ドリトル先生と悩める画家
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第三幕その九
「いいからね」
「ではお言葉に甘えまして」
「それが君のスランプを出るきっかけになれば」
「そう思われてですか」
「うん、いいよ」
「では若しかしたら」
こう返した太田さんでした。
「宜しくお願いします」
「それではね」
「はい、またお会いするかお邪魔した時は」
「宜しくね」
「そうさせて頂きます」
こう先生に言ってでした、そのうえで。
先生は太田さんにまたと言ってです、動物の皆と研究室に向かいました。そして太田さんは絵を描き続けるのでした。
先生は研究室に入ってまずは紅茶、一番よく飲む紅茶であるミルクティーを飲みました。その先生にです。
動物の皆は考えるお顔で、です。こう言いました。
「何か思ったよりもね」
「普通の人だったね」
「応対とかが」
「礼儀正しかったり」
「芸術家さんって独特な人が多いっていうけれどね」
「ごく普通の感じだったね」
「何かね」
ここで、です。ガブガブが言いました。
「絵は独特だったけれどご自身は普通だったわね」
「芸術家さんは変わった人が多いっていうのは」
チーチーも言います。
「ただそう言われてるだけかな」
「音楽家なんか凄いっていうね」
トートーがお話に出す人はといいますと。
「ベートーベンさんとかモーツァルトさんとか」
「画家だと確かゴッホさんもね」
太田さんが影響を受けたこの画家さんをです、ジップはお話に出しました。
「凄い個性的な人だったんだよね」
「けれど太田さんは違っていたわね」
ポリネシアはあらためて太田さんのことを考えました。
「普通の人だったわね」
「いや、格闘している感じだったからね」
「絵とね」
チープサイドの家族は太田さんが描いているその時を思い出しました。
「必死にね」
「そんな風だったから」
「やっぱり個性的な人かって思ったら」
老馬も太田さんの物腰を思い出しています。
「紳士って言ってもよかったね」
「着ていたエプロンはかなり汚れていたけれど」
上着もです、ホワイティはそのことが気になっていました。
「それでも着ている服も髪型とかも清潔で」
「少しぼさぼさした髪型だったけれど」
ジップが言うことはといいますと。
「毎日お風呂に入っている感じで匂いもしなくてお髭もちゃんと剃ってて」
「本当の普通の人だったね」
「そうだったね」
オシツオサレツの言葉は太鼓判を押した感じでした、どちらの頭も同じ考えです。
「至って」
「むしろ先生よりもかな」
「考えてみれば先生もかなり個性的な人だしね」
最後のダブダブは先生のことに言及しました。
「穏やかで公平な紳士でも」
「うんうん、僕達とお話出来るだけじゃなくて」
「家事とかスポーツとか全く駄目で」
「世の中のことにはかなり疎いところあるしね」
「学問は出来てもね」
「何かとね」
「個性的だよね」
他の皆もダブダブのその言葉に頷きます。
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