世界をめぐる、銀白の翼
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第四章 RE:BIRTH
国のその後と
次元世界オルセアの内戦
それはボルボダロングス・ケルッツァーリンの突如とした猛進で終わりを告げた。
彼らの持ち出した兵器は他の二国とは比べ物にならないもので、二国の兵士を撃破して進行していったのだ。
当然二国の戦力もこれに立ち向かったが、勝てるはずもなくあっさりと占領されてしまう。
そして、人間狩りが始まったそうだ。
様々な年齢、男女、人種に関わらず連れ去らわれた。
今はそれも終わっているが、すでに連れて行かれた人数は、百人が両手の指で数えても足りない。
「そんなことになってんのに、オレらはこうしてる場合なのかよ?」
「おばあちゃんが言っていた。国と言う字は、「口(かこい)」があり、「王」がいて、そして小さな一点がある。そしてその小さな点をきちんとした場所におかなければ、国として成り立たない、ってな。」
「一人は小さな力だけど、それがなくして国には成らない、ってことか」
「そう思うなら、メシだ!!食べることは人を良くすることだからな!!」
そうして併合された一つの国で、天道たちが炊き出しをしていた。
人間狩りが終わったあと、残った戦力が「ボケ」に踏み込んだらしい。
しかしそこにはまともな街も、国も、ありはしなかった。
街に人はおらず、家の中に入ると何人もの人間がぶっ倒れていたそうだ。
原因は、主に飢えと病気だ。
それを見ていい気味だと笑う者は少なくなかった。
しかし、あの遺跡のリーダーがこう叫んだ。
「こういう国にしたのは、誰だ?こうなったのは、本当に彼らなのか?何かが違えば、こうなっているのは俺たちだぞ?お前も誰かに助けられたことがあるなら、今すぐやるべきことがあるんじゃないのか!?」
その一言で、全員ではなくとも数名が動き始め、そしてそれが波紋となって広がりつつある。
戦闘で逃げようとした指導者や隊長などと言った人間も死んでしまったので、こういった人々を引っ張れる人間を、皆求めていたのだろう。
これをカリスマというのだろうか。
結局、三国とも人民が少なくなって一国ではやっていけなくなったので、三国併合して新たにスタートするらしい。
乗りかかった舟と言うことで当面は「EARTH」が支援し、時空管理局も手を出してくれるそうだ。
「ごめんなさい。私たちは何も・・・」
「いや・・・・あんたらが来たから、俺たちは生き残った。こうして国を立ち上がらせられる」
フェイトがリーダーの男に頭を下げ、リーダーもフェイトに頭を下げる。
「あの男はどうした?連れていかれたんだろう?」
「いま、仲間が捜索してます」
「そうか・・・見つかるといいな」
「そうですね」
そういって、会話を終わらせる二人。
一人は捜索に、一人は指導に、それぞれ向かっていった。
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「ルネ、少しは見てきていいのよ?」
「いえ、それはまた今度にします。この国はこれから、何度も来れるような国になるので」
「そう・・・ね」
蒔風が青年に連れて行かれた場所。
そこでティアナ、ルネッサが肩から腕を釣って話をしていた。
他にいるのは、士、一刀、セイバーの三人だ。
「わかりそう?」
「難しいですね・・・・」
「はぁ・・・・アッチィ」
そこで、三人が蒔風を連れ去った青年の跡を追うべく痕跡を探していた。
ちなみに一刀は試したが駄目だった。
士は一目見て「無理」と断言。
そして最後の頼み、セイバーが今試しているのだ。
何を?
四剣のつながりをだ。
「さすがに無理かなぁ?」
「エクスカリバーも十五天帝も世界四剣ってのだ。他の世界でも、共鳴できるかもしれない・・・・って海東が言ってたぜ」
「相手がわかってるならできなくはないと思うんですが・・・・ん?こっちでしょうか」
エクスカリバーを握り、右に左にクイクイと揺らすセイバー。
それを士が指を絵の額のようにして片目で眺める。
「題名「宝探しの王」」
「馬鹿なこと言ってないで士さんも何かしましょうよ・・・・」
「っつったってよ。今はそこの王様しか取っ掛かりがないんだからどーしよーもないだろ」
「だけど・・・」
「それに、相手がなんだろうと、一度捕まろうと、蒔風がそうやられると思うのか?」
「そうですが・・・・」
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蒔風の体が、部屋の中に持ち込まれる。
部屋は正方形。
壁には衝撃を逃すための凹凸がある。
中心に椅子があり、蒔風がそこに座らされて脚を椅子の足に、手を後ろに回して固定される。
部屋の明かりは壁の下から二十センチくらいのところにある非常灯のような物だけだ。
数名の男と青年によって固定された蒔風。
男たちと青年が部屋を出る。
するとヴィン!という起動音とともに部屋がほんの少しだけ振動した。
それと同時、蒔風の体の傷が少しずつ、本当に少しずつだが、回復に向かっていった。
それを見て、別の部屋の男が部下に指示を出す。
「その調子で戻してあげなさい。ただし抑圧をゼロにはしないで」
「はい」
部下の数名がレバーなどを弄り、蒔風の力に対する抑圧を徐々に緩めていく。
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翌日
「EARTH」ビル
そこに、数名のメンバーが帰ってきた。
向こうに残っているのは、セイバーと一刀、士の三人だけだ。
そして、そのホールで甲高い声が上がっていた。
「舜君をそのまま一人にして、連れて行かれちゃったってどういうこと!?」
「な、なのは・・・・」
「なのはさん・・・・」
「ティアナもフェイトちゃんも執務官でしょ!?なんで・・・なんでいつもあの人だけ・・・・!!!」
「おい高町のねぇちゃん!!それくらいにしろ!!」
フェイトとティアナに、なのはが掴みかかって叫んでいた。
いつもの彼女とは違うその風体に、ティアナは恐縮しフェイトは泣きそうになっている。
そのなのはをランサーが引き離し、壁に押し付けて怒鳴った。
「俺だってあいつらだって、全員が全力で戦っていた!!その結果敗北し、連れて行かれた!!これ以上何か言うんだってんなら、それは俺たちと、あいつの!!戦士の矜持を馬鹿にしたと見るぞ!!」
「でもそれで連れて行かれたんだったら戦士も何もないじゃない!!!」
「だから今でもセイバーたちが夜通し手掛かり探してんだろうが!!!あの状況で俺たちは全力を尽くした!!それでもまだ何か言うなら―――」
その言葉になのはが息を荒くして言い返そうとするが、その顔が次第に歪んでいき、くしゃくしゃになって涙を流し始めた。
「そんなこと・・・わかってるよ・・・・」
そして、ランサーの腕が緩められて地面にへたり込む。
「わかってる・・・わかってる・・・みんなが頑張って、今も必死になってくれてるのは・・・わかってる・・・だけど・・・やっぱり・・・」
それを見て、フェイトが肩を抱えてともに泣き、ティアナがその光景を見て拳を握りしめた。
「必ず、見つけ出します。絶対に」
拳からは、血が垂れている。
「みなさん」
と、そこに凩とともに長岡が何枚かのファイルを手にして、やってきた。
「少女が、目を覚ましました。限られますが、話もきけますよ」
ここで、一つ解き明かされ始める。
最初に戻って、あの街で何があったのかが。
to be continued
後書き
特に先には進みませんですね。
なのはさんを取りみださせてみました。
国のその後、その頃の蒔風、これからの「EARTH」、そして目覚め。
あの街で何があったのかを次回で書いていきましょう!!
ではまた次回
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