| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ジョジョの奇みょんな幻想郷

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第一部 ケイオスクルセイダーズ
第一章 紅霧異変
  9.慶条丞一、探偵ですよ(キリッ

 丞一が幻想郷に住み着いて早くも1ヶ月になろうとしていた。
 季節は十月。旧暦だと神無月。暦上だと秋に入ったが、現実は非常、だというしかなかった。



 守矢神社にて。
「「「「『あちー』」」」」
 現在、幻想郷内の気温は36度を平常時の平均体温を超していた。
「もう、だめ。死んじゃう」
「あ、あそこに川が見える」
「諏訪子ぉ!?戻ってこーいっ!!」
『(チーン)』
「見事に全員死んでますね」
 早苗は未だに生き残っている数少ない人間だった。しかし、そんな彼女でも生きる屍と化するのは時間の問題だろう。
「つーか、何なんだよ!この有り様は!何これ、日本の九月の気温じゃないよね。熱帯地域ですかコノヤロー」
「というより、それ以前の問題ですよ!」
 丞一が冷静さを欠いてキレていたが、珍しく早苗も今回のことに憤慨していた。それもその筈。何故なら、
「天気予報で久々の雨って言ってましたよね!!」
 前日、週間天気で雨なのを知っていた早苗は洗濯物をできるだけださないように調節していたのだ。なのにこの有様である。昨日の苦労を返せ。
「ごめん、神奈子。私もう、限界、みたい」
「何言ってんだい諏訪子!こんな茶番で死んで良いってのかい!?」
「後は、任せ(がく」
「諏訪子?おい!諏訪子!諏訪子!」
 目を瞑り、ぐったりした諏訪子のことを神奈子は揺らす。しかし、返事はない。タダノシカバネノヨウダ。
「よくも、よくも諏訪子を!おのれぇ太陽を作ったやつ!許さん!!」
「神奈子さま!?あなたの上司ですよ!!??」
 古事記において太陽を創った神は天照大神。神奈子はその直属の部下に当たる。つまりたった今神奈子は自分の上司にこんな茶番のために暴言を言ったということになる。
「このままボケてたら収拾がつかなくなるな。ちっとアイス買ってくるわ」
「ジョジョ!私、ボリボリ君のソーダがいいです!」
「私はメロンソーダで。てかこの世界に売っているのか?」
「あ、丞一。私スイカで」
「わかったわかった。っておい!なんでこういう時に限って復活するんだ」
 丞一はコンビニへ買い物行ってくるわみたいなノリで
襖を開け、正面玄関ではなく横の縁側から出ようとする。特に理由はなかった。ただこっちの方が木陰があり少しでも涼しく出発できるそれだけの理由だ。しかし、これが思わぬ結果を招いた。招いたと言うより、結果を無理矢理ねじ曲げた。
「ほんじゃ行って、…………………………………………は?」
 丞一は自分の目を疑った。見た物が余りにも信じられなかった。目を擦りもう一度みるも、それは変わらなかった。
 ──────緋色に染まった空に、昼間にもかかわらず顔を出している緋色の月を疑ってはならなかった。
「『な、なんじゃありぁ!?』」
「どうかしたん、って、なんですかこれ!?」
 この一ヶ月、丞一がもっもと声を上げた日だろう。それほどまでに驚いた。
「早苗、幻想郷じゃ常識が通用しないんだよな。つーことは、あれも幻想郷じゃあたりま」
「当たり前なわけないじゃないですか!だから驚いているんですよ!!」
「っ!これは!」
「何かわかったの、神奈子?」
「ああ、こいつは魔法によって展開されている。しかも相当の使い手さね」
 神奈子の能力は『乾を創造する程度の能力』。つまりは天、空を司る能力。その神奈子が探知したのだから間違いはないだろう。
「ということは、人為的に起こされた────異変ってことですね!」
 異変。この幻想郷にはなくてはならない制度でありイベント。異変が起こりそれを博麗の巫女が解決する。このプロセスがあるからこそ幻想郷はその実体を保っていられるのだ。最近だと、ここ守矢の風祝の早苗と現博麗の巫女の霊夢が協力して事に当たっていたりするらしい。
「では、行ってきます!」
「待て、早苗。俺も行こう」
「え、ジョジョ!どうしたんですか!暑すぎて頭がおかしくなっちゃったんですか!?」
「おい!俺が働くのがそんなにおかしいか」
「「「『うん』」」」
 早苗、諏訪子、神奈子、さらにダークワンも含めて満場一致だった。よくよく考えてみれば普段から寝腐っている丞一だったら当たり前だった。
「ほんとにどうしたんですかジョジョ?」
「今回の異変は今まで通りには行かないってことさ」
「へ?何でです?」
「─────スタンド使いはスタンド使いと惹かれあう」
 これはジョジョ第四部のスタンド使い間田敏和が言ったスタンド使いの定義、ルールの用なものだ。正体を知らなくても知らず知らずに引き合っていくのだ。
「………わかりました。では行きましよう!狩りの時間ですよ!」
 そう言い、ピューと飛んでいった早苗の後を丞一も追いかける。






 現場まで、キングクリムゾン!







 現場に急行すると、すでに霊夢と魔理沙ともう一人男が一人いた。
 そこは、霧の湖に囲まれた紅い館だった。和風なこの幻想郷にはあまりにも合わなかった。
「よー。霊夢、魔理沙」
「あら?丞一じゃない。ひさしぶりね」
「ひさしぶり。その節はどうもな」
 丞一は霊夢と魔理沙はあの時初めての弾幕ごっこ以来顔を合わせていない。
「魔理沙もひさしぶりだな」
「おう!丞一!ひさしぶりなんだぜ!」
「で、そちらさんが?」
 丞一はそのもう一人の男の方へ向き直った。
 すると、男は苦笑いを浮かべた。
「あら、これ俺覚えられてない感じ?」
「?俺と会ったことあったか?お前」
「これでも、同じ学校だったんだけどなぁ。まあいいや、まずは自己紹介だな。俺は実力派エリート迅優作。よろしく」
 丞一は男、迅の言葉を聞き驚いた。まさか、自分と同じ境遇の人がいたとは。しかも、ニアミスしてる。
「迅優作?ああ、いたなそんなやつ。そいつは悪かったな。改めて、俺は慶条丞一。ジョジョって呼んでくれ」



 こうして、『この世界』の幻想郷の英雄二人は邂逅をはたした。




 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧