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ONEPIECE 空の王者が海を征す

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空の王者、禁じられた土地を知る。

空の幸を堪能した麦わら一味の一行は青海にて手に入れたウェイバーらしき物をエンジニアであるパガヤである見てもらう為に再びエンジェルビーチへと戻ってきていた。船内に保管していた酷くボロボロで古びた小船のような物、比較や体験の為に持ってきてもらったウェイバーと改めて見比べて見ると確かに似通っているような部分が非常に多い。

「これですか貴方方の古いウェイバーと言うのは?確かに酷く古いものですね」
「下の海で手に入れたんだ。多分200年位昔の物だと思うんだけどさ、おっさん如何かな?」
「ふむ……確かにこれは正真正銘ウェイバーですね。しかしこれは古いですね…私も資料で見た事があるぐらいの古さです、すいません」

ウソップの言葉通りこれは約200年以上前に使用されていたウェイバーのタイプ、パガヤ自身も文献や資料などで見た事がある程度で実際に此処まで古い物を実際に見て触ったのは初めてとの事。少々興奮しながらも調べていくパガヤを見つつもナミは現行タイプのウェイバーに興味津々そうに見つめている。

「これがウェイバー……これでもブレスダイヤルが着いてるのよね」
「はい。先程家で見せた物よりも大きい物を一つ付けています。基本的にウェイバーは(ダイヤル)を一つで十二分に動きますし二つ以上だと出力の調整や船体なども関係して操縦が難しくなるんです」
「ウェイバーの船体はブレスダイヤルで動くように軽く作られていますので、基本的に一つで事足りてしまいますからね、すいません」
「ふ~ん……確かに十二分に良い機動力だもんね」

ウェイバーのついての説明を行いながらも手際良くウェイバーを調べていくパガヤは心臓部であるダイヤル部分を開いて見ると、そこは全くの無傷。これならば手入れをし修理をすれば動かす事が出来る事が解った。

「これなら船体を修理してハンドルを現行タイプに取り替えれば十二分に使えるように出来るかもしれません」
「本当?!おじさんお願い出来る?あっ幾らぐらい掛かる?」
「いえいえお金は結構です、これほどの物を見せて頂けただけでエンジニアとしては価値は大きいのです。すいません」
「ううんこっちこそ有難う!やった~ウェイバーが手に入る~!!」

余程自ら風を起こして自由に走るウェイバーの事が気に掛かっていたのかそれが手に入ると解ると大喜びして小躍りするナミだがパガヤは簡単にウェイバーは動かせないと注意をする。

「先程も申し上げましたがウェイバーの船体は非常に軽く作られておりますので小さな波さえ舵を取られてしまうほどなのです。ですので操縦は酷く難しいのです、通常であれば訓練すれば10年ほどで満足に出来ると言うほどでしょうか」
「そんなに難しいのか!?大変だな!!医者の勉強みたいだぞ!?」

医療技術や知識を学び貯え、それを実践出来るまでかなりの時間と訓練などが必要な医者であるチョッパーが言うと重みを感じさせる。ナミはそんなに大変だと知っても矢張り乗りたいのかうずうずしてしまっている。そんな彼女の姿を察して試しにそのウェイバーに乗って見てくださいという。

「えっいいの!?」
「ええ構いませんよ。しかし慎重にお願いします、慣れていない方がウェイバーに乗って事故を起こしたという事例も多くありますので。すいません」
「よ~し!」

ナミは早速ウェイバーに乗り込みつつアクセルやブレーキの説明を受けると早速アクセルを踏みブレスダイヤルから風を吹き出させ海雲の上へと繰り出して行く。ハンドルを確りと握りつつ真っ直ぐ向けている筈なのに周囲からの弱い波を受け簡単に舵が変わろうとしてしまう、軽い船体ゆえに波の影響をダイレクトに受けやすいのだと直ぐに察するとアクセルとハンドルを巧みに使いながらあっという間に波を克服しスピードを出しながらサイコ~!と声を張り上げるのであった。

「なんと凄いですね!!まさかあんな直ぐに操れるようになってしまうとは!!」
「流石ナミさん……10年掛かるって言ってたウェイバーをあっという間に」
「流石うちの航海士!!おいナミ次は俺に乗らせろ~!」
「デリケートすぎるから本能で動くあんたにはきっと無理よルフィ!!」
「んなことねえ!!だから乗せろ!!アホ~!!!」

この後一応ルフィに交代したがかなりの揺れと波によってまともに進まないウェイバーに悲鳴を上げつつアクセルを踏み込んだルフィは船体から放り出された。

「……そういえば、能力者にとってこの海ってどうなるんだろうね」
「ああ確かにそうだな、普通の海じゃねえんだもんな。浮かぶかもしれねぇ」
「(ブクブクブクブク……)」
「あっ沈んだ」
「駄目か」
「あっ~ルフィが沈んだ~!!!??大変だぁぁぁっ!!?」


「ったく世話掛けさせやがって!!下に突き抜ける寸前だったぞ!?後ちょっと白海だったぞ!」
「チョッパーてめぇなんで泳げねえのに飛び込むんだよ?!余計な手間掛けさせんな!」
「ご迷惑、おかけ、しました……」
「海雲も性質的には青海と同じって事か…だな」
「そりゃあんだけ水掛けられれば俺もまともに反撃できなくなるわけだわな」
「いやお前は元から駄目だろ」
「……はいそうでしたね」

結局まともに操縦出来るのはナミだけと言う事になりそのままウェイバーはナミ専用の乗り物として認定される事となった。と言っても青海にて入手したウェイバーはパガヤも見た事の無い部品も多く一度解体してみないと完全な修理は難しいとの事。

「ってあれっねえレウスさん、ナミさんは?」
「んっそこらにいるんじゃないのか?」

パガヤの解体及び修理が完了するまでのんびりとする事になったがビビは気づけばナミの姿が見えなくなっている事に気付いた。それをレウスへと伝えるが彼の高い視力を持ってしても視界内にナミを捉える事は出来なかった。

「駄目だ。何処にも見当たらない」
「遠出でもしてるんじゃねえのか?ウェイバーの事を大分気に入ってるみたいだしな」

それならば良いが、彼女の事だからきっと大丈夫だろう。海軍もいないこの空島ならばなんとか無事でいるだろうと思っている矢先にパガヤとコニスは不安そうな表情をしながら何かを話し始めた。

「如何したんだ二人とも?」
「その……この空島に決して入ってはいけないと言う禁断の聖地があるんです。そこはウェイバーで少し行けばいけてしまう距離にあるんですが……」
「心配ですね……ナミさんがそこに行っていなければ良いのですが」
「禁断の聖地?なんなんだそりゃ」
「神が住む土地。聖なる土地、アッパーヤードと言われている場所です」



「何、これ……!?なんて、大きな木なの……!?」

その心配は的中していた。ウェイバーという自由に海の上を走る事の出来る乗り物に出会えれば嬉しさゆえにナミは酷くはしゃぎフルスピードを試したくなりそれを行っている最中に見えてきた巨大な樹木が群生している土地を発見しそこへ近づいてしまっていた。

「空島にも、地面ってあるんだ……」

その土地は自分たちにとっては当たり前な存在である土などの地面がある島だった。全てが島雲や海雲といった物ばかりで形成されていると思い込んでいた空島にも青海と同じような物もあるのかと思いをはせつつもその土地を見つめ続ける。樹齢何百いや千年以上は経過しているだろうという大樹がこれでもかと乱立している島は青海でも滅多に御目に掛かれない。

「なんなの、この島……!?」

思わず鳥肌が立った、何故かは解らないが今まで数多くの修羅場を潜り抜けてきた自分の勘が危険を完治しているかのように警告音を鳴らしている。ここは大樹が乱立しているだけの土地では無いと。それを思いながらも好奇心を搔き立てられそうになりながらもゆっくりとその島の周囲をゆっくりとウェイバーで回っていく。


「―――」

だがナミは気づかなかった。その土地に目を奪われていたせいで、その土地の上空を飛行する巨大な影に。それはその島の周囲を一回りすると何処かへと飛び去って行った。 
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