提督はBarにいる。
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『冷し』で暑さを乗り越えろ!・2
さて、お次は……そうだ、最近ブームの兆しを見せている「冷やしおでん」にするか。冷たいおでんが美味いのか?という先入観を持つこと無かれ。ちゃんと冷やして食べる事を前提に作るのだ。今回は和風と洋風、2種類の冷やしおでんをご紹介。
《夏野菜香る!冷やしおでん》
・大根:400g
・とうもろこし:2本
・人参:2本
・茹で玉子:4個
・トマト:4個
・さつま揚げ:4枚
・厚揚げ:1枚
・蒲鉾:適量
・オクラ:4本
・結び昆布:1袋
・あごだし粉末(無ければほんだし):8g
・水(出来れば軟水):1500ml
・塩:小さじ2
・白だし:50ml
※その他、お好みのおでんの具を入れましょう。ただし、冷たいと美味しくない具もあるので注意!
さぁて、仕込んでいきますかねぇ。鍋に軟水を張って結び昆布とあごだし粉末を入れて、1時間放置。今回は熱々に煮込むおでんと違い、さっぱりとした味の出汁が欲しいので水出しにしている。その間に具材の下拵えだ。
大根は輪切りにして皮を剥き、下茹でしておく。人参は食べやすい大きさに乱切り、とうもろこしは4等分位にして縦半分に割る。オクラは板摺りして産毛は取るが、切ったりはしなくていい。トマトもヘタを取るだけでいいぞ。厚揚げやさつま揚げのように揚げてあるおでん種はお湯をかけて油抜きしてから、食べやすい大きさにカット。
具材の下拵えが出来たら、いよいよ本格的な調理に移るぞ。下茹でしておいた大根と人参を、出汁を取っていた鍋に入れて沸騰させ、塩、白だしを加えて蓋をして弱火で15分程煮込む。
15分程煮たら製氷皿を準備。煮込んでいる出汁を製氷皿に移し、粗熱が取れたら冷凍庫に入れて凍らせる。こいつがこのレシピの肝、『出汁氷』だ。冷蔵庫で冷やしたおでんに出汁氷を加える事で、長時間ひんやりとしたおでんを楽しめる。
出汁氷を作る分の出汁を取ったら、残りトマト以外の具材を入れて5分程煮込む。トマトは煮崩れしやすいので、後から入れて更に5分煮込んで、火を消して冷ます粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やしてもOKだ。
後は盛り付けて、出汁氷を一緒に浮かべてやれば完成。
《煮汁をゼリーに!洋風冷やしおでん》
・鶏挽き肉:150g
・片栗粉:大さじ1
・ウズラの卵:10個
・塩:小さじ1/4
・昆布:15cm分
・糸こんにゃく:1/2袋(100g)
・冬瓜:200g
・ズッキーニ:100g
・ミニトマト:8個
・粉ゼラチン:5g
・コンソメキューブ:2個
・薄口醤油:大さじ1
・酒:大さじ1
・みりん:大さじ1
さて、作っていこう。まずは出汁から取っていくぞ。昆布を水700ccと一緒に鍋に入れて火にかける。完全に沸騰する前に昆布を取り出し、一旦火を切っておく。取り出した昆布は縦に1cm幅に切り揃えて結び、コンソメ、醤油、酒、みりんと共に鍋に戻す。
糸こんにゃくは出来れば4等分位にして結びこんにゃくにしたら食べやすいが……まぁ、面倒であればそのままでもOKだ。煮汁とは別の鍋で水から下茹でしておこう。沸騰してから2~3分煮ればOKだ。
糸こんにゃくが煮えたら煮汁に入れて中火で10分煮込む。煮込んだら火を消しておく。冷めていく時間の間に味が染み込むからな。
お次は鶏団子。鶏挽き肉に片栗粉、塩、ウズラの卵を2個入れて練り、鶏団子のタネを作る。煮汁とは別にお湯を沸かし、タネを8等分にして丸め、お湯に入れて浮いてくるまで茹でて取り出しておく。
他の具材も準備していくぞ。冬瓜は一口大に切ってから皮を剥き、下茹でしておく。ズッキーニは縞模様になるように皮を剥き、縦半分に割ってから1~5cm位の間で好きな幅に切り揃える。薄い方が食べやすいし、厚く切ると食べ応えが出る。まぁそこは好みだな。残りのウズラの卵は固茹でにして殻を剥いておき、ミニトマトはヘタを取って皮に切れ目を入れて湯剥きしておく。
煮汁にミニトマト以外の具材を入れて中火で15分間コトコト煮込む。ミニトマトを入れてサッと火を通したら火を止め、粗熱を取ったら一旦具材を取り出す。残った煮汁から250ccを取り分ける。残った煮汁に具材を戻し、冷蔵庫で冷やす。
取り分けた煮汁が温かい内にゼラチンを50ccのお湯で溶いて、取り分けた煮汁に加える。バットに移して冷蔵庫で冷やし固めてゼリーを作る。こいつがこのレシピの肝だな。ゼリーご固まったら好きな形に加工する。包丁で角切りにして具材の1つにしてもいいだろうし、フォークでほぐしてジュレっぽくして他の具材と絡めても良いだろう。
後は冷えた具材を彩りよく盛り付けて、作ったゼリーを散らせば完成だ。
「はいお待ちぃ、『冷やしおでん2種』だ。こっちが和風で、こっちが洋風な」
「うわぁ、冷たいおでんなんて初めてっす!」
「冷たいおでん?そんなの美味しいの?」
「まぁまぁ、騙されたと思って食ってみな」
和風の方は夏野菜に出汁が染みて、煮びたしのようになっているし、出汁氷のお陰でキンキンに冷えている。そこにかぶりつけば……
「冷たっ!でも美味しい!」
「練り物も味が染みてるのに、冷たくて不思議な感じっす!」
「だろ?冷やす前提で仕込めば、温かい料理代表のおでんも美味く出来んだよ」
「そう言えば、占守達はどこに配属されるんすか?」
冷やしおでんを粗方やっつけた占守が、冷酒を啜りながら聞いてきた。まだ訓練の1週目だってのに、気の早いこった。
「ん~……海防艦の特性を考えると、鎮守府周りの警備班かな3人共」
海防艦はその名の通り、戦闘行為よりも護衛任務……船団護衛や対潜哨戒等の防御に向いた装備だ。しかしウチは船団護衛の役割を担っている連中は沢山いるから、自然と鎮守府周りの対潜哨戒が主な任務の班に配属、という事になりそうだった。
「ウチは他の鎮守府からのお客やら護衛船団の出入りが激しいからな、潜水艦は徹底的に潰さにゃいかん」
「え、そうなんですか?」
ブルネイを中心に考えれば、西に向かえばインド洋方面に抜けるし、南に向かえばラバウルやショートランドのある南方海域に抜ける。逆に本土に向かうにも通り道になっているモンだから、設備の整ったウチの鎮守府で最後の骨休めをしていく船団は多い。そんな時のネックはやはり、潜水艦だ。それだけ船舶や艦娘の出入りが多いと、敵さんもここに目をつけて配備しているらしく、潰しても潰しても潜水艦は湧いてきやがる。その為、毎日2交替から3交替でシフトを組んで潜水艦の掃討を行っているのが現状だ。対潜に特化した海防艦の着任は願ったり叶ったりの状況だった。
「そうよ~?ウチの対潜掃討は大変なんだから!その分、稼ぎもいいけどね」
占守と国後の背後から、肩を組んで来たのはウチの対潜のエースである五十鈴だ。ウチの鎮守府だと五十鈴・夕張・那珂が対潜戦闘だと撃墜スコアのトップ争いをしている。
「ねぇ提督、この娘達対潜部隊配属なんでしょ?現場で鍛えるから早くくれない?」
五十鈴の言葉に目を輝かせている海防艦娘3人。辛そうには見えなかったが、択捉もそれなりにキツかったらしい。
「ダメだっつの。ウチの基礎訓練は全員共通でやってんだ。給油艦の速吸や神威だってやってんだぞ?特別扱い出来るか」
しかし俺がその意見を一刀両断。現実は非情である。
「そっか~……じゃあ、せめて今晩の食事代は私が持つわ!お姉さんのオゴリよ!」
「え、いいんすか!?」
「勿論!ただし提督、私にも美味しいもの出してよね!」
「へいへい」
五十鈴よ、もしかして食べる方が目的じゃねぇよな?というツッコミはついに出来なかった。
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