レーヴァティン
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第七話 炎の剣と氷の刃その八
「二人共よく抜ききった」
「こんなに苦労したのははじめてだぜ」
「俺もだ」
「ただ剣を抜くだけでもな」
「抜くものが違ったからだな」
「ここまで苦労したか」
「一生分の苦労をした感じだ」
見れば二人共全身からかなりの汗をかいていた、それで湯気まで出して肩で激しく息をしている程だった。
だがその二人にだ、白い法衣の神官は言った。
「だがそなた達は確かに抜いた」
「世界を救える力を持つ剣をだな」
「その力を持つ刀をだな」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
「これから為すべきことはわかっているな」
「まあな、正直この世界で生きることを考えててな」
久志は神官に本音を話した。
「剣を抜いたのは興味本意だったんだよ」
「他の世界から来た者が抜けると聞いてか」
「ああ、それでそれならって思ってな」
「抜きに来たか」
「それで実際に抜けたってことでな」
「深い考えはなかったか」
「ああ、それこそな」
久志は自分の考えを包み隠さずだ、白い法衣の神官に話した。
「なかったぜ」
「俺もだ、抜くとは思っていたが」
「そなたもか」
「深い考えはなかった、むしろだ」
英雄は神官にこう話した。
「この世界で生きることをだ」
「そちらのことをか」
「考えていた」
「そうか、来たばかりだからだな」
「正直右も左もわからない」
このことは現在進行形だというのだ。
「まだな、だから抜けると思っていたが」
「世界を救うまではか」
「考えていなかった」
そうだったとだ、英雄もまた真実を話した。
「全くな、しかしだ」
「それでもだな」
「抜いたからにはだ」
「やってくれるか」
「これも縁だ、だがこれから具体的にどうするかはだ」
それはというと。
「とりあえず東の島に渡るつもりだが」
「そこから先はか」
「一切考えていない」
「俺はこっちの島に残るけれどな」
久志も神官に自らの考えを話した。
「それでもな」
「具体的にはどうするかはか」
「正直決めてないぜ」
「そうなのか」
「とりあえずこの世界のことを知りたくてな」
あらためてだ、神官達に言った。
「この神殿で情報収集をしていいか?」
「何故この神殿だ」
「この神殿は見識のある神官さんと本が一杯あるだろ」
「だからだ」
英雄も言った。
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