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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  逃・げ・ろ!!



「はーい、次はこっちですよー?」

「うぐぅ・・・・」



今、「EARTH」局長室は凄まじい量の書類で埋まっている。

当然だ。
急に帰ってきて、今まで起こっていた事件の内容は知っているとしても、それでも確認してもらわないといけないことがあるのだから。


どうやら彼は消えていたあいだに起きていた事件は関知していたようで、内容は大体わかっていた。
しかしそれでも「見ろ」というのがこの管理者である。





「なあアリス・・・・」

「なんですか?」

「後この部屋にある分で終わりなんだよな?」


「・・・・イメージしてください」

「?」


「テレフォンショッキングって、ステージに入りきらない花は廊下に並べられるそうですね」


「もうヤダァ!!!(ガバッ!!)」

「逃がさんッッ!!」



机から飛び出そうとする蒔風。
それに飛びついて取り押さえるアリス。



二人の「打ち合わせでもしていたんじゃ?」というほどの完璧なタイミングに、全米が泣いた。




「なんでこんな書類あんの!?こっちきたら遊ぼうと思ってたのにぃぃぃいいい!!!」

「はは~ん。さてはあなた一回消えたことをいいことに、こう言った仕事類はすべて一刀さんや理樹さんに押しつけようとしてましたね?」

「な、何を言ってるんだ!ばかばかしい・・・そもそも証拠があるのかね?証拠は!?」

「・・・・・・ニコ(ゴキン)」

「イェ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!??」



地面に押さえつけられながらも、まさしくテンプレな言葉を吐く蒔風に、乗っかってるアリスがニコリと笑う。

直後、何か嫌の音が肩からしてきた。こうなにか・・・・骨っぽい感じの音が




「なんかいった!!今オレの骨なんかイッタヨ!?」

「大丈夫です。関節外して取り付けるのを高速でやっただけですから」

「複雑骨折の未来が見えるッ!!誰かー!タスケテー!!」



しかし、現実はむなしい。
誰も来ない




「チキショーウ!!みんなが呼んだら俺はいくのに、俺が呼んだら来ないとはこれいかに!?」

「夏休みですからねぇ・・・・・こら逃げるな(バキョッ)」


「お、折れたァ!?今確実に折れた!?何この管理者!?暴君!?」

「違います。折ってないです。ちょっと関節を曲がらない方向に・・・・」

「それ折れないと無理だからね?それは折れてるって言うんだッテテテテテテテテテ!!!!」


「逃げませんか?」

「逃げない!!」

「よろしい」



パッ



「ふぅ~・・・・」

「・・・・・」


「ゴキブリ!!!」

「ぎゃぁーーーーーーーー!!!!」




アリスが蒔風を解放した一瞬で、彼は何か黒いものを放り投げてその場から遁走した。

彼の投げたそれはおもちゃだが、そこはこれ、「EARTH」の技術を結集して作った超高性能なゴムゴキブリだ。
多分、精密すぎて本物よりグロい。


「ひぃっ、ひぃーーーー!!!・・・・・・・ふう・・・玩具か畜生!!!」

「ほかの管理者の力取り込んで性格やばくなってないかアリスさん!?」






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その直後、局長室前の廊下


静かなその廊下を、いきなり大きな音が侵食した。



バンッッ!!!




自室の扉を蹴り飛ばして開け、超絶ダッシュで廊下を走り抜ける蒔風。
そしてその直後、壊れて開けっ放しの扉の向こうからカァッッ!!!と光があふれ出て、直後に爆発。その煙の中からショットガンを肩に担いで、タスキのように弾を肩にかけるアリスが駆け出してきた。



「待てェ!!」

「いや待つわけが・・・・」

「ハチの巣にしてやるから止まって!!!」


「止まるかァ!!!!」




蒔風は駆けだす。
この長い長い逃走路を――――――――





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「もう頭だけでいいんで寄こしてください!!判断できるモノがあればそれでいいんで!!」

「そのわりにはヘッドショット狙ってるよな!?一発でつぶれた果物になってみせるぞ!!」

「自慢にすることじゃないでしょう!?」

「だったらそれぶっ放すのやめい!!!」


廊下を闘争する蒔風。
追うアリス。

管理者の力かなんなのだろうか、その弾が尽きることはどうやらないようで、今までに何十発も蒔風は発砲されていた。


それを走りながら回避し、必死に逃げる蒔風。



おっかないったらありゃしない



と、その途中で蒔風が理樹を見つける。


「理樹バリアー!!」

「うわぁ!?(ガキキキキキン!!)」



そして、とっさにバリアにして再び逃走。

この男、鬼畜である。



そのまま理樹を背中に担いで走り続ける蒔風
すると、背中の理樹が話しかけてきた。


「こ、これってどういう状況!?」

「書類から逃げた」


「あぁ~・・・・・・」



いやにあっさりとに納得する理樹。

どうやら心当たりがあるようで・・・・・・




『もうこんな書類嫌だぁ!!!』

『翼人二人なら逃げられる!!行くぞ、理樹!!』


『(テ~ッテレ~ッテ テレレレ~ン!)地球破壊爆弾~♪』






「ってことが・・・・」

「音はキテレツなのに道具はドラかよ・・・・・」



走りながら意気投合する理樹と蒔風。
だからといってまあ理樹がこの状況に納得するわけもなく・・・・



「降りる!!」

「わあまってくれ!!これじゃ俺がハチの巣に!!!」


ゲシッ、と理樹が蒔風の背中を蹴り飛ばし、一気に離脱しようとする。

だが蒔風だって逃がす気はない。
その理樹の足を掴んで引き留めようとし、しかし勢い余って二人ですっ転んでしまった。




「やばいやばい!?追い理樹早くどけこのままじゃ撃ち抜かれるぞ!?」

「キュ~・・・・」

「気絶しとるーーーーーーーー!?バリアは最硬のくせに本人が何という脆弱!!」


そんな風にごろごろしてしまっている二人のもとに、アリスの足音が聞こえてくる。
廊下の曲がり角をズシャァッ!!と飛び出してきたのはまさしくアリス(四足歩行)


なぜかショットガンは放棄したようで、某初号機よろしく脚と腕をガニマタにして駆けてきていた。




「ヒィィィィイイイイイイイイイイイい!?ちょ、ちょ!?ホラー映画みたいなの駄目なんだって俺!!理樹ィ!!起きてーーーーーーーーーー!!!」




その動きに比類無き恐怖を感じる男、蒔風

死の恐怖を失った男は、こうした小さな恐怖に弱かったりする。





「だ、だれか・・・・ダレカタスケテーーーー!!!」

「ショルイヲミロォォオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

「いやぁーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」





ゴン!!ガキィ!!!





「どうした!!大丈夫か!?」


「「ザ、ザッフィー!!」」

「出番が減ってってさびしいザッフィー!」

「ほとんど犬形態で「人型?なにそれ」みたいな感じになってるザッフィー!!」

「それでもなんだか最近出番があるような気がするザッフィー!!」



「お前らそれが助けてもらった人間の言葉か」



「「そんな君を待っていた!!」」



ゲシッ×2



「ぬお!?(バガガガガギン!!!)ウおおおおおおおお!?」


「「大逃走!!」」

「おのれ翼人ンンンンンンンンンン!!!」





二人の前に現れてくれて、アリスをいったん押しのけてくれたザフィーラに対してなんというもの言い。

しかもそのあと蹴り出して盾にするとか超鬼畜である。




抗議をしようとするザフィーラだが、アリスが再びショットガンをぶっ放してきたためにいやおうなしに防衛に回らねばならなくなった。




「そんな・・・ザフィーラさん!!あなたまでそちらにつくんですか!?アリス悲しい!」

「この状況を見てよくそんなことが言えるな!!」



「「ザッフィーは巻き込まれただけだ!!」」



「お前らのせいだァァアアアアアアアあああ!!!」


ドッパン!!!


二人の言葉にザフィーラが叫び返すと、そのザフィーラが吹っ飛ばされて二人の後方に消えた。
え?という顔をしてアリスの方を見直す二人。




そこには背中にポンプを背負い、消防車などについている消火用のホースを握るアリスがいた。


俗に言う圧水銃というものだ。
しかし、威力はその比ではなく・・・・・




「逃げる!!!」

「逃がしません!!!」




ダダッ!!と走り出す二人。追う一人。



そもそも威力がおかしい。

蒔風だって圧水の能力でイニシアチブを取ろうとしているのに、それがうまくできないほどの水圧。
理樹もバリアで防ごうとするものの、バリアはよくても理樹自身が押されてしまってアウト。



「EARTH」の廊下をゴリゴリ削りながらなので、その破片を飲み込んだ圧水銃はさっきの散弾以上の威力を発揮していた。


「やめろやめろ!!ビルが壊れる!!修繕費かかるぞコラァ!!」

「では威力を落として・・・・・」

「やめはしないのか・・・・」

「五十人は吹っ飛ばす方向で」

「うぉい!?今までのは何なんだよ!!」


「もはや切断系?」

「ウォーターカッターかよ!!!」




恐ろしい。
拳大の大きさの水流が、ウォーターカッター。


無事なのは翼人だからであろうか。




が、威力を落としたと言ってもまだ凶悪だ。
まともに当たれば昏倒は免れない。




「ってかハプニングあるたびに走ってねぇか俺!?」

「まずいよ・・・・誰か来る!!」


走りながら、理樹が曲がり角の向こうから誰か来ると指摘してくる。
言われてみれば確かに、小さく足音が聞こえてきた。


その前を通過し、水流を弾く蒔風。


すると曲がろうとしていた乾巧と園田真理にバシャァ!!と水がかかった。




「ヒャッハー!!理樹!!」

「写真に収めたよ!!」

「濡れた少女の写真ゲッツ!!後でムッツリーニに売ろう」


こいつら、何をしているのか。
ちなみに蒔風は楽しんでいるだけで、理樹は最近猫の餌(モンペチ)を山買いさせられて金欠なのだ。




だが



「?・・・おォオ?!なんかめっちゃスゴイの来てる!なんか壁とか天井走りながらめっちゃ追ってきてる!?」

「ファイズアクセルだァァアアアアアアアああ!!走れ理樹!!キレた巧は病んだ小毬より怖い!!」

「なんと!?」


「テメェらちょっと待てやゴラァ!!!」


びしょびしょにされ、さらには写真まで撮られた乾巧がめっちゃキレてた。
劇場版よろしく壁や天井を走り、迫るファイズ。







「気張れ理樹!!アクセルの加速は十秒が限界だ!!!」

「一秒が永久に感じるね!!」

「いや、実際には1000倍だから・・・・・」

「マジレスしてる暇があったら引っ張ってよ!!!(怒)」



そりゃそうだ、と蒔風が理樹の腕を掴んで加速開翼。
ファイズを振り切ったところで解除して息を整えた。


「なかなかにまずい状況だったな」

「そうだね・・・じゃ、僕はここで。これをムッツリーニに売ってくるよ」

「気をつけろよ?」

「そっちもね」




そういって、別れる二人。

しかし、理樹がどこかの部屋の扉の前を通ったところで・・・・・




ガシッ!!


「(頭掴まれて)・・・・え?」

《Excead Charge》


グイッ!(引きずり込まれる音)



「あ!うわァァァ・・・・・・・!!」




ギィーーーンΦ!!!





蒔風の背後の教室の窓から、紅い閃光が漏れ出てきた。

それだけで何が起こったのか、蒔風にはすべて理解でき・・・・





ただ、彼には涙をこぼすことしかできなかった。





「逝ったか・・・・(男泣き)」

「あなたもです」

ガシッ


「いやだぁーー!!遊ぶーー!!」

「今こうしている間にも何人かに手伝ってもらってんですよ!?早く終わらせなさい!遊ぶのはその後ですッ!!」




どうやら、彼の休みはまだ先のようだ。

しかし仕事をしているとどうにも別のことを考えてしまうようで、いろいろといきたいところが決まってしまった。




蒔風は頑張る!!その夢に向かって走り続けるのだ!!!!






to be continued

 
 

 
後書き

みなっさーーーん!!
第四章の始まりですよーーーーー!!!



私が日常を描くと大体みんな走ってる気がする。



逃走劇しか頭に浮かばないんや・・・・・






ちなみに今作中では夏です。
夏って言ったら夏です



ではまた次回で

 
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