FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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狙いが見える
前書き
FAIRYTAIL残り二巻で終了してしまうようですね。
最近マガジンで読んでた漫画が次々に完結して悲しい限りです。
そろそろ弱ペダ熱でも戻ってくるかな?マガジン関係ないけど。
「なんとかできるかもって・・・どういうこと?」
深呼吸を数回行い、冷静になったところでソフィアにその理由を聞いてみる。
「へへ、な・い・しょ♥」
「ウッザ!!」
可愛らしくウインクしてくるけど、そんなものは求めていない。見た目はいいから目を奪われそうになったけど、ほしいのは回答であってウインクなんか求めていない。
「あ!!わかった!!」
何としてでもソフィアの口を割らせようと考えていると、彼女と同じギルドに所属するミリアーナさんがポンッと手を叩く。
「ソフィア、相手が女の子って聞いたから、セクハラしたいだけでしょ!?」
「えへへ♪それもある」
それを聞いた瞬間全員がため息を漏らした。誰も敵がいないのをいいことに、いつも通りのことをしたかっただけか。
「考えてみれば想像できるな」
「狙いが見える」
ミリアーナさんの意見を聞いて全員が納得し始める。でも、そんな下心だけで戦わせるのは危険じゃないだろうか?操られて即行倒されそうだけど。
「まぁまぁ、それもあるって言ったじゃん」
「「「「「??」」」」」
騒がしくなってきたのをソフィアが落ち着かせる。それもあるって・・・他にどれがあるんだよ。
「ちゃんと、その魔法を回避する策もあるんだよ。ねぇ、カグラさん」
「あ・・・あぁ」
突然話題を振られたカグラさんは、びっくりしながらも静かにうなずく。
「確かに大丈夫だろうが・・・いいのか?お前は」
「ダイジョブ!!」
肯定した後、心配そうな表情で確認するカグラさん。それに対しソフィアはまんべんの笑みで答えてみせる。
「何か考えがあるなら、任せてみるか」
自分の欲望のためなら断るところだったけど、それだけじゃないならと容認することにしたリオンさん。カグラさんも秘策を知ってるってことは、信じていいんだよね?
「僕はみんなをやったホッパーとやらせてもらいたい」
続いて名乗りを挙げたのは、仲間たちをやられたヒビキさん。ホッパーは考えられる限り、かなり読みが深いようだし、頭脳派のヒビキさんなら相性がいいかもしれない。
「なら私は魔法を無力化する男を相手しよう」
カグラさんの剣の腕前があれば魔法なんか必要・・・そもそもカグラさんって戦う時魔法使うことほとんどないよね?あの重力変化の魔法くらい?
「だったら私はバランスを操るって女!!拘束しちゃえば関係ないもんね!!」
ミリアーナさんのネ拘束チューブは縛った相手の魔法を封じる効果があるらしい。それなら先手を取ることができれば、どんな相手にも通用するはずだね。
「俺は火の造形魔導士をやろう」
「え?でも火って・・・」
同じ造形魔導士として、炎の造形魔導士を相手するというリオンさん。でも、彼の魔法は氷だからそれは危険すぎるんじゃ・・・
「造形魔法は自由の魔法だ。相性など、発想で何とでもしてやる」
無駄にカッコいいリオンさんに思わずオオッ、と思ってしまう。こういう時に頼りになりそうだよな、たまに変な方向に走るけど。
「俺は女剣士を担当する」
「嫁を剥いた?」
「それは関係ない!!」
緊張感のカケラもないローグさんとグラシアンさんの会話。だけど、一度手合わせしているだけに、これはこれでいい戦いができるかも。
「なら俺はあの一本指だな」
残っている指一本で地面を破壊する男はスティングさんが担当することとなった。これで全員の役割が決まった。けど、そこから先も問題だよな。
「作戦はどうする?」
それぞれの相手の対策はどうするべきなのか、それも重要度は非常に高い。ただ戦う相手を決めるだけでは、無意味になってしまう可能性が高いからだ。
「対策はそれぞれで考えた方がいいだろう。その上で困ったら、相談なりなんなりした方がいい」
ソフィアのようにすでに作戦があるものもいるし、各個人に任せることにした今回の作戦。そのため、ここからはそれぞれ部屋を後にして自由な時間へと入る。
「シリル、念のため体の方も見ておくよ」
「お願い、ウェンディ」
治療はしたけど、重傷患者が多く応急処置程度のことしかしていない。なので、解散した俺とウェンディは医務室へと向かうことにした。
「ここは?」
「痛くないよ」
目に見える傷はあらかじめ治してもらっていたので、性別を変えられたことで調子が悪い箇所がないかの確認へと移行している俺たち。今のところは痛いところも動かない場所もないし、問題はない・・・かな?
「災難だったね、シリル」
「本当だよ・・・」
付いてきてくれたシェリアから心配され、ガッカリと肩を落とす。これ、いつになったら元に戻るのかな?
「でも、敵のアジトは森の中にあったんだよね?」
「ここまで来たら範囲外になると思うんだけど・・・」
魔法には使用範囲に限りがある。いくら狙い撃ちしたい人物がいても、その人が魔法の使用範囲にいなかったら攻撃することはできない。同時に、その使用範囲から離れてしまえば魔法の効果はなくなり、元に戻るはずなんだけど・・・
「もしかしてこの魔法・・・半永続系の魔法?」
「「半永続系??」」
シェリアから聞いたことがない魔法の名称を挙げられ首をかしげる。そんな俺たちに、彼女はわかりやすく説明する。
「半永続系の魔法はね、かけた相手をずっとその状態にすることができるの。例え術者が死んだりしても」
「「えぇ!?」」
それを聞いて絶望する。敵が死んでも元に戻らないって・・・一生このままってこと?
「半永続系の魔法を解くには、術者自身にそれを解除させるしかないの」
「そうなんだ」
元に戻れる可能性が出てきただけで非常に嬉しい。それに、俺をこうした女魔導士を相手するのはミリアーナさんだ。彼女の魔法は拘束系だから、捕まえるのは容易いことだろう。
「あたしはこのままでも全然いいと思うけど」
「俺が良くないの!!」
後ろに回り込み髪をいじり始めているシェリアの手を払いながら怒鳴り付ける。何がなんでも元に戻ってやるから!!
「でも今一番気になるのはソフィアじゃない?」
「それは言えてる」
話題は変わり、先程の作戦会議のことに移っていく。皆さん思い思いの相手を選んでいたが、その中でもっとも気になるのはソフィアだろう。グラシアンさんはあえて触れないだけかもしれないが・・・
「ソフィアならなんとかできるって・・・どういうことかな?」
当初はただセクハラしたいだけかと思っていたけど、カグラさんのあの反応から考えても何か対策があるのは間違いないけど・・・
「なんでカグラさんもその策のことを知ってるんだ?」
相手の能力のことを聞いてから、二人が話をしていた気配はない。そもそも彼女たちは離れた場所にいたわけだし、示し合わせるチャンスがあったとは到底思えないんだが。
「前に似たような相手と戦ったことがあるとかじゃないの?」
「そうかなぁ」
シェリアの意見もありえそうな気はするけど、それなら相手決めの時に即決していただろうし、隠す理由もわからない。
「私、聞きに行ってみようかな?」
気になってきたところでウェンディからそんな提案が飛び出す。
「俺も行く!!」
「待って!!」
ウェンディの提案に乗っかろうと思ったところで、シェリアに肩を掴まられる。
「ソフィアが言い出さないなら、一人だけで聞きに行った方が・・・」
「一応気になってはいるのね」
全力で止めに来るのかと思っていたが、彼女も気にはなっているようでウェンディに任せるようにと言ってくる。俺も気になるから、行きたかったけどなぁ・・・
「ソフィアから許可もらったら教えるから」
「絶対許可取ってよ!!」
ちゃんと相手の了承を得てからという辺りがウェンディらしい。でも彼女だけ聞いて俺たちは教えてもらえなかったなんてなったら、気になって夜も眠れなくなってしまう。
「じゃ、行ってくるね」
「「行ってらっしゃ~い」」
手を振りながら部屋を飛び出すウェンディ。一体ソフィアの作戦って何なのかな?早く知りたい~。
第三者side
それぞれ誰を相手にするか決め、ひとまず解散した面々。その中には、険しい表情を浮かべている者も多く見受けられた。
「・・・」
中でも一際難しい顔をしているのは、かつての仲間を相手にすることとなったこの男。彼は現在三大竜と称される友たちの後ろで、首を捻っていた。
「大丈夫か?」
「今さら後悔してるのか?」
今は敵同士であるが、かつては仲間だった女性を相手することに躊躇いがあると勘違いされているらしく、スティングとローグから心配される。
「そんなんじゃねぇよ」
「じゃあ何を悩んでいる」
答えにくいことなのか、しばし考えた後、二人にならと意を決して話し始める。
「なんであいつがここにいるか、が問題なんだ」
「??どういうことだ?」
言っている言葉の意味がわからず質問し返す。彼は自身の考えていることを話す。
「あいつはまだ服役中のはずなんだよ。あと二、三年残ってたんじゃねぇかな?」
彼がかつて所属していた盗賊団は、グラシアン自身の手で摘発された。その際、彼以外の仲間たちは長い刑期を言い渡され、牢屋の中へと捕らえられていたのだ。
「脱獄したってことか?」
「かもな」
作戦会議の際に言った通り、イザベリーと呼ばれた女は魔法を使用しない。なので逃げようとすれば逃げることもできるのだが・・・
「そんなこと、考えたって意味ないだろ」
「そりゃそうなんだが・・・」
冷酷なまでに割り切っているローグだが、それくらいの考えでいないと戦うことができないのも事実。しかし、グラシアンは難しい顔をしたままだ。
「深く考え過ぎるなよ。今日はゆっくり休んでおけ」
「あぁ・・・」
それぞれ準備されていた部屋の前へとやって来たところで、軽く言葉を交わし部屋の中へと入っていく。
「そもそも、なんで国王暗殺なんか企ててるんだ?」
様々な疑問が飛び交う中、頭の中にふと湧いてきた疑問。それによって何が成されるのか、彼には理解ができない。
「捕まってた恨みか?いや、それなら評議院に・・・」
彼女たちを捕らえたのは国王ではなく評議院。もし脱獄して恨みを晴らしたいのであれば、そちらを狙うのが筋である。
「あぁ~!!」
結局考えても思い付くはずもなく、苛立って大声を上げた後ベッドへと倒れ込む。その後しばらく目を閉じていた後、空気を入れ換えようと窓に歩いていく。
「!!」
カーテンを開けて窓に手をかけたその時、あるものを見つけて一瞬固まる。その後しばらく立ち尽くしていたかと思うと、慌てたように部屋から飛び出す。
「どうした?グラシアン」
「ちょっと出てくる!!」
部屋に入ろうとしていたところだったリオンが、血相を変えて飛び出してきたグラシアンを心配するが、彼はそれに適当に返答して廊下を駆けていく。
「なんだ?騒がしい」
「どうかしたのかい?」
バタバタと騒がしい足音が聞こえ、すでに眠りにつこうとしていたであろうローグとヒビキが顔を覗かせる。それに対しリオンは、首を傾げてみせるしかなかった。
コンコンッ
「開いてるよ~」
その頃、藍髪の少女はある部屋を訪れていた。彼女はノックをすると、中からの声を確認してから扉を開く。
「ソフィア?」
「わぁ!!ウェンディ!!」
飛んで火に入る夏の虫とでも言いたげに飛びかかるソフィア。だが、ウェンディは修行で鍛えた成果なのか、あっさりと回避してみせる。
「ソフィアに質問があるんだけど」
「お尻揉ませてくれたら答えるよ」
ワシワシと手を動かしているソフィアだが、ウェンディの真剣な表情を見てふざけるのをやめる。すると、天空の巫女はあるものに目がいった。
「あれ?何、それ」
自分に抱き付いてきた少女の手に握られていた一枚の写真。それに気が付いたソフィアは、自慢げに彼女に見せてくる。
「ソフィアの一番の宝物なんだ」
「へぇ」
宝物と言われて食い入るように見るウェンディ。だが、その直後彼女は大きく目を見開くほどに衝撃を受けたのだった。
タッタッタッタッタッ
王国兵たちの間を通り過ぎて城から出ていくグラシアン。彼はメルクリアスの敷地から出ていくと、あるものを見つけた方へと駆けていく。
「グラン」
「!!」
まもなく目的地へと到着しようとしたその時、隣の草むらから聞き覚えのある声が聞こえそちらを向く。
「久しぶりだな、ベリー」
「うん。ホント、久しぶりだね」
そこにいたのは、敵となったかつての仲間、イザベリーだった。
後書き
いかがだったでしょうか。
今回はちょっと短めになりましたね。てか最近ずっと短いけど(笑)
次はグラシアンとイザベリーの過去をちょっとやろうかと思ってます。需要あるのかな?
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