夢値とあれと遊戯王 太陽は絶交日和
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LINK-0 前編
前書き
※これは新マスタールール以前の話ですが、少し手間を増やすだけで新マスタールールにも対応出来ます。
老伍路 夢値の先行第1ターン、メインフェイズ。
「もしかして、さいごだのさいごじゃないだの言っておいて、私のターンが回ってこないなんてことはないでしょうね?」
哀手 樢はジトッと夢値を見つめた。
「いやぁ、まさかそんなことが、」
夢値はあははと笑った。
「あるかもしれませんね。永続魔法、《世界樹》を3枚発動します」
「絶対ろくでもない!」
樢は今までの経験から叫んだ。
「《ローンファイア・ブロッサム》を召喚します。植物族モンスターである自身をリリースして効果を発動。デッキから、植物族モンスター、2体目の《ローンファイア・ブロッサム》を特殊召喚します。そして2体目の《ローンファイア・ブロッサム》の効果で自身をリリースして《シード・オブ・フレイム》を特殊召喚します」
ローンファイア・ブロッサム 攻500
↓
ローンファイア・ブロッサム 守1400
↓
シード・オブ・フレイム 守1200
「ぼくのフィールドの《シード・オブ・フレイム》と墓地の《ローンファイア・ブロッサム》を対象に、速攻魔法、《炎王炎環》を発動します。《シード・オブ・フレイム》を破壊して《ローンファイア・ブロッサム》を特殊召喚します。植物族モンスターが効果で破壊されたので、3枚の《世界樹》にフラワートークンが1つずつ乗ります。ここでぼくの墓地の《ローンファイア・ブロッサム》を対象に、破壊された《シード・オブ・フレイム》の効果を発動します。《ローンファイア・ブロッサム》を特殊召喚して、樢さんのフィールドにシードトークンを守備表示で特殊召喚します」
シード・オブ・フレイム 守1200
↓
ローンファイア・ブロッサム 守1400
ローンファイア・ブロッサム 守1400
シードトークン 守0
「ダードこれどうなるの?」
樢は振り返って尋ねた。
「いや、まだ分からん。《王虎ワンフー》と《世界樹》のループなら知っているが……」
「片方の《ローンファイア・ブロッサム》で自身をリリースして《ダンディライオン》を特殊召喚します。そして2体目の《ローンファイア・ブロッサム》で《ダンディライオン》をリリースして2体目の《ダンディライオン》を特殊召喚します。そして墓地に送られた《ダンディライオン》の効果で、綿毛トークンを2体特殊召喚します」
ローンファイア・ブロッサム 守1400
ダンディライオン 守300
↓
ローンファイア・ブロッサム 守1400
ダンディライオン 守300
綿毛トークン 守0
綿毛トークン 守0
「ぼくはレベル3の《ダンディライオン》と《ローンファイア・ブロッサム》でオーバーレイ、ランク3《幻影騎士団ブレイクソード》をエクシーズ召喚します。そしてオーバーレイユニットを取り除き、自身とシードトークンを対象に《ブレイクソード》の効果を発動します。それらを破壊。そして樢さんのシードトークンが破壊されたので《世界樹》にフラワーカウンターが1つずつ乗ります。そして《ブレイクソード》のオーバーレイユニットだった《ダンディライオン》が墓地に送られたので綿毛トークンを2体特殊召喚します」
ブレイクソード 守1000
綿毛トークン×2 守0
↓
綿毛トークン×4 守0
「自身のフラワーカウンターを2つ取り除いて綿毛トークンを対象にして、《世界樹》の効果を発動します。綿毛トークンを破壊。3枚の《世界樹》にフラワーカウンターが1つずつ乗ります」
これで3枚の《世界樹》のフラワートークンはそれぞれ1個3個3個となった。
「2枚目の《世界樹》の効果で2体目の綿毛トークンを破壊してフラワーカウンターを1つずつ乗せます。これを綿毛トークンがいなくなるまで繰り返します」
夢値のフィールドは3枚の《世界樹》のみとなった。
「……ふーん、」
樢は呟いた。
「フラワーカウンターを2つ取り除いてモンスターを破壊するとフラワーカウンターが3枚に1つずつ、計3つ乗るのね。だから差し引き1つ増えると」
「その通りです。素晴らしい」
夢値は大きく頷いた。
「んで、それを無限に増やしてどーこーするんでしょ?」
「そうですそうです。自身のフラワーカウンターを3つ取り除いて墓地の植物族モンスター、《シード・オブ・フレイム》を対象に《世界樹》の効果を発動します。《シード・オブ・フレイム》を特殊召喚」
シード・オブ・フレイム 守1200
「成る程」
ダードはもう理解したようだ。
「《ダンディライオン》じゃ数がギリギリだと思っていたがそうすればいいのか」
「もう分かりましたか、毎度ながら賢いですねダードさんは」
「ダード偉い。ダード偉い」
「お、おう、どうも」
「《世界樹》の効果で《シード・オブ・フレイム》を破壊してフラワーカウンターを得て墓地の《ダンディライオン》を特殊召喚して樢さんのフィールドにシードトークンを特殊召喚します。《ダンディライオン》を《世界樹》の効果で破壊してフラワーカウンターを乗せて綿毛トークン2体を特殊召喚します。そして、シードトークンと綿毛トークンを全て《世界樹》の効果で破壊します」
「それで、《世界樹》で《シード・オブ・フレイム》を出すってこと?」
「おぉ、やはり結構分かってきましたね。……先程樢さんが言ったように、《世界樹》が3枚ある場合、《世界樹》の効果で植物族モンスターを破壊することでフラワーカウンターを1つ増やすことが出来ます。そして、《世界樹》の効果でフラワーカウンターを3つ取り除けば、墓地の植物族モンスターを特殊召喚出来ます。つまり、墓地の植物族モンスターを1体蘇生することで植物族モンスターを4回以上破壊することが出来るなら、フラワーカウンターを無限に増やすことが出来ます。《シード・オブ・フレイム》を蘇生することで《シード・オブ・フレイム》、シードトークン、《ダンディライオン》、綿毛トークン2体の計5体の植物族を破壊出来るのでこのループをする毎にフラワーカウンターが2つ増えていきます。よって無限にフラワートークンを得ます」
夢値はループを再開した。夢値のモンスターが《世界樹》の力で死に、生まれ、また死に、また生まれる。
「……前々から思ってたけど、」
ループを眺めているだけなのも退屈だったので、樢は話題を作った。
「はい、なんでしょう?」
夢値はループを続けながらも注意をこちらに向けたようだ。
「あんた無茶苦茶運いいわね。それともイカサマでもしてるの?」
「イカサマじゃないですよ、ただの強運です」
「いやあんた強運って言ってもねぇ」
「尋常じゃない程度の強運なんですよ」
「!?」
ダードがハッと目を見開いた。
「夢値、お前もしかして……」
「どうしたのダード?」
ダードの変化に樢はキョトンとするしか無かった。
「……ぼくにとってぼくは老伍路 夢値なんですけど、皆さんにとっては夢値ではないかもしれません」
夢値のループを続けながらの呟きに、樢はサンサーヴに憑かれていた時のことを思い出した。
皆がサンサーヴによって動いている樢をサンサーヴと呼んでいる中、夢値だけは樢さんと呼んでいたのだ。
「ぼくを動かしているのは老伍路 夢値君ではなく、スターチップという電子回路です」
フラワーカウンターが、ループによってまた2つ増えた。
「電子回路……?」
樢は首を傾げた。人造人間なのだろうか、そうだとしたら相手プレイヤーに直接攻撃出来るのだろうか。現実味の無い人間による現実感の無い告白を聞いて、樢の思考はふわふわしていた。
「樢がサンサーヴに操られて決闘していたのと同じように、夢値はスターチップによって操られているということか?」
「そういった感じですね」
ダードの問いに夢値はゆっくりと頷いた。だが目線は未だフィールドにある。
「スターチップを脳に埋め込むことで、人智を超えたとしか思えないような力や知恵を手に入れることが出来ます。この手を動かす命令を出しているのも、スターチップです」
夢値は樢のフィールドのシードトークンを破壊した。
「成る程」
その話に加わったのは九衆宝 毛糸だった。
「あなた達の集団」
「『アミゼ』ですね」
「あなた達の集団はサンサーヴの力を求めていないと言っていたけれど、それに匹敵する力を既に持っていたからというわけね」
「そうですね。量産と言うまではいかないですけれど、スターチップはぼくに続いて既に8人の人間に埋め込まれているそうです。ぼくのはマグレで出来た怪作なのでその8人の力はぼくには及びませんが、そろそろぼくのを凌ぐスターチップが出来るかもしれませんね」
「じゃ、じゃあ、元の老伍路 夢値はどうなってるの?ずっとスターチップに操られたまま……?」
樢は自分の体に憑いて好き勝手やってくれたサンサーヴのことを思い出した。
「いえ、寝る時は支配を渡します」
「寝る時だけ!?」
「彼曰く、『寝る以外全部やってくれんのか?すげー!』だそうです」
「……へ、へぇ」
樢は脱力した。
「決闘出来ないのが辛くないとは珍しいものですね」
夢値はループに注視しながら呟いた。
「……それ、まだ終わんないの?」
樢は夢値のフィールドを指差した。
「無限にフラワーカウンターを得た後は無限ドローをするんですが、1ドロー辺りフラワーカウンターを8つ使う予定なので、30枚程度のデッキを全て引ききるなら必要なフラワーカウンターは約240個。1ループで得られるフラワーカウンターは2つですから、ループを120回ぐらい繰り返す必要がありますね」
「と、とんでもないわね」
「それ以外にも野暮用に色々と使うので入念にループしておきたいですね」
夢値はそれでも暫くして、ループを終えた。
「これで十分です。《世界樹》の効果で墓地の《ローンファイア・ブロッサム》を2体特殊召喚します。そしてその効果でデッキの《スポーア》と《にん人》を特殊召喚します。レベル4の《にん人》にレベル1の《スポーア》をチューニング。《TG ハイパー・ライブラリアン》をシンクロ召喚します」
ライブラリアン 攻2400
「《世界樹》の効果で墓地の《ローンファイア・ブロッサム》と《にん人》を特殊召喚。《ローンファイア・ブロッサム》の効果で《エンジェル・トランペッター》を特殊召喚します。レベル4の《にん人》にレベル4の《エンジェル・トランペッター》をチューニング。レベル8、《PSYフレームロード・Ω》。シンクロ召喚したので《ハイパー・ライブラリアン》の効果で1枚ドローします」
PSYフレームロード・Ω 攻2800
ライブラリアン
「《世界樹》の効果で《Ω》を破壊します。そして墓地の《にん人》を対象に墓地の《Ω》の効果を発動して、この2枚をデッキに戻します。《世界樹》の効果で《ローンファイア・ブロッサム》と《エンジェル・トランペッター》を蘇生します。そして《ローンファイア・ブロッサム》をリリースして《にん人》を特殊召喚。レベル4の《にん人》にレベル4の《エンジェル・トランペッター》をチューニング。《Ω》をまたシンクロ召喚します。《ライブラリアン》の効果で1枚ドロー」
(あの《Ω》ってのを何回も出して《ライブラリアン》?だっけで無限にドローするわけね)
「その通りです」
夢値は頷いた。
(え、何!?心が読めるの!?)
「心は読めませんよ流石に。……墓地の《Ω》は無限にエクストラデッキに戻るので、エクストラデッキから無限にフィールドに出す手段とフィールドから無限に墓地に送る手段があれば無限ループが成立します。そしてその2つは世界樹の2つの効果で満たすことが出来ます。あとはそのループをする度にドロー出来る《ライブラリアン》を置いておくことで無限にドローすることが出来ます。ちなみに、《Ω》の効果で墓地からエクストラデッキに戻す場合墓地にもう1枚カードが必要で、1ループ毎に墓地が1枚減りますが、植物族モンスターをデッキに戻してから《ローンファイア・ブロッサム》でそれをデッキから特殊召喚すれば墓地の枚数を1枚増やせるのでトントンに出来ます」
「んで、これを30回だかするってわけね?」
「はいはい」
…………
「さて、」
夢値はデッキを引ききった。
「キーカードがデッキの底にあったので全部引く羽目になりました。……ではまず、《世界樹》の効果で《ライブラリアン》を破壊します。これでぼくのフィールドはがら空き。そして、《世界樹》の効果で《ローンファイア・ブロッサム》と《エンジェル・トランペッター》を特殊召喚します。レベル3の《ローンファイア・ブロッサム》にレベル4の《エンジェル・トランペッター》をチューニング。レベル7、《ブラック・ローズ・ドラゴン》をシンクロ召喚します。効果は使いません。そして、同じように《世界樹》で《ローンファイア・ブロッサム》と《エンジェル・トランペッター》を特殊召喚。そしてその2体でレベル7、《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》をシンクロ召喚します。そしてレベル7の《ブラック・ローズ・ドラゴン》と《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》でオーバーレイ。ランク7、《No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク》をエクシーズ召喚します」
ライブラリアン
↓
ブラック・ローズ・ドラゴン 攻2400
オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン 攻2500
↓
ギャラクシー・トマホーク 守3000
「《メタルフォーゼ・スティエレン》をペンデュラムゾーンにセッティングします。エクシーズ素材を2つ取り除いて《ギャラクシー・トマホーク》の効果を発動します。そしてそれにチェーンして《スティエレン》を対象に速攻魔法、《サイクロン》を発動します。更にそれにチェーンして、速攻魔法、《サモンチェーン》です。これでぼくは通常召喚の回数が3回に増えて、《スティエレン》は破壊され、バトル・イーグル・トークンを4体特殊召喚します」
ギャラクシー・トマホーク
バトル・イーグル・トークン×4 攻2000
「2回目の召喚権を使います。バトル・イーグル・トークン3体をリリースして、《オベリスクの巨神兵》をアドバンス召喚します」
ギャラクシー・トマホーク
バトル・イーグル・トークン
オベリスクの巨神兵 攻4000
「神だと!?」
外野のダードは身震いした。
「《世界樹》の効果で《バトル・イーグル・トークン》を破壊します。ぼくはスケール1の《メタルフォーゼ・シルバード》とスケール2の《法眼の魔術師》でペンデュラムスケールをセッティングします。そして手札の《覇王門無限》を公開して自身を対象に《法眼の魔術師》の効果を発動。自身のスケールを《覇王門無限》と同じ13にします」
「《覇王門無限》は高いスケールを持っているが、自分フィールドにモンスターが存在する間はペンデュラム召喚が出来ないという効果を持っている。だから《法眼の魔術師》でそのスケールだけコピーしたわけか」
「その通りですダードさん。これでレベル2から12のモンスターが同時に召喚可能。ぼくは手札のレベル3《ローンファイア・ブロッサム》、レベル3《シード・オブ・フレイム》、そしてレベル10《オシリスの天空竜》をペンデュラム召喚します」
ギャラクシー・トマホーク
ローンファイア・ブロッサム 守1400
シード・オブ・フレイム 守1200
オベリスクの巨神兵
オシリスの天空竜 攻????
「まさか、この流れは……」
「え、流れがなんかあるのダード?」
「ありますよ。ぼくは召喚権をあと1回残しています。ぼくは《ローンファイア・ブロッサム》、《シード・オブ・フレイム》、《ギャラクシー・トマホーク》をリリース、《ラーの翼神竜》をアドバンス召喚します」
オシリスの天空竜
オベリスクの巨神兵
ラーの翼神竜
ここに、3幻神が全て揃った。
夢値のスターチップによる力が、決闘中の無限ループを引き起こし、それが3幻神すら呼び寄せた。
「樢さん……、ぼくの全力は、これからです!」
そして、3幻神が揃っている時のみ現れるカードが、遊戯王には存在する。
「ぼくは、《オシリスの天空竜》、《オベリスクの巨神兵》、《ラーの翼神竜》をリリースして……」
……
しかしそこで、夢値の動きは止まった。
「……え、何、どうしたの?」
樢はポカンとするばかりだ。
「……あれ、間違えた」
夢値は頭を掻いた。
「はぁ!?」
「いやぁー、いよいよ《光の創造神 ホルアクティ》を出そうと思って手札をよく見たんですが、」
夢値は手札のカードを1枚公開した。
「……《創造の代行者 ヴィーナス》?」
それは大きな翼を携えた細身の女神の姿だったが、種族は光だしレベルは3である。
「いやぁー、似てるもんでついうっかり間違えてしまいました。どっちも創造の象徴なので似てるのも仕方無いですね。うーん、うっかり」
夢値はあははと笑った。
「え、は、じゃあ、どうすんの?」
「ターンエンドですね」
「え?ターンエンド!?」
「お前、デッキ0枚だけどいいのか?」
「こればっかりはどうにもなりませんねー。《世界樹》のカウンターも使い果たしちゃいましたし」
樢とダードの話にも笑って返すばかりだ。
「じゃあ手札が6枚になるように手札を捨てて、特殊召喚した《オシリス》と《オベリスク》は墓地行きですね」
そしてフィールドには、攻撃力0の神1体のみが残った。
「え、えっと、私のターン、ドロー、ターンエンド」
こうして、樢は初めて最後までやった決闘で、勝利をもぎとったのである。
後書き
最終話前編です!後編は実はどういう流れに成るか考え中です。オチは決めてるんですけど。
今回のデッキは大枠が遊戯王wikiに載っているという、更に言うならwikiを基に作ったというパクリ全開なデッキです。しれっと書きやがりました。今回はこんな結果になりましたが、無限フラワートークンならば、ガガガガンマンとΩを出しては殺し出しては殺しを繰り返すことで効率的に勝てます。みんなも初手に世界樹3枚握ろう!
というわけで質問感想誤字脱字その他諸々コメント頂けると有り難いです。
おまけ。
そろそろ終わるのでこの作品の裏話なんかをブログにて語りだしたよ。興味無くはない人は見てね。(URL貼っつけが暁の規約的にアレだったらアレします)
http://sinzyotoku.hatenablog.com/entry/2017/07/23/161924
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