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ドリトル先生と悩める画家

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第五幕その七

「あれだけ前向きだとね」
「何かスランプもね」
「すぐに抜け出られない?」
「そんな気したけれど」
「どうなのかしら」
 動物の皆も応えます。
「そう思うけれど」
「僕達もね」
「あれだけ前向きならね」
「ご自身でスランプを抜け出られるんじゃ」
「そうじゃない?」
「ところがそうはいかないのがね」
 先生は少し首を傾げさせてまた言いました。
「スランプなり鬱病なりなんだよ」
「前向きでもなんだね」
「自分自身がそうでも」
「中々抜け出られない」
「そうしたものなんだ」
「そうなんだ、自分で抜け出ていないと思っていたら駄目だし」
 それにというのです。
「自分がそう思っても周りがね」
「そうなんだ」
「スランプってそうしたものなんだ」
「難しいものなんだね」
「ややこしいね」
「うん、人間の心の問題いはね」
 それこそとです、また言った先生でした。
「とても複雑なんだ」
「スランプにしても」
「そうしたものなんだ」
「ほら、野球選手でも最多勝とか首位打者になっても」 
 そうしたタイトルを獲得出来る程の成績を挙げてもです。
「自分が悪いって言えばね」
「駄目なんだね」
「そうしたものなんだね」
「それでもスランプだったりするんだ」
「タイトルを取っても」
「そうだよ、ラグビーサッカーでもイングランドやスコットランド代表になっても」
 今度はラグビーやサッカーのお話をしました。
「本人が調子が悪いって言うこともあるね」
「タイトルと同じで」
「代表になっても」
「そういうものなんだね」
「そうなんだよ、そして自分が絶好調って思っても」 
 そう思って動けていてもです。
「周りがそうじゃないって言ったり」
「歌手で結構あるよね」
「何かね」
「周りが不調だ不調だって言ったりね」
「そんなことあるね」
「批評家がそう言えばね」
 本人でないこの人達がです。
「スランプになったりするね」
「色々なるんだね」
「何か本当に」
「難しいね、スランプって」
「周りが思ってなくても自分がそう思ってたり」
「自分がそう思ってなくても周りが思う」
「そう考えると難しいね」
「多分僕から見るとね」 
 先生は批評家ではないですがこう言うのでした。
「太田君はスランプじゃないよ」
「絵の出来はわからないけれど」
「どんどん描けてたよね」
「ゴッホに似た絵をね」
「ああした感じの絵がね」
「芸術はね、感性だからね」 
 こんなこともお話した先生でした。 
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