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真田十勇士

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巻ノ九十 風魔小太郎その六

「それがし達は流罪の身」
「そして我等は隠遁の身」
「左様ですな」
「まさにのう、しかし」
「はい、実はです」
 強い声でだ、幸村は風魔に言った。
「それがし思うところがありまして」
「それは」
「おわかりだと思いますが」
「ふむ」
 確かな声を出してだ、風魔は。
 幸村のその目を見てだ、こう言った。
「そういうことか」
「おわかりですね」
「それではな」
「これより」
「案内到そう」
 風魔はまた言った。
「これよりな」
「そしてですな」
「そのうえでじゃ」
 まさにというのだ。
「じっくりと話をしよう」
「是非」
「これより」
「そうしてな」
「あらためてですな」
「修行としようぞ」
 こう話してだった、風魔は実際に幸村主従をある場所に歩いて案内した。その時に周りの声だけだった者達も姿を現した。
 そのうえでだった、彼等は箱根のさらに奥にある集落に着いた。その二十軒程の木の家がある集落に案内してだった。
 風魔は笑ってだ、幸村達に言った。
「ここがじゃあ」
「今の風魔殿のおられる場所ですか」
「そうじゃ」
 笑って言うのだった。
「ここがな」
「そうですか」
「そしてここにいてな」
「過ごされていますか」
「もうここから出るつもりはない」
 風魔は幸村に笑ってこうも言った。
「ずっとな」
「そうなのですか」
「北条様も今では我等を召抱えられrぬ様になった」
「だからですか」
「北条様以外にお仕えするつもりもない」
 それ故にというのだ。
「だからな」
「ここより出られず」
「死ぬつもりであったが」
「それがですか」
「思わぬ客人じゃな」
 幸村達を見てだ、風魔は笑って言った。
「全く、夢にも思わなかったわ」
「そうですか、やはり」
「うむ、しかしな」
「それでもですか」
「よく来られた」
 こうも言うのだった、幸村達に。
「ではな」
「はい、これよりお願い申す」
「わしの術でよければな」
「鎌之助に」
「是非共」
 由利も風魔に言ってきた。 
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