恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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141部分:第十三話 曹操、袁紹と官渡で会うのことその三
第十三話 曹操、袁紹と官渡で会うのことその三
「それが加わったの」
「はい、どうやら」
「側近、ね」
「司馬仲達という者だそうです」
「司馬仲達!?」
「仲達は字でして」
荀彧はこう曹操に話していく。
「司馬懿というのが名前です」
「司馬懿!?」
「御存知ですか?」
「司馬氏のことは知っているわ」
こう荀彧に答える。
「一応はね」
「そうですか」
「代々名門の家よ。高官も多く出しているわね」
「あっ、そういえばその名も」
「聞いたことがあります」
ここで曹仁と曹洪も言った。
「都で代々高官を出している」
「その家ですよね」
「そうよ。しかも清流派の人間でおまけに嫡流でね」
ここで曹操の目が曇った。
「宦官の孫の私や妾腹の麗羽とは全く違うわ」
「それにかなりの切れ者だそうですね」
荀彧はこのことも言った。
「それで今は大将軍の第一の側近になられているそうです」
「それまでは私と麗羽が両腕ではなかったのかしら」
実は曹操も袁紹も何進の派閥にいるのである。彼女にとって二人は頼りになる存在だった。それは軍事的な意味におけるところが大きい。
「それでその人物も入れたのね」
「頭脳でしょうか」
荀彧がここでまた言った。
「参謀として入れられたのでしょうか」
「そして名代にもなる。そうした人材でしょうね」
「だとすれば宦官達とも渡り合える」
「あの十常侍達とも」
「だとすればかなりの人間ね。ただ」
曹仁と曹洪に応えながら話す。
「何か不吉なものも感じるわね」
「不吉なものをですか」
「それを」
「ええ、何か感じるわね」
顔を曇らせながらの言葉だった。
「私の取り越し苦労ならいいけれど」
「そうですか」
「その人物に対して」
「少し調べておきたいわね」
また言う曹操だった。
「桂花、都の内情を探る時に一緒に御願いするわね」
「はい、わかりました」
荀彧はすぐに頷いた。そんな話をしながら彼女達も官渡に向かう。
そして袁紹達もだ。黄河を渡ってだ。そのうえで今官渡に向かっていた。
田豊や顔良の四人の他に審配もいた。その彼女が馬上の袁紹に話していた。
「その司馬仲達という者はです」
「司馬氏についてはわたくしも知っていますわ」
少しむっとした顔で言う袁紹だった。
「あれですわね。宮廷で代々高官を出している名門の」
「はい、そうです」
「そして清流派でしかも嫡流で」
言っていることは曹操と同じだった。
「わたくしや華琳とは全く違いますわね。しかも才気煥発だとか」
「大将軍の御前に出てすぐにその弁を認められまして」
こう主に話す審配だった。
「そして今やその参謀であり名代です」
「その人材がいるからこそ大将軍も都を離れられるようになったというのですね」
「どうやら」
「事情はわかりましたわ。ただ」
「ただ?」
「どうにも好きになれませんわね」
袁紹もまたその顔を曇らせていた。
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