恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
134部分:第十二話 劉備、先祖伝来の宝剣を手放すのことその七
第十二話 劉備、先祖伝来の宝剣を手放すのことその七
「どうしたらいいのか」
「お金が必要なんですか」
劉備はその男の言葉を聞いているうちに同情を覚えてだ。そうして言うのだった。
「それでしたら」
「それでしたら?」
「これをどうぞ」
こう言ってその宝剣を差し出したのだった。
「これを売ってお金の足しにして下さい」
「宜しいのですか?」
「はい、どうぞ」
本気で心配する顔での言葉だった。
「これを」
「いいのですか」
「私は構いません」
また言う劉備だった。
「ですから貴方が。どうか」
「有り難うございます」
男は差し出してきたその剣を受け取って恭しく述べた。
「それではこれで」
「はい、貴方が助かって下さい」
「すいません、本当に」
こう言って一礼してだった。彼はそのまま何処かに姿を消した。そしてその彼と入れ替わりになる形で三人が戻って来たのだった。それぞれの手には地図がある。
「あれっ、劉備さん」
「誰と話してたんや?」
ユリとロバートが彼女に問う。
「何かあったみたいだけれど」
「どないしたんや?」
「はい、実はですね」
天真爛漫そのもので今あったことを三人に話す。三人は彼女の話を聞き終えるとだった。苦い顔になってそうして言うのであった。
「おい、それはな」
「絶対に嘘やで」
「そうよ、怪し過ぎるわよ」
三人は呆れ果てた顔にもなっていた。
「どう考えてもな」
「それ詐欺師か何かやから」
「劉備さんのその剣を見て言ったのよ」
「そうなんですか?」
だが知らぬは当人ばかりあった。きょとんとした顔で返しもしている。
「あの人は」
「ああ、間違いない」
「確実やな」
「よくそんな人に騙されたわね」
こう口々に言うのだった。
「それでどうするんだ?」
「困るやろ」
「困ることは困りますけれど」
劉備の言葉は呑気なままだった。
「けれど大丈夫です」
「どうしてなの?」
「刀も持ってますし」
言いながらその豊かな胸から短刀を出してきた。丁度袖の中にあったのだ。
「護身用ですけれど」
「いや、あれは先祖伝来なんだろう?」
「それでもええんか?」
「はい、大丈夫だと思います」
劉備の言葉は変わらない。
「何とかなります」
「だといいんだがな」
「そうなるかしら」
「それでなんですけれど」
リョウ達の方が心配していた。劉備はその彼等に自分から言ってきた。
「これからですけれど」
「ああ、これから」
「どないするかやな」
「皆さんはどうされるんですか?」
こう三人に問うのだった。
ページ上へ戻る