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最高の妙薬

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第二章

「僕にしても」
「しかしだね」
「こうして話しているだけでもね」
「辛いね」
「訳もなく気分が落ち込んでいるからね」
「困ったことだね」
「タスカー独特の気分だよ」
 その中に陥っているというのだ。
「全く以て」
「やれやれだね」
「何もすることがない、したくないから」
「寝るかい?」
「いや、飲むよ」
 イヴァンはこれをすることを選んだ。
「ウォッカをね」
「ははは、そちらにするんだね」
「うん、ウォッカを飲んで」
 そうしてというのだ。
「それで寝るよ」
「そうしてだね」
「明日までにどうにかなっていることを願うよ」 
 タスカーが消えていることをというのだ。
「そうしながら飲むよ」
「そうするんだね」
「うん、飲むことは出来るから」
 タスカーのその中でもというのだ。
「今日は飲むよ」
「じゃあ僕も飲もうか」
 イヴァンがそう言うのならとだ、アレクセイも言った。
「今から」
「大学は?」
「そう言う君は休んでいるね」
「行く気が全くしないよ」
 そちらにも気が向かないというのだ、まるでロシア文学の登場人物達が悩んだり沈んだ気持ちになっている時の様に。
「だからこうしているんだよ」
「そうだね、僕もそうなったよ」
「タスカーに罹ったのかい?」
「いや、飲みたくなったんだ」
 イヴァンに笑って告げてだ、そして。
 アレクセイはキッチンにあったウォッカのボトルを持ってきた、三本ある。そしてグラスと肴のチーズや干し肉もだ。イヴァンが今いる安楽椅子の傍にあるテーブルの上に置いた。
 そういったものを持って来てだ、イヴァンにあらためて言った。
「じゃあ飲もう」
「今からだね」
「好きなだけ。足りないならどんどん飲めばいい」
「今日は飲んでか」
「過ごすといいさ」
「タスカーになっても」
「飲めるなら飲めばいい」
 こうイヴァンに言ってだ、アレクセイは自分の為の椅子を持って来てイヴァンの向かい側に座った。そのうえで二つのコップにウォッカを入れてから言った。
「じゃあ飲もう」
「今からだね」
「うん、そうしようか」
「それじゃあね」
 イヴァンはアレクセイが入れてくれたそのウォッカを手に取ってだ、飲みはじめた。そうしつつ言うのだった。
「飲もうか」
「一緒にね」
「しかし」
「しかし?」
「君一人で飲みたいならね」 
 その時はというのだ。 
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