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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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124部分:第十一話 孔明、世に出るのことその十


第十一話 孔明、世に出るのことその十

「それでもなのだ。薬草は手に入れてみせるのだ」
「頑張ってね」
「頑張るのだ。しかし蒲公英」
 張飛から馬岱に顔を向けての言葉だ。
「何で鈴々についてきているのだ?」
 このことを問うのであった。
「それはどうしてなのだ?」
「だって面白そうだから」
 無邪気な笑顔での返答だった。
「鈴々ちゃんと一緒にいたらね」
「鈴々は面白いのだ?」
「とてもね」
 笑顔は無邪気なままである。
「悪いことしないし」
「鈴々は卑怯なことはしないのだ」
 このことは眉をしかめさせながらはっきりと言った。
「けれど薬草は絶対に手に入れるのだ」
「わかったよ。それじゃあね」
「行くのだ」
 こうしてであった。孔明を追う。その時にだ。
「きゃっ」
「あっ、こけたよ」
「うん、こけたのだ」
 張飛は馬岱の言葉に応えた。孔明は進みながらこけてしまったのだ。
 それを見てだ。二人は言い合う。
「何もないところでこけたのだ」
「運動神経は鈍いみたいなのね」
「鈴々とは大違いなのだ」
 こう言って笑いもしている。
「よくそんなので薬草を手に入れようというものなのだ」
「けれどさ」
 ここで馬岱はまた言ってきた。
ここに来るまでの箸だけれど」
「どうしたのだ?」
「ここに来るまでの橋だけれど」
「あのボロボロの橋なのだ」
「そう、あのあちこち壊れてる橋ね」
 二人はその橋の話をはじめた。
「私達も通るのに用心したじゃない」
「それはその通りなのだ」
「けれどあの娘一人で通ってたよ」
「一人で。そういえばなのだ」
「確かに運動神経はないけれど勇気はあるみたいだよ」
 馬岱はそう見ていた。
「それもかなりね」
「それがどうしたのだ?」
「性格はいいみたいだね」 
 馬岱はそれを見ていた。
「それはどうかな」
「そんなことは知らないのだ」
 それを言われて余計不機嫌になる張飛だった。
「あいつがいい奴でも悪い奴でも鈴々はサロンパ草を手に入れるのだ」
「それはいいけれどね。あっ」
 馬岱は今度は前に岩山を見た。白い石の聳え立つ様な岩山である。その上の方に白い花が見える。
「あれよね」
「あれが花なのだ?」
「多分ね。そうだと思うよ」
 こう話すのだった。
「それじゃあ手に入れに行く?」
「行きたいけれど行けないのだ」
 張飛は不機嫌な顔で答えた。今も木の陰に隠れて様子を見ている。
「あいつに見つかってしまうのだ」
「それはまずいんだね」
「こっそりと近寄って抜け駆けするのだ。それに」
「それに?」
「あいつにあの薬草を手に入れることはできないのだ」
 そう見ているのだった。
「あんな鈍い奴にあんな山を登れる筈がないのだ」
「そうだね。けれどさ」
「けれど?」
「危ないよ、あの娘」
 馬岱は少し心配する目で見ていた。
 
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