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歌集「春雪花」

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 長々し

  夜も淋しきし

   寝待月

 かたぶく空の

    白みけるかな



 どこまでも続く闇…いつまでも照さぬ月に、夜がとても長く感じてしまう…。

 彼を想い…ただ堪えて…もはや会うことさえ叶わぬのかも知れない…。

 そんな虚しさの中、やっと顔見せる寝待月…。

 しかし…月が山影へと傾く頃には夜が明けようとする…。

 私の心なぞ知らぬと言う風に…。


 私の想いなぞ届かぬと言う風に…。



 歌いたる

  どこゆく鳥ぞ

   楽しげに

 羽なきわれそ

    眺むばかりに



 春の麗らかな陽気に、あちこちから鳥の囀ずりが聞こえてくる…。

 どこへ行くのか…様々な鳥がさも楽しげに、戯れながら飛んで行く…。

 私にはそんな羽はない…ただただ、飛び去る鳥を眺めているだけ…。


 あぁ…あんなに自由だったなら、私は彼の所へすら行けるだろうか…。


 いや…きっと行き着くことさえ儘ならず、地へと落ちるに違いない…。



 
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