マイ「艦これ」「みほ2ん」
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第19話<彷徨う艦>
前書き
銃を放り出して寛代を助け起こした司令に、それは甘いと深海棲艦はあざ笑う。
「スグニ我々の仲間にナルダロウ」
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マイ「艦これ」「みほ2ん」
第19話 <彷徨う艦> 改2
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深海棲艦(大井・仮)の言葉に、私は無性に腹が立ってきた。
寛代を抱きかかえながら私は叫んだ。
「違う!」
すると目の前に立ちはだかる『彼女』は、いったん銃を下げて続けた。
「ナニガチガウ? オ前タチコソ自分勝手デ自己中心デはナイカ?」
「……」
悔しいが私には、それ以上の反論が出来ない。ただでさえ無能な自分に追い討ちをかけられる思いだった。
私の思いを悟ったかのように彼女は続ける。
「オ前ダッテ、人類の矛盾ハ 感ジテいるハズダ」
「くっ」
悔しいが彼女の言うことは、もっともだ。
この戦争だって、たまたま深海棲艦が攻めて来ている。ただ、それだけで人類は防御のために、一つにまとまって見えるだけだ。実際には世界の対立は皆無ではない。国内ですら完全に一つになっているわけではない。
だからもし、この戦争が終結したら人類は必ず、お互いに新しい戦端を開くことになるだろう。
そいつは、銃を持ったまま腕を組んだ。
「ソノ小娘も、見テイロ。スグニ我々の仲間にナルダロウ」
「なに?」
私は寛代を見た。特に変わった様子は無い……ずっと動かないから。
だが冷たい目をしながら彼女は言った。
「我々と戦ッテ沈ンダ、オ前タチの艦娘ガ、ソノ後、ドウナッタか知ラナいダロウ」
「むっ」
そういえば、変な噂を聞いたことがある。
我々が敵と戦って沈んだ艦娘は、その後、夜な夜な再浮上して幽霊船となり当てもなく彷徨うと。その幽霊船が他でもない深海棲艦ではないか? ……ただ、それを裏付ける証拠も何もない。
「お前も幽霊船か?」
「……」
彼女は肯定も否定もせず黙っていた。
しかし目の前にいる、この深海棲艦だってその可能性が高いわけだ。まさか、とは思うが彼女の発言の端々に、かつて私が沈めた艦娘という可能性を感じざるを得ない。
では我々海軍は、結局こいつらと戦うほど新たな敵を作り続けることになるのか?
「まさか……海軍の存在自体が人類にとっての癌細胞なのか?」
寛代のことで動揺していた私は整理がつかずに思わず核心的な疑問が口をついて出た。この子も含めて人類のために戦う艦娘が犠牲になった結果が我々の敵になるのか?
改めて、そいつの言った言葉の意味を私は理解した。
「この子もいずれ?」
すると急に苦しくなった。
「それだけは……」
言葉が続かない。それは何とか阻止したい。だが……瀕死の寛代に今の私に果たして何が出来るだろうか?
私の苦悶を見透かすかのように深海棲艦は笑った。
「フッ苦シメ、悩め」
反論できない自分が歯がゆい。
しかし彼女の雰囲気が突然変わった。改めて見上げると深海棲艦は、いつも以上に険しい表情になっていた。
「ダガ、お前に残サレタ時間は、モウナイ」
そいて彼女は私たちに再び銃を向けた。相手に銃を向けられて改めて、私は自分が銃を放り出していたことに気づいた。
「バカめ。小娘ナド無視シテ私を狙エバ良カッタノだ」
「フン。お前如きに諭されたくない」
口先だけだが私は最後の抵抗をした。もちろん今さら降伏するつもりは無い。こいつだって私を助けるつもりは全く無い。
だから、せめて私を守ってくれた、この子と一緒に死のう。もし寛代が最終的に深海へ逝ってしまうとしても、それがせめてもの償いであり軍人としての誇りだ。
私は寛代を庇うように深海棲艦に背を向けた。軍人としては寛代を放り出して敵とと撃ち合い一矢報いるべきだったか?
「やっぱり、私は詰めが甘い」
思わず苦笑した。
だが無情な台詞が背後から響く。
「サラバダ」
「そうか、これで最期か」
私は再び寛代を抱き寄せると観念して目を閉じた。この子が居るからだろうか? 不思議と恐怖心は無かった。
『ここで死んだら寛代と一緒に靖国へ往けるだろうか? 日向や夕立は無事だろうか?』
そんなことを考えた。
だが突然、私の想いはガガガという激しい金属音に遮られた。それは深海棲艦の背後……あの戦車らしい兵器から聞えてきた。
「なに?」
機銃の音ではない、この音は……
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
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