FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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かつての仲間も・・・
前書き
最近ラブライブの野球小説にハマってしまいこっちの文が進まない・・・もういっそ俺もそれらしいもの書いてみようかなとか開き直ってきているんだよね(笑)
でもこっちも進めたいから迷いどころで困ってます・・・
「レオンが・・・堕ちた・・・?」
信じられないような出来事に我が目を疑う。だが、何度目を擦ろうとも答えは変わらない。そこに確かに、敗北し、意識を失っているレオンがいる。
「四人で戦ってた割りにずいぶん傷だらけね」
「仕方ないだろ、こいつはホッパー様にも匹敵する実力者だぞ」
後ろでは二人、目の前には一人、そして今俺は体の自由を完全に支配されている。それがどれだけのことなのか、火を見るよりも明らかだった。
「ねぇ、エミ。この子女の子にしてくれない?」
「??なんで?」
こちらが呆然としていると、エーメは引きずっているレオンを前にいる女性に投げるように差し出す。ただ、彼女も受け止めることはしなかったため、彼はただ地面に叩き付けられただけだった。
「ちょっとやりたいことがあってね」
「根に持つタイプなのね」
以前少年にやられたことを、動けなくなっている彼を使ってやり返したいと考えているポニーテールの女性。だが、その前にとショートヘアの女性はこちらを振り向く。
「まずはあの子で遊ばせてほしいな」
「あれ?あの子って・・・」
リベンジを果たした達成感からか、俺の存在など気付いてもいなかったエーメは、話題を振られたことでようやく気付き、小さく笑みを浮かべる。
「ねぇ、私にやらせてよ」
「あいつにも何かされたのか?」
「いや、あれは大したことなかったから」
カチーンって来たけど、動けないから何もできないので表情には出さないでおこう。状況が悪い時は、静かにしているに限る。
「お前の前で見せてやろうと思っていたが、まぁいいだろう」
「ありがと」
許可を得たことで彼女は俺の目の前へと歩を進めてくる。金縛り状態の俺は、その姿を見ていることしかできない。
「可愛くなっちゃって、みんな大喜びでしょうね」
「そうですか」
頬を掴みプニプニと触った後、一歩後退して剣を構える。それを見て、何をされるのかわかったけど、どうすることもできない。
「大丈夫、一枚ずつにしてあげるから!!」
そう言って力強く剣を振るう女性。その直後、俺の着ていたジャケットとズボンがゴミのように粉々になってしまう。
「「「オオッ」」」
「な/////」
それを見ていた男性陣は鼻の下を伸ばし歓声をあげる。その声で恥ずかしさが増した俺は、体を隠すために腕をクロスさせる。
「いいねぇ、恥じらう姿がすごく可愛い!!」
赤面している俺を見て身悶えしているルナ。でも、元々が男なだけに相手からどんな風に見られるのかわかってしまい、余計に恥ずかしくなってしまう。
「もっと女の子っぽい下着ならなぁ」
「本当は男なんだろ?なら仕方ないだろ」
残念そうな表情のエミと次の攻撃を放とうと準備しているエーメ。でも次斬られるとヤバイんだけど。もう今着てるTシャツとパンツだけなんだけど。
「次は上から行ってやろう」
「ちょっ!!ストップストップ!!」
目が本気の女性を制止しようとするが、彼女は次のターゲットに早く移りたいため、すぐにでも動き出そうとしている。
「動くなよ!!ケガするぞ」
「無駄に優しいのは何!?」
ちゃんと服だけを斬ろうとしているあたり優しさを感じるけど、そんな感情があるなら今すぐこの行為をやめてほしい。後ろの男性陣は目を輝かせてるし、真面目に泣きそうになってきた。
ヒュンッ
目にも止まらぬ早さで振り抜かれた光の刀。それは腕をクロスさせてガードしていたはずの俺のTシャツだけを見事に切り裂いていく。
「「「オオッ!!」」」
「ふぇぇ・・・」
無駄に三人の歓声が大きいため、恥ずかしさを通り越して涙が零れてくる。しかも胸が思ったよりも大きく、その弾力がひしひしと伝わってきてしまい、余計に悲しくなってくる。
「残るはその色気のないパンツだけだ」
「色気なんかあるわけないでしょ!!」
残る一枚に狙いを定めるエーメに、懇願のように目をうるうるさせてみるが、それが彼女のSっ気魂に火をつけてしまったらしく、顔面蒼白になる。
「お前の後はこいつだ。よかったな、仲間がいて」
後ろから「お前もだけどな」ってボソッと呟いている人がいるけど、彼女は聞こえてないふりをしており、一気に突っ込んでくる。
体はルナに操られており思ったように動かない。すでに仲間たちは全員倒されており、助けも望めない。
もうただ敵に好きなようにやられるしかないのかと諦めかけたその時、目の前に不思議な空間のようなものが現れる。
「なっ!!」
その空間から現れた腕が向かってきていた剣を振り払う。不意を付かれた女性はバランスを崩すと、その場に尻餅を付く。
「大丈夫か!?シリル!!」
彼女を振り払った腕の持ち主とは他に、二人の男性がその空間から現れる。突如やって来た三人の青年を目にした俺は、安心し、思わず腰が抜けてしまう。
「これ着とけ」
「ありがとうございます」
羽織っていた上着を半裸となっていた俺に被せてくれる紫髪のオールバックの青年。黒い髪を伸ばした男性に突き飛ばされたエーメは、光の剣を地面に突き刺し立ち上がると、彼らを睨み付ける。
「なんだ!?貴様らは!!」
「剣咬の虎の三大竜だ!!」
助けてくれたのは、別行動中だったスティングさん、ローグさん、グラシアンさんだった。
たぶん、グラシアンさんがミネルバさんの魔法を使って、この場へと飛んできてくれたみたいだ。
「ほう、他にもいたのか」
「それも剣咬の虎とは・・・」
邪魔者が乱入してきたとあって残念そうな表情を浮かべながら歩いてくる五人。それを見たローグさんたちは、いつでも動き出せるように戦闘準備へと入る。
「雑魚が何人増えようが関係ねぇ。俺たちなら余裕で倒せるぜ!!」
そう言うとリーゼントヘアの男が両手を合わせる。その手から炎が溢れてきて、次第に一つの形へと変化していく。
「火の造形魔法!?」
「火炎の造形・・・虎!!」
炎の虎が出現し、大きな口を開けて突進してくる。しかし、その造形を見ても、先頭に立つローグさんは動揺を見せない。
「影竜の斬撃!!」
いつにも増してキレのある動きで炎の虎を真っ二つにする影竜。そんな彼に、赤黒い髪の男性が飛び掛かってくる。
「砕け散れ」
人指し指だけを立てた不思議な手の形で、ローグさんを狙い打つ。
「影竜の咆哮!!」
頬を大きく膨らませ、ブレスを放つローグさん。それは飛びかかっている男性を直撃しようとしたが、その寸前で消えてなくなる。
「無効化」
その原因は間違いなくあの人だ。まるで青い天馬のレンさんを彷彿とさせるような全身黒尽きめの男が、彼の魔法を消し去ったのだろう。
「チッ」
自身の魔法を相殺されて後方へと避ける。その直後降ってきた男性は、指一本で地面を粉砕していた。
「ホーリーレイ!!」
なぜそれだけの威力を生み出せるのかわからなかったが、それに驚くことなくスティングさんが魔法を放つ。無数に飛ぶ光の攻撃を、エーメは剣を振るい弾いていく。
「幻竜の鉄拳!!」
スティングさんの攻撃をすべて弾き終えた女性に迫るグラシアンさん。しかし、彼に向かってショートヘアの女性が手を向けると、青年の体がブレ、標的の脇を通りすぎて地面を転がる。
「火炎造形・・・」
「お前はうるさい!!」
「ごばっ!!」
そのグラシアンさん目掛けて再びリーゼントが襲い掛かってくるが、それに気が付いた彼は向かってくる敵にブレスを放ち打ち落とす。
「スティングくん!!」
「ローグ」
「連れてきたよ!!」
一進一退の攻防が繰り広げられている中、頭上からそんな声が聞こえてきてそちらを見上げる。そこにいたのは、気を失っている三人を持っているレクターたちがいた。
「あれ?」
「なるほど、そういうことか」
それを見て納得したような雰囲気を醸し出す敵の女性陣。もしかしてスティングさんたちは、負傷したレオンたちを救出する時間を稼いでいたということなのか?
「これで全員だな」
「退散させてもらうとするか」
目的を果たしたとあって、退散するためにグラシアンさんがミネルバさんに変身する。
「逃がすか!!」
「待て!!」
別空間を作り出そうとしている彼を止めようとした赤黒い髪の青年だったが、それを色黒の男性が止める。
「行かせていい。これ以上はこっちにも利点はない」
俺たちと剣咬の虎がいるとあっては、まだ他のギルドの魔導士もいるだろうと考えているらしい。それは正解だから、ここで逃げることは容易にできるだろう。
「立てるか?シリル」
「手を貸して頂けると・・・」
向こうが攻撃を仕掛けてくる気配もないので、気が変わらないうちに退散しようとする。その際腰が抜けている俺はローグさんに抱き抱えられる格好になり、ちょっと恥ずかしい。
「それに、あの変身野郎の相手は俺たちじゃない」
「??」
逃げる際、ボソッと呟いた声が聞こえ首をかしげる。その意味がその時の俺たちには、よくわかっていなかった。
第三者side
ピリリリリリリッ
横たわる三人の女性を見下ろす茶髪の女。そんな彼女の腰元につけられた魔水晶から、大きなアラーム音が鳴り響く。
「チェッ、呼び出されちゃった。いいとこだったのに」
アラーム音を消すと傷だらけで自分を睨み付ける三人を再度見下ろす。
「全く私に歯が立たないあなたたちにご朗報です。私は今から本部に帰らなければならなくなりました。なのでここで見逃しておいてあげます」
そう言って三人に背を向けて歩き始める女性。しかし、それから数歩歩くとすぐに足を止める。
「セイバーの二人、グラシアン・カイザーも来ているのか?」
「あ・・・あぁ・・・」
ほとんど動けない中でされた問いかけに力なく答えるミネルバ。それを聞いた瞬間、女性を口角がわずかに上がった。
「だったらあいつに伝えておいて。イザベリーがよろしくってね」
それだけ伝えると再び歩みだし、その場を離れていくイザベリー。取り残された三人は互いの状態を確認し合う。
「大丈夫ですか?ミネルバ様、ジェニー様」
「妾はなんとか・・・だがジェニーが・・・な」
ドス黒く変色した足を押さえているドレス姿の女性を見る。彼女の脚は通常ではありえない方向に曲がっているようで、それを見た二人は思わず青ざめる。
「ユキノ、二人で念話の届く範囲までジェニーを運ぶぞ」
「はい!!」
痛む体にムチを打ち、歩けない女性に肩を貸してヨタヨタと歩き出す。その際ミネルバの頭には、先程の言葉がひどく残っていた。
「グラシアンの知り合い・・・か?」
タッタッタッタッ
人気の少なくなってきているクロッカスの中心部から大きく離れた場所を駆けていく三人の人影。その彼女たちの表情は、険しいものであった。
「全く!!好き勝手動く連中だな」
「まだ子供だもんね」
「でもあの二人が何も考えずにそんなことするかな?」
苛立ちを露にしている剣を携えた女性と、そんな彼女を宥めている猫耳の女性。そして、自分たちが救出に向かっている人物のことを考えて不思議そうな顔をしている銀髪の少女。
「スティングたちはどうなっているのだ!?」
「まだ何も返信がないって」
彼女たちは、自分たちが追い掛けていた男性が目的の人物ではなかったため、そのことを報告しようと集合場所に急いでいたのだが、その途中でヒビキから念話が入ったのである。
「スティングたちでは、加勢してしまいそうだが・・・」
「いや、マスターなんだしそんなことは・・・」
「ないことを希望する感じで」
彼女たちが向かっているのは敵のアジトへと乗り込んだシリルたちの元。先に向かっているスティングたちから連絡がないことから、心配したヒビキに指示されたらしい。
ガサガサ
「ん?」
まもなく街から抜け出し森の中へと入って行こうとした時、遠くから草木を踏みながらこちらに向かってくる足音が聞こえてくる。次第に近付いてくるその音の正体を探ろうと三人は足を止めると、やって来た人物たちを見て驚愕する。
「スティング!!」
「カグラさん!!」
現れたのは自分たちより先にシリルたちの元へと向かった剣咬の虎の三大竜。そして、彼らの手に抱えられている人物たちを見て三人の顔が強張る。
「なっ・・・」
「ちょっと!!みんな大丈夫!?」
グラシアンにおんぶされている血まみれのレオンに、スティングの両脇に抱えられているサクラとラウル。そして、ローグにお姫様抱っこされているシリルの姿だった。
「ローグさんずるい!!ソフィアと変わって!!」
「ブレないな、お前は」
グラシアンの上着を体に巻き付けているシリルを奪い取るソフィア。その際ローグが残念そうな顔をし、シリルの表情が強張ったが、それを気に止めている余裕はない。
「ひどい傷じゃないか、すぐに治療しなければ」
「まさかレオンがやられちゃったの!?」
「詳しくは後で話す」
「今はここから離れましょう」
気絶している三人の状態を確認してすぐさま元来た道を戻ろうとする。
「あれ?なんかシリルちゃん柔か・・・」
「あ!!あんまり触んないで!!」
先に動き出した面々を追い掛けようとしたソフィアは、自身の抱き抱えている少女の感触が、いつもと違うことに気が付くが、彼女がそれを望んでいないことに気が付かない。
「あれ?なんかお胸が大きくなったような・・・」
「ちょっ!!揉むな!!」
「ソフィア!!早くしろ!!」
立ち止まって水髪の人物の体を触りまくっているソフィアと悲鳴を上げるシリル。彼女たちは先を行く剣士から怒鳴られ動き出したのだが、城に戻ってから詳しく調べて歓喜したのは言うまでもなかった。
後書き
いかがだったでしょうか。
シリルのサービスシーンに今回のキーマンとなるグラシアンを知る女。なかなか順調に進んでいると思います。
次はみんなで作戦会議になると思います。どうぞよろしく。
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