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ドリトル先生と悩める画家

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第五幕その八

「ゴッホの絵なんかもね」
「癖あるよね、ゴッホって」
「絵の具を大量に使っててね」
「タッチも描き殴るみたいな感じで」
「自画像なんかもね」
「丁寧さを無視したっていうかね」
 そんな画風だとです、皆も言います。
「そんな絵だから」
「駄目だって言う人も多いだろうね」
「何だこの絵はとか」
「普通に言われるかも」
「実際にゴッホの絵は好き嫌いが分かれるよ」 
 先生も言います。
「この世を去る間際に評価されだしてきていたけれど」
「それでもなんだね」
「生きている頃からなんだ」
「評価は分かれていたんだ」
「そうだったんだね」
「これはピカソやダリなんかもそうだね」
 こうした特に個性が強い人の絵もというのです。
「評価が分かれるね」
「芸術ってそうなんだね」
「それぞれの感性なんだね」
「それに基づいて評価するものなんだ」
「シャガールにしても」
 先生はこの画家のこともお話に出しました。
「落書きみたいだって言う人もいるからね」
「落書きって」
「そんなものなの?」
「確かシャガールって有名だよね」
「それもかなり」
「けれどそう言う人もいるんだ」
 シャガールのその絵を観てです。
「僕は芸術についてはそうしたものだと思いつつ学んで論文も書いているんだ」
「そうなんだね、先生は」
「芸術は感性なんだね」
「その人それぞれの」
「そうしたものなのね」
「だから僕が太田君の絵を観ても」
 これも実際に観てのことです。
「スランプかどうかわからないよ」
「じゃあ太田さんと同じ感性の人がわかる?」
 こう言ったのはトートーでした。
「つまりは」
「そうなるのかな」 
 ホワイティも首を傾げさせます。
「芸術については」
「芸術って難しいね」 
 ジップもホワイティのお隣で首を傾げさせています。
「どうにも」
「僕達じゃわからなくて」
 太田さんに合う感性でないからとです、チーチーも言います。
「そうした人達だけがわかるんだ」
「もどかしいっていうか難しいっていうか」 
 ダブダブの言葉です。
「いつも以上にどうしていいかわからないことだね」
「哲学なのかしら?これって」
 こう考えたのはポリネシアでした。
「自分で思っていても他の人が思っていてもとか」
「もうそう言ったらきりがないよ」
「自分を含めた誰かがスランプって言えばスランプって」
 オシツオサレツは二つの頭を共に傾げさせています、右と左に。
「もうどうしようもないじゃない」
「何なの、それって」
「わかる人がわかって」
「わからない人はわからない」
 チープサイドの家族もお互いにお話をします。
「それで誰かが言えばスランプ」
「そうなるなんて変なお話ね」
「ううん、これはどうしたらいいのかしら」
 ガブガブが言います。 
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