恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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142部分:第十三話 曹操、袁紹と官渡で会うのことその四
第十三話 曹操、袁紹と官渡で会うのことその四
「話を聞く限りでは」
「そうなのですか」
「わたくしも華琳も所詮妾の子、そして宦官の孫」
「そのことは」
「事実ですわ。それでわたくし達は常に除け者でしたし」
幼い頃の記憶である。そのことに対する劣等感が今も彼女達の心の中にあるのだ。このことを忘れることは決してないのだった。
「それと比べたらその司馬仲達という者は」
「恵まれていますよね」
「確かに」
「ええ。本当にいけ好かない」
袁紹は顔良と文醜にも言う。
「大将軍も御自身の出自を気にされておられるというのに」
「元々は肉屋の娘でしたね、あの方は」
「それが妹君が宮廷に入られて皇后になられて」
「その通りですわ。それが今ですわ」
こう田豊と沮授にも答えるのだった。
「そうした方ですかわわたくし達を取り立てても下さいましたけれど」
「ですが袁術様も重用されていますし」
審配はこのことも話した。
「それを考えれば」
「人材は有能であればいいということなのですわね」
袁紹は忌々しく思いながらもこう話した。
「つまりは」
「そういうことではないでしょうか」
「もっとも袁術様はまだ幼い方ですが」
「あの方は嫡流ですし」
「美羽のことはいいですわ」
袁紹は彼女の話はそれでいいというのだった。
「それよりも。華琳ですけれど」
「はい、会談ですね」
「烏丸討伐に関して」
「その打ち合わせが大事でしてよ」
自分でそちらに話をやるのだった。気に入らない人物の話ばかりをしてそれで気が暗いものになったからである。だから変えたのである。
そんな話をしているうちにお互いに官渡に着いた。そうして会談となるのだった。
曹操と袁紹はお互いの顔を見ていた。双方馬上のままで見合っていた。
「久し振りね、麗羽」
「そうね、華琳」
まずは微笑みを交あわせる。
「元気そうで何よりだわ」
「貴女の方こそね」
「さて、それでだけれど」
ここであらためて話す曹操だった。
「烏丸が騒がしくなってきたそうね」
「ええ。そのことですけれど」
「私からも兵を出すわ」
曹操はこう言った。
「左軍を受け持つわ」
「ではわたくしの軍が右軍ですわね」
「何進様も来られるわ。直々の出征だから」
「わたくしだけでも充分ですのね」
「そう思うけれどね。それでも今回はこう決まったわ」
お互い都のことは知っていた。だがそれあえて言わずにだ。こう話をするのだった。
「だからね」
「わかっていますわ。ではそういうことで決まりですわね」
「そうね。会談するまでもなかったけれど」
「そうですわね。とはいいましても」
ここでだった。袁紹は微笑んでみせた。そのうえで曹操に対して言うのだった。
「どうも妙な気配がしますわね」
「そうね。春蘭」
「はい」
まずは夏侯惇に声をかけた。
「いいわね」
「わかっています。季衣」
「わかってますよ、春蘭様」
ここで許緒も出て来た。
「悪い奴等が周りに一杯いますね」
「貴女の関係者かしら」
「生憎思い当たる節は随分とありますけれど」
袁紹は今は顔は笑っているが目は笑っていなかった。
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