたらそうなるよねぇ〜」


「はは!でも、ジョジョがへばってる所なんて始めてみたぜ」


「………やかましいぞ中村、杉野。ちょっと飛ばしすぎて頭が痛いだけだ。」



あと、中村…カルマみたいな悪どい笑みを浮かべながら写真を撮るな携帯折るぞ?


「まぁジョジョは兎も角…流石に相当疲れたみたいだな」


「今なら殺れるかな」


「なんでここまで一生懸命に先生をすんのかね〜」


おいおいそんなの決まってんだろ?男には自分のプライドを守る為に意地でも避けて通られない闘いがあるんだよ



「ヌルフフフ、全ては君たちのテストの点を上げるためです。そうすれば…



『殺せんせ〜!!おかげでいい点取れたよ‼︎もう殺せんせーの授業無しじゃいられない‼︎殺すなんて出来ないよ‼︎』



『先生‼︎私達にも勉強を教えて❤︎』



となって殺される危険も無くなり先生には良い事づくめ」



すまん、前言撤回だ。ジジイにも勝るとも劣らないゲス教師が……こんな奴が先生をやってんだ。



だが、そのセリフを聞いた時、クラスメイト全員が暗い顔をしていた。



「…いや、勉強の方はそれなりでいいよな」


「うん、なんたって暗殺すれば賞金100億だし」


「100億あれば成績悪くてもその後の人生バラ色だしさ」



「にゅや!そういう考えをしてきますか‼︎」


「俺たちエンドのE組だぜ、殺せんせー」


「テストなんかより…暗殺の方がよほど身近なチャンスなんだよ」


「……」


成る程、理事長の教育はここまであいつらに劣等感をいう根を下ろしていたのか…まぁこっちに来てから感じてはいたが、ここまでとわね…



「成る程…今の君たちは暗殺者の資格はありませんね……全員校庭に出なさい。」










校庭にたどり着くと殺せんせーはサッカーゴールをどかしくるりと振り返るといつの間にか呼び出されていたイリーナに問いかけた。



「イリーナ先生、プロの殺し屋として伺います。あなたは仕事をするとき用意するプランは1つだけですか?」


「…?いいえ、本命のプランなんて思った通り行くことの方が少ないわ。不測の事態に備えて予備のプランをより綿密に作っておくのが暗殺の基本よ。ま、あんたの場合規格外すぎて予備プランが全部狂ったけど、見てらっしゃい、次こそ必ず……」



「無理ですねぇ〜では、次に烏間先生、ナイフ術で重要なのは第一撃だけです?」



「……第一撃はもちろん重要だが、次の動きも大切だ。戦闘でもその後の練撃をいかに繰り出すかが勝敗を分ける」






殺せんせーの意図を理解できない生徒をおかまいなしに殺せんせーは校庭の中心でくるくると回り出した。



「そう…先生方の仰るように、自信を持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる。対して君たちはどうでしょう。『俺らには暗殺があるからそれでいいや』と考えて勉強の目標を低くしている。



それは、劣等感の原因から目を背けてるだけです。もし先生がこの教室から逃げ去ったら?もし他の殺し屋が先に先生を殺したら?暗殺という拠り所を失った君たちには、E組の劣等感しか残らない。」



しかし、それは今のあいつらに一番足りない事だ。何事に対して自信がない。だから簡単に心が折れる。そして、殺せんせーはそんなE組の生徒たちにアドバイスを告げた。



「暗殺があることで勉強の目標を低くしている君達にアドバイスです。第二の刃を持たざる者は…暗殺者名乗る資格なし!」




殺せんせーが回ったことによって発生した竜巻が収まると、校庭は綺麗に手入れし、殺せんせーはE組の生徒たちに一つのミッションを与える。




「明日の中間テストでクラス全員50位以内を取りなさい。もしとれなければ先生を殺すに値しない生徒はいないとみなしここから出て行きます。」




殺せんせーの与えたミッションに誰もが驚き、自信がなかったが殺せんせーは言葉を続けた。



「先生は君達の刃をしっかり育てています。自信を持って振るって来なさい、ミッションを、成功させ笑顔で胸を張るのです。自分達が暗殺者であり……E組である事に‼︎」



殺せんせーの発言に生徒1人1人の目が変わっていく中、丈一郎だけは浮かない目をしていた。



(奴の言ってる事は何一つ間違ってはいない。むしろ俺が奴の立場なら俺だって似た様な事を言うだろう。…だがなんだ?この得体の知れない不穏な空気は)



そして、そんな丈一郎の不穏な何は解決できないまま年E組は中間テストを迎える。


 
 

 
後書き
お久しぶりです。神崎カナメです。就職活動が本格的に始まり中々執筆できない中息抜きがてら少しづつ書き溜めてなんとか更新できました。次の更新は内定を頂いてからになると思いますが温かい目で見守ってください。よろしくお願いします。

 
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