恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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186部分:第十六話 孫策、刺客に狙われるのことその十
第十六話 孫策、刺客に狙われるのことその十
「お二人が雪蓮様の討伐の前の準備をされてるんです」
「それで今はいないんですか」
「はい、そうなんですよ」
「会えるかなって期待していたんですけれど」
「また来られたら御会いできるかと」
呂蒙は孔明を気遣ってこう述べた。
「ですからその時にでも」
「はい、じゃあ今は」
「はい、それでは今は」
「書庫にですね」
孔明の顔が明るい顔になった。姉に会えないとわかって寂しい顔になったのも一瞬だった。すぐに明るい顔に切り替わったのである。
「それではすぐに」
「凄い書庫なんですよお」
陸遜の目がきらきらとしていた。
「もう本当に」
「そんなにですか」
「はい、やっぱり本はいいですよね」
目がさらに輝いていた。
「読んでいると書いた人の心まで伝わってきて。それでその中に浸って」
「あの、穏殿」
呂蒙は我を失いそうになっている陸遜に対して突っ込みを入れた。
「孔明殿が」
「孔明さんが?」
「戸惑っておられますから」
だからだというのである。
「ですから落ち着かれて」
「私は落ち着いてますよう」
「はあ」
それを聞いてもあまり信じられない呂蒙だった。
「だといいうのですが」
「それでですね」
陸遜のおっとりとした声がまた孔明にかけられる。
「色々な本がありますから三人で」
「はい、読みましょう」
「お勉強しましょう」
そんな話をしてだった。そのうえで書庫に入る。その時キング達は黄蓋と周泰に案内されてだ。建業の街で遊んでいた。
「黄蓋さまーーーーーっ」
「祭様ーーーーーっ」
「こら、教えたからといって気軽に真名で呼ぶでない」
黄蓋は自分にまとわりついてくる子供達に困った顔で返している。
「それにじゃ。今は客人達の案内役なのじゃ」
「そうなんですか?」
「それじゃあ」
「そうじゃ。また今度遊んでやる」
その子供達に対しての言葉だ。
「だからじゃ。またな」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
「子供に好かれてるのね」
キングはそんな黄蓋を見て話した。
「それもかなり」
「好かれたくて好かれているのではない」
口ではこう言うのだった。
「それではじゃ」
「立派な市場ね」
案内されたのはそこだった。道の左右に店が連なっている。それは何処までも続いておりそのうえ品物が溢れかえっていて行き交う人々も多い。繁栄しているのは明らかだった。
そしてその中でだ。ナコルルは動物達に囲まれていた。彼女はその中に囲まれてそのうえで、である。しゃがんで同じ目線で相手をしていた。
周泰はそのナコルルの横に来てだ。寝転がる猫の腹を撫でてうっとりとしていた。
「やっぱり猫様はいいですよね」
「そうですね。私動物が大好きなんです」
ナコルルもこう返す。
「いつもこうして一緒にいます」
「猫様ともですね」
「はい、そうです」
にこりと笑って周泰に答える。
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