ジョジョの奇みょんな幻想郷
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第一部 ケイオスクルセイダーズ
プロローグ ビギンズデイズ
8.あれから………一週間
丞一がこの幻想郷に来て守矢神社に居候をはじめて、月日が流れた。
突然だが、実は丞一は朝に弱い。いや弱いというのではなく、二度寝こそが至高というおっさん臭い主義をたてている怠け者なのだ。そして、今まで一人暮らしで起こしてくれる人も当然いない。丞一は寝坊が理由で学校をさぼっていたほどなのだ。
というわけで、現在時刻、八時。
「ジョジョ!起きてください!朝食ができましたよ!」
「うーん、……後五分」
「そう言って起きた試しがないじゃないですか!」
このようなテンプレ光景も、ここ一週間では守矢神社
では当たり前の光景となった。
「ほら!ニャル子さんからも何か言ってください!起きてますよね!」
『くーすー、泡盛は、古酒』
「起きてますよね!?」
『……後五光年です。ではお休み』
「光年は時間じゃない。距離だ。ニビジムのポケモントレーナーみたいなこと言わせないでください!そしてちゃっかり寝ようとしないでください」
まず、スタンドに睡眠が必要なのかと問うべきなのだろうが、今はそれどころではない。このテコでも起きない二人を早苗は起こさなければならないからだ。
スッ、と早苗の目つきがかわり、纏っている雰囲気も変わった。ついでにスタンドも出ている。この状態の早苗はマジギレの時の状態だ。
「二人とも、起きてますよね?」
「『ぐ、ぐーすー、現在時刻は、偶数』」
「……後五秒以内に起きないと朝食抜きにしますよ」
「いやー!よく寝たなー!」
『今日はとてもいい一日になりそうですね!英語で言うと、グレートデイズ!』
「はぁ、起きたなら早く行きますよ。お二人は先に食べてるんですから」
「悪いな早苗」
「そう思うならちゃんと起こされる前に起きてください」
そいつは無理だ、飄々と芝居が効いたように肩をすくわせる。
そんなやりとりをしているうちに二人は居間に着いた。そこにあるちゃぶ台ではすでに二人の女性?が朝食を食べていた。
「おはよう、ジョジョ!今日もずいぶんと眠そうだね!」
「おはよう、諏訪子。やはり朝はつらい。もっと寝たい」
「あんたはもう少し早起きする努力をした方がいいんじゃなかい。早起きは三文の得って言うしさ」
「それは無理ですよ神奈子様。ジョジョなら『三文の得なら三度寝が欲しいぜ』という人間ですから」
「大正解」
丞一はそして大きくため息をつかれた。この二人は洩矢諏訪子と八坂神奈子。この神社の祀ってる神様だ。
実は丞一と早苗がまだ小さい頃つまり、一緒に遊んでる頃にはすでに身近な存在であったことが発覚した。そういえば、小さいころダークワンがよく右手で顔を若干かくし、左手でどこかを指し、いかにも見ているな!とやっていたのを丞一は思い出した。
「そういえば、ジョジョは今日は仕事ですよね」
「ああ。一旦昼には必ず帰ってくるよ」
丞一は就職先を決めていたのだ。バイト探しなら町ワークスや
「仮にも教師なんですからちゃんとしてくださいよ。生徒の模範となるのが先生の仕事ですよ」
「わかってるよ」
「いきなりマッハで移動したり」
「出来ねぇよ」
「地球を破壊して完全犯罪を目論んだり」
「しねぇよ」
「養豚場の豚を見るような目で」
「見ねえよ」
いつからこんなボケキャラになってしまったのだろうかと思うと丞一から自然にため息が出た。それでも、早苗の作る味噌汁はおいしかった。
仕事場までキングクリムゾン!
「おはよう。来たぜー、彗音」
「おはよう、丞一。今日も頼むぞ」
上白沢彗音。丞一の上司であり、人里で寺子屋を切り盛りしている半妖である。早苗の友人で丞一は勿論早苗経由で知り合ったのだ。
丞一は教師という職業に就いてから一週間と経ってないが、馴れてきたという実感は感じられた。
丞一は授業を開始するために教室の元へ向かう。
丞一は教室の襖を引き、教室へ入る。
「おはよう」
『おはようございます!』
「おはよーなのだー」
「サイキョーのアタイにかかればどんな問題でもイッシュンね!」
「チルノちゃん、授業始まるよ。丞一さんも来たし」
「あ、ホントだ!よう!ジョジョ!」
「おはよう、チルノ。ちなみに2+2は」
「1!」
「今日の宿題倍な。昨日の宿題やってきたか?」
「なに!間違ってるだと!」
「なんでも2に足してるのに1に減ってるんだよ。それよりも宿題。まさか大妖精から見せてもらったなんてことはないよな」
その質問に大妖精が、自分が教えながらやった、と言っていたので問題はないだろう。
この彗音の寺子屋には人里の子どもは勿論、一部の妖怪、妖精も参加している。
最初に挨拶したのは、あのルーミアだ。
そして、その次に挨拶したのはチルノ。氷の妖精だ。
元気がよく、いい子なのだが、とにかくバカなのだ。今のように足し算もできない。あまりのできなさ故に、最初の授業前に問題を出し、でかなければ宿題をチルノだけ倍にする制度を作ったのだ。むしろ倍ですら足りないまでもある。
その次にしたのが大妖精。この寺子屋の人外の中でも常識人であり寺子屋の良心だ。チルノの親友でもあるらしいので、お目付役として、チルノの監視を頼んでいるのだ。
そのように朝は過ぎ、授業へと移っていく。
「魔理沙が持っていた六つのリンゴを霊夢が四つ食べました。そこへさらに早苗が三つのリンゴを持ってきてくれました。リンゴは全部でいくつあるでしょう。………この問題誰かわかる人、いるか?」
「はいなのだー」
「じゃ、ルーミア」
「霊夢なら、リンゴを残すわけないのだー。追加のリンゴも全部食べて答えは0個なのだー」
「そりゃあ、霊夢ならやりかねんが、今はあいつの人間性は関係ないからな。大妖精、わかるか?」
「五個です」
「正解だ」
チルノやルーミアがアホ回答をし、それを大妖精や他の子が訂正するという一連の流れをしながら、午前の授業は終わった。
「じゃあ、彗音。俺は一旦守矢神社に帰るわ」
「あ、丞一。今日は午後は授業無いから帰ってもいいぞ」
「授業が無い?その割にはみんな帰ってないが」
「特別授業だ。護身術のな。人里の中にいれば妖怪に襲われる心配はないとはいえ人里の中も平和ではない。最近じゃあ、強盗とかもあったりするからな」
「大変なんだな。確か彗音も入ってたろ?自警団」
自警団。この人里の自由と安全と平和を守る組織、をキャッチコピーにしている奉仕団体だ。彗音もそこの団長を昨年やっていたらしいのだが、団長は一年の一任制らしく、今年はできなかったそうだ。
「そこでだ、もしもの時自分のみを守れるようにその自警団のツテを辿って基礎を教えて貰うことになったんだ。月一でやっているぞ」
「へえ、そんなのが」
「まあ、気になったら来てみるといい」
「ああ、気になったら、な」
「行くに決まってるじゃないですか!」
「デスヨネー」
神社に戻り早苗に旨を伝えると次の答えが返ってきた。
「でも、早苗にはスタンドがあるだろ?それでいいんじゃ」
「何を言ってるんですか!第四部で『クレイジーダイヤモンド』ほとんどスペックが変わらない『キラークイーン』に勝った勝因を忘れたというのですか!?」
一説によると、第四部の最終決戦は近接戦闘の善し悪しが物を言ったが、その理由は吉良吉影が近接戦闘に馴れていなかったからだと言われている
「でも、その人強いのか?」
「そりゃ、もう。弾幕ごっこは知りませんが、単純な肉弾戦なら幻想郷でも屈指の強さを誇りますよ!もうすごいんですよ。前なんて数十人のチンピラをたった一人でしかも素手で無力化させたんですよ!もうビッグボスですよ!」
「さらに言うなら都市伝説並みの強さも持っているぞ」
声の主の方へ向くと神奈子がそこにいた。
「因みにどんな噂?」
「曰わく、どんな武器も使いこなす
曰わく、近中遠すべての距離で戦えるとかそんなところだ。しかも能力持ちというのももっぱらの噂だ」
「なんだそりゃ」
オーソドックスにオーバーだ。どんな武器も使えてすべての距離に対応するとか最早ビッグボスだ。もしかしたらその人、授業の開始の鐘が鳴ってもこないタイプの人なのだろか。待たせたな、とか言いそうだ。
「というわけで私も行きます」
「行くって言ってないのに。わかったよ、行く。行くから」
二人はぱぱっと食事をすませ寺子屋まで飛んで向かった。
「そういえばジョジョ」
「どった?」
「いや、そういえば余りに自然だったから気にしなかったけど、どうやって飛んでるんですか?霊力まだそこまで扱えませんよね?」
「ああ、重力のかかる向きを変えてるんだ。ダークワンの能力でな」
丞一は霊力の扱いはお世辞にもうまいとは言えなかった。弾幕を張ることは少ないながらもできた。しかし、飛ぶことがままならなかったのだ。そこで、ジョージ・ジョースターのように逆に考えた。霊力で飛ばなければいいんだ、と。そして今に至る。
「前に説明しなかったけ?」
「されたはずなんですけど、なぜか記憶がないんですよ」
『それはきっと紅王症候群ですな』
「紅王症候群?」
「あれ?どっかで聞いたぞ」
『まるで、時間が消し飛んだように感じてしまうものです。そう、『過程』が消し飛ばされ『結果』だけが残る!』
「キング・クリムゾンじゃないですか!」
『貴様が今目撃し触れたものは、未来のお前自身だ。終わらせてやろう』
「終わんねーよ」
「あ、もう集まってるみたいですね」
「なあ、早苗」
「ん?何です?」
「まさか、俺の知ってる人でしたってオチじゃないよな」
何故だか、いやな予感がビビッと走ったのだ。
「いやですね~。そんなのあるわけ………………無いじゃないですか!」
「おい、今の間はなんだ。まさか、波紋の先生でしたってオチじゃないよな。じゃないよな!」
「…………」
「せめてなんか言ってくれ!」
そして、いざ到着してみると。別に丞一の知り合いでも何ともない人だったとか。
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