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TATOO

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第三章

 溜息をつくのも止めて。諦めた笑顔を浮かべて。
「じゃあ今はね」
「今は?」
「今はっていうと?」
「お酒にするわ」
 飲むことに専念することにした。そして実際に。
 この店では飲むことに専念した。それから。
 友達と別れて一人で街を歩くことにした。夜の街を。
 その時にだ。彼女達に心配する顔で問われた。
「夜は危ないけれど」
「それでもなの」
「そうして一人で遊ぶのね」
「相手を探す為にも」
「見つからなくてもね」
 半分以上諦めていた。それでもだった。
「それでもちょっと遊んでみるわ」
「わかったわ。じゃあ悪い奴には気をつけてね」
「変な奴にはね」
「わかってるわよ。危険な相手には会いたいけれど」
 それでもだと。私は皆に返して述べた。
「変なのはお断りだから」
「それじゃあくれぐれもね」
「気をつけてね」
 私にこう言ってだった。彼女達は今は私と別れてそれぞれの家に帰った。それからだった。
 私は別の店に入ってそこで飲むことにした。その中でだ。
 男が三人来た。私より若い髪を茶色や赤にしてあちこちにピアスのある、自分達では奇抜なつもりでも実はありきたりの格好の子達が私の席に着てだった。
 完全に欲望丸出しの顔で私に言って来た。
「お姉さん、よかったらさ」
「俺達と一緒に飲まない?」
「そうしない?」
「私とね」
 その彼女達の話を聞いて私は。
 一呼吸置いてからだ。こう彼等に尋ね返した。
「それだけかしら」
「あっ、まあそれはさ」
「何ていうかさ」
「その」
「別にいいわよ」
 そのした心を見透かして言い返した。くすりと笑ってから。
「それもね」
「えっ、マジかよ」
「飲むだけじゃないってのかよ」
「おいおい、このお姉さん凄いよ」
「ただしね」
 私の言葉にさらに下心を見せる彼等に。私はさらに言った。
「これから飲み比べをしてね」
「それからか」
「それで俺達が勝ったら」
「ええ、何処にでも行くわ」
 こう応えてだった。私は。
 この子達と飲んだ。やっぱり子供だった。
 威勢よく挑んできた割にはお酒に弱くて。あっという間だった。
 三人共酔い潰れて。忌々しげに呟くだけだった。
「お、お姉さん強過ぎるよ」
「俺達もう駄目だよ」
「もう限界、だから」
「飲み代は出すよ」
 テーブルの上にうっ伏しながら私に言ってきた。私の手にはまだカクテルがある。ウォッカのカクテルを飲んでいる。
 そのカクテルを手にしながら。私は子供達に言った。
「飲み代位なら出せるけれど?」
「いや、それは出すからさ」
「俺達負けたんだし」
「だからそれは出すよ」
 意外とだ。そうしたところは真面目だった。
 それでだった。私のオーダーを受け取ってふらふらの足で逃げ去っていく。その彼等を見送ってから。
 私はそのウォッカのカクテルを飲んでそれからだった。
 席を立とうとする。けれどそこにだった。
 私にだ。また声をかけてきた人がいた。今度は。
「いいかしら」
「何かしら」
 声は大人の女の声だった。そちらに振り向くと。
 黒いスーツにズボン、それに白いブラウスに紅いネクタイ、それだけを見れば男に見える。 
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