世界をめぐる、銀白の翼
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第四章 RE:BIRTH
VS銀白 再び
青龍たちと共にセイバーたちが戻り、蒔風の居場所がわかるかもしれないという情報を持ってきた。
それを聞いて、「EARTH」は攻め込む準備を始めている。
「クラウドさんに声を掛けないと・・・・」
「全員行くの?」
「そうしたいけど、前にそれでこっち狙われたことがあるから・・・・」
「でもあの男は「EARTH」が目標ではないと言ってた。大丈夫じゃない?」
「それなら全員で行くか」
「・・・・主が対峙した青年は・・・・翼人の力を封じることが・・・・できます・・・・全員で彼に向かうのは・・・・得策ではないかと」
「そっちには手練れを回すしかないな・・・・」
会議室では理樹や青龍がほか数名のメンバーと共に準備を進めていた。
また、他の部屋では残りの七獣が蒔風の持つ十五天帝を捉えてゲートを開こうとしていた。
そのゲートを観鈴が安定させ、みんなを送り出す、という物だ。
準備ができ次第、出発する。
そして、その準備までの間に、なのはや一刀、セイバーが、アリスから話を聞いていた。
「世界四剣・・・・ですか。まさかまた集まることになろうとは」
「知ってるんですか?」
「・・・・・私の話もあくまで聞いた話です。私よりも数代前の管理者の時の話らしいですし」
それでもいいなら、とアリスが前置きして、早速話し始める。
世界四剣
世界を股にかけて存在する剣。
その最初の持ち主は、もう数えることすらも億劫なほど、はるか昔の人間である。
ある男がいました。
その男がその剣を振るうと敵は倒され、自軍に勝利をもたらしました。
ある男がいました。
その男はそうして広げた土地を統治し、世界を統べて安寧を約束しました。
ある男がいました。
その男は戦いで傷ついた人間を癒し、敵味方関係なく救いました。
ある男がいました。
その男は人々の心を開き、自国の民の心も、敵国だった者の心も繋げ、一体とした国を築きあげました。
ある男の剣は、聖剣・エクスカリバー
ある男の剣は、天剣・十五天帝
ある男の剣は、神剣・ヴァルクヴェイン
ある男の剣は、開剣・キーブレード
男たちははるか太古に連携し、素晴らしい大国を築き、四人の王として統治しました。
しかし、彼らが死んでいくとその国はバランスを崩し始めます。
四剣は新たなる所有者を求めて、別の世界へ。
統治しきれなくなった国は、その後崩壊し、新たな国となったそうです。
それから四剣は長い時の中をさまよいました。
ある剣は名をいたる世界に馳せ、その名を持つ剣がいくつも作られました。
王の伝説と共にあったその剣は、今では新たな所有者もいないために彼の王と共にあります。
ある剣は長らく所有者がおらず、一番最近の所有者も“No name”の人間だったためにその手に握られることがないと思われていました。
今ではその所有者と共に世界をめぐり、そして世界を救ってきました。
ある剣は使用者が固定され、今は敵の手にあります。
ある剣はまた別の次元を渡る多くの勇者の手にあります。
彼らが手にしているのは派生剣であり、本物ではありますが、本物でないのです。
四剣のはその大元であり、またの名を「Χブレード」と呼ばれています。
「その共通点は、多刃です。聖剣は一つに束ね、天剣は十五対、神剣は刃を生み、開剣は派生剣として多く名を馳せています」
「そのうちの一本が、敵の手に・・・・・」
「でもヴァルクヴェインって癒しの剣なんでしょ?なんでこんなことに?」
「世界四剣はどれも強大な力を秘めています。「治癒」や「統治」はその能力でしかないんです」
「つまり、使用者によって変わる?」
「舜を見てください。あの人、統治者って感じですか?」
「・・・・違うな」
「もちろん、その青年が治癒の力を使えないわけではないのでしょうが」
ヴァルクヴェインの多刃は、凶悪そうに見えて実は一番相手を無力化しやすい能力だ。
うまく振るって相手を封じ込めれば、相手は大きな怪我を負うことなく無力化される。
そしてその小さな切り傷等を癒す、というのが本来の使い方らしいのだが・・・・
「まあ、要は使いようです。セイバーさんのエクスカリバーだって、風王結界とかがあるでしょう?」
「そういう物ですか」
「そういう物です」
「世界四剣のことは分かった。で、どう対処すればいい?」
「・・・・さぁ?」
「さぁ・・・って・・・」
「世界四剣だのなんだのと言っても所詮は剣です。ただの強力な剣。対処の使用はいくらでもあるじゃないですか」
「確かにそうだけど・・・・あんたは戦わないのか?」
「戦っていいんですか?」
「いいんじゃないでしょうか」
「そうですか。では準備してきますね~」
そういって、あっさりと快諾したアリスが、鼻歌を歌いながら自室に入って行った。
「ノリノリ・・・でしたね」
「せやな」
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シュゴぉォォォおオオオオオオ・・・・・・・
翌日
「EARTH」の一室に、ゲートが開かれた。
向かうメンバーが、門の前に立つ。
「俺たちの目的は蒔風の奪還だ。相手組織を潰せればそれでいいけど、無理ならすぐに引き返すよ!!」
「わかった」
「OK」
「では、いきましょう!!」
いつも通りの服装で、アリスがそういって先陣を切って踏み出した。
戦力は十分。
さあ、取り返しに行こう。
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「私も行く!!」
「ま~ち~な~さ~い~!!」
唯子が出陣の話を聞き、その部屋に向かって走り出そうとする。
その唯子に待てと声をかけるのはイリヤである。
ちなみに唯子の腕を掴んで止めているのはバーサーカーである。
「だって翼刀がいるかもしれないのに!!速くいかないと・・・・!!」
「いまみんなが向かっているのは舜を取り戻すためでしょ!!そっちの方もどうにかしようとするでしょうけど、もしもの時は置いてこられちゃうって!!」
「何で翼刀が後回しなのよ!!私、行くから!!」
ズっ!!
「え?うきゃぁ!!」
「ゴォオ!?」
叫び、勇んで、足を進める唯子。
バーサーカーがずるずると引きずられ、乗っかってるイリヤが頭にしがみつく。
「フニニニニニニニ!!ウニャーーー!!!」
「かわいい声出してなんてことしてんのよ・・・・」
腕を引っ張ってバーサーカーごと進む彼女が、かわいい気合いを出して進む。
イリヤはそれを見て呆れていた。
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「向こうのゲートは開いてないから、潜ったら中で待っててね」
そう言う観鈴が、ゲート内にメンバーを進めていく。
中にはすでに理樹がいて、青龍を握って、すぐにゲートを開けるようにしていた。
「ふう・・・これで全員かな?じゃあ私も・・・・」
「わったしがいまーーっす!!」
「え?」
ドーン!ズボッ!!
そこにバーサーカーを引きずる唯子が走ってきて、掴まれている腕をゲートに向かって投げるように伸ばした。
飛んでいくように前に進むバーサーカーに引っ張られて、唯子もゲートに飛び込んて行った。
「が・・・がお・・・・」
その光景にポカーンとする観鈴。
そしてハッ!と気を取り直して、自分もゲートをくぐって行った。
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「・・・・・・来ました」
「そうか」
「次元が開きます。反応は翼人です」
「まあ「EARTH」でしょうね」
城壁の囲む施設の中で、モニターを見る男たちが、一斉に外を写すモニターに視線を向ける。
見ると、グォン!と一気にゲートが開き、そこからドチャドチャと「EARTH」のメンバーが落ちてきた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・撃っていいと思う?」
「まあ待ちましょう。とりあえず・・・」
「とりあえず?」
「来訪者には挨拶です。それが礼儀です」
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「重い!!上乗ってんの誰だ!?」
「ガァア・・・・」
「バーサーカーッ!?」
「より重く感じてきたぞ・・・・」
「セイバーさん、甲冑が痛い痛い!!」
「誰か髪の毛挟んでるって!!」
折角みんなで一斉にあらわれ、突っ込んでいこうとしたにもかかわらずこの体たらく。
突っ走った約一名のせいですね。
「ここが・・・・」
そんな彼らの上を転がって、地面に最初に降りたのは唯子だ。
その目の前の門を、力強く睨み付けている。
他のみんなも立ち上がり、その門を見上げた。
「この中か?」
「・・・・はい・・・・私たちは中では出されなかったので・・・・中は解りませんが・・・・」
クラウドの言葉に、青龍が応える。
と、大きな門の脇にある小さなドアから、一人の男が出てきた。
「やあみなさん」
「お前ッ・・・!!!!」
そこから出てきた男を見て、唯子が怒りの形相で走り出そうとする。
しかし、アリスがその肩を掴み、唯子を止めた。
「なるほど、彼が責任者ですか」
「アイツが街を壊したんだ・・・・あいつがみんなを、翼刀を!!」
唯子の叫びで、男に皆の注目が集まっていく。
それを聞き、男は人差し指を上げて訂正を始めた。
「ええ。ですが実際に行ったのは私ではなく「翼刀」ですよ」
「変わらないだろ!!」
「そうですよ。然したる差などないでしょう。ですが、それがなんです?」
「な・・・・・」
「あれは私の実験にとって重要なことでした。結果、十分なデータが集まったのですよ。彼らは無駄ではなかった」
「なにを・・・!!!」
「それに、あの街が壊滅しなかったらあなたたちは我々の影すら知らなかった。結果的に見れば――――」
「そんなこと聞いてんじゃないのよ!!!」
男の言葉に唯子が激昂し、アリスの抑制を振りほどいて飛びかかって行った。
しかし男がパチンと指を鳴らすと、足元からワイヤーが伸びて唯子の足に絡まって
「え?」
グーン、と高くまで持ち上げて
「ちょっとちょっと!?うわぁぁああああああ!!!!?」
ポーンと城壁の中に放り込んでしまった。
「彼女はあの実験に耐えきった検体でしたからね。約束を果たした今、じっくり調べさせていただきましょう」
男は淡々と言うが、アリスをはじめとした「EARTH」のメンバーが顔に手を当ててハァ・・・とため息をついていた。
「誰だあれ連れてきたの・・・」
「バーサー・・・いや、イリヤだ」
「勝手に引っ張ってったのよ!!」
「何人か助けに・・・・」
「いや、それは大丈夫だろう」
アーチャーの言葉に、走りだそうとする何人かが足を止めた。
「綺堂は自覚してないだけで緊急回避や戦闘力はかなりものもだ。よほどじゃなければ大丈夫だろう」
しかし、その言葉に理樹が「そうは言っても」と不安そうな顔をした。
だが、アーチャーが言葉を続ける。
「それに、すでに増援は行っている」
「そちらで話を進めるのはいいですけどね。そろそろお引き取りいただけませんか」
勝手に話を進める彼らに、男が淡々と言い述べる。
だが、そう言われて帰る彼らではない。
むしろ今から突入するという勢いだ。
その、まるで目に見えるという錯覚を感じるほどの意志を見て、やれやれと男が頭を振る。
「まったく・・・こっちは一晩中実験していて疲れているというのに」
「実・・・験・・・?」
男の言葉に、理樹が聞き返す。
「ええ。実験です。自称・世界最強というほどの翼人が手に入ったのですから、それはするでしょう」
「自称じゃない。事実だ」
「そこはまあどうでもいいのですが。ですがねぇ・・・彼、洗脳とか幻術全然効かないんですよ」
それを聞き、そりゃそうだと一同が思う。
あの男がそう簡単に染まるはずがない。
「つまり、うまくいかなかったってことだろ?」
「ええ、まったくうまくいかなかったですよ」
そう言って、再び男が指を鳴らす。
大きな門が、メインの門が、開かれていく。
ゆっくり、ゆっくりと、門が動く。
「うまくはいきませんでしたけどね」
門の厚みの分の鉄が見え、そしてその隙間が開いて光が差し込む。
向こう側の光景が開けてきた。
「諦めないとは素晴らしいことです。不屈が人に成功を授ける」
そしてそこに、蒔風舜が立っていた。
その姿を見た一同の想いは何だったのだろうか。
そして、男の言葉からして、それは最悪の現状を示唆していた。
「致死量ギリギリで難しい調整でしたが、どうにかしました。さすが私」
そう言って、男が閉じられていく扉の向こうに下がって行く。
「では、「EARTH」の皆様方。良き時間を過ごされますよう」
バタン!!!!
門が閉じる。
そして、残された男がユラリと一歩、幽霊のように踏み出して―――――
特徴的な、日本刀のお尻とお尻を合わせた剣を左右に一本ずつ握り、集団に向かって疾駆していった。
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「モニターを忘れるな。新しいデータを手に入れておくんだ」
「りょーかい」
「世界中で戦う「EARTH」の戦闘データ。ハッキングしても「EARTH」のパソコンにはない。となれば戦場でとるしかないですしね」
「まとめて手に入るなら、僥倖だな」
「やっていますか?」
「おう」
「では、高みの見物といきましょうか」
モニターの中では、風林火山を奮う蒔風が集団に突っ込んでいっている。
彼が、再び敵になる。
to be continued
後書き
唯子がなんだかアホの子になっとるーーーーー!?
唯子
「これでいいのか武闘鬼人さん!?」
これでいいんじゃないでしょうか!!
唯子
「断言しおった・・・・」
彼女は突っ走っちゃってるだけで、別にアホじゃない・・・・です?
唯子
「なぜ疑問なのか話を聞こうか?」
スルーします。
今後の流れで自然にしていくともしかしたらなるかもしれない
でもそれもいいと思うんだ。キャラが勝手に育つっておもしろい。
世界四剣に関してもまた少し明かしました。
というかこれ以上のことはあまりないですが。
キーブレードは出してもいいかどうか悩みました。
さすがの私でもネズミーマウス(仮)の一団は怖いので。
でもあくまでもあっちが持っているのはキャラだけですので、設定は大丈夫!!という話を聞いたので出しました。
そして、蒔風が敵になったという
士とかは問答無用でぶっとばそうとしそうだけど
さて、戦場分けが出来上がりました。
ここからまた進行させていきますよ!!!
次回、唯子でいこうか蒔風でいこうか、どっちだろーなー!?
ではまた次回
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