提督はBarにいる。
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ブルネイ春のサンドイッチ祭り!その4
そろそろ寝かせておいたレバーパテが良い感じに仕上がった頃合いだ。具合を確かめたら調理へと移ろう。味を確かめるには……やっぱり食ってみないとな。軽くトーストしたバゲットに、レバーパテを塗ってパクリ。ん~、このねっとりとした食感とレバーの濃厚な旨味、堪らんねぇ。
「ちょっと提督!?独り占めはズルいよ!」
腕にギュッと抱き付いてくる照月。秋月よりも大きな2つの膨らみがムニュッと押し付けられる。長女よりも次女の方がスケベボディが多いと昔の偉い人が言ってた気がするが、激しく同意したい。って、んな事言ってる場合じゃ無かったな。秋月達にも一切れずつレバーパテトーストを配ってやり、試食させる。
「んーっ、美味しい!」
「うん、凄く濃厚だ」
「司令、これで何を作るんですか?」
「フフフ、こいつで作るのはベトナムのサンドイッチ……バインミーだ!」
《ボリュームたっぷり!バインミー》
・バゲット(ハーフサイズの奴):2本
・豚肉(肩ロース、ロース、ヒレ等):250g
・にんにく:1片
・五香粉:小さじ1/2
・ニョクマム(無ければ他の魚醤でOK):大さじ2
・醤油:大さじ1/2
・ハチミツ:大さじ1
・塩、胡椒:少々
・人参:60g
・大根:60g
・砂糖:大さじ1
・酢:大さじ1
・バター:15g
・レバーパテ:30g
・キュウリ:70g
・マヨネーズ:少々
・生唐辛子:少々
・パクチー:適量
「でも、何でベトナムなのにフランスパンなんですか?」
「ベトナムは19世紀末から南北ベトナムに別れる1960年代まで、約80年間フランスの殖民地だったんだよ。その流れを組んでてな、今でもベトナムでパンと言えばフランスパンなのさ」
その辺は各自近代史で勉強してくれ。あの国の歴史はごっちゃごちゃ過ぎて簡単には説明しきれん。そしてベトナム風フランスパン最大の特徴は、小麦粉だけでなく米粉が含まれているって所だ。小麦粉オンリーのフランスパンよりも、外はパリッと硬すぎず、中はモチモチ柔らかいという独特なフランスパンになっている。米粉が入ってるから、知り合いのベトナム人のオネーチャンなんか、朝に納豆挟んで食ってたからな、フランスパンに。あれには度肝を抜かれたぜ……どんどん話が逸れてってるな、調理に戻ろう。
今回は米粉入りのが準備できなかったから普通のフランスパンだが、味は保証するぜ。
まずは肉の下拵えから。にんにくをすり下ろし、五香粉、醤油、ハチミツ、ニョクマムの半分と混ぜ合わせて漬けダレを作る。それを軽く塩、胡椒で下味を付けた豚肉にかけて、漬け込んでおく。時々ひっくり返しながら、両面にしっかりとタレを染み込ませる。
「提督、五香粉ってなんだい?」
「五香粉ってのは、言ってみれば中国のミックススパイスだな。肉の臭み消しとか、菓子に練り込んだりとか……使い道は色々だな」
「ふ~ん……何だか甘いような辛いような、変な匂いだね」
変な匂いってのはあんまりだな、初月よ。五香粉は桂皮(シナモン)、丁香(クローブ)、花椒、ウイキョウ、八角、陳皮(乾燥させたミカンの皮)等を粉末にしてミックスした物だ。……何、5種類以上あるって?五香粉と名前は付いてるが、必ずしも5種類じゃねぇんだよ。その辺は中国らしいというか何というか……。まぁとにかく、香り付けに使う物だと理解しといてくれ。
肉を漬けている間に野菜の下拵えも済ませるぞ。人参と大根は細めの千切りにして、砂糖、ニョクマムの残り、酢と混ぜ合わせておく。
「あれ、これって……」
「紅白なます?」
まぁ、大体それに近い味だと思って差し支えない。三杯酢ではないし、ニョクマム使ってるからアジアンテイストな感じだが、日本人がイメージするには紅白なますが一番近い味だ。
他の野菜も刻んでいくぞ。キュウリは斜め薄切り、生唐辛子も種ごと斜め薄切りにする。パクチーは葉を枝から外して、大きい葉はちぎって小さくしておく。
さて、肉を焼いていこう。タレが表面に付いている分焦げやすいからな、中火~弱火の間でじっくりと焼こう。焼き色が付いたら漬けダレをフライパンに入れて、焼きながら絡めていく。タレがよく絡んだらフライパンから取り出し、斜めにスライスしておく。
フランスパンを用意し、横半分になるように包丁を入れる。その際、完全に切り離さずに二枚貝のように開閉できるようにする。開いた面にバター、レバーパテを塗って、キュウリのスライスを下半分の方に並べる。そこにマヨネーズを塗って、スライスした豚肉、紅白なます、生唐辛子、パクチーの順で挟んだら出来上がり。
「す、すごいボリュームだね……」
「そうか?野菜多めだから意外とペロリと食えるぞ。ホレ」
若干引き気味の照月をよそに、大きく口を開けてバインミーにかじりついている秋月。しかし、あのスレンダーな身体のどこに入っていってるんだ?浜風とか潮とかは、食べた分がちゃんと身体に還元されてるんだが……謎だ。あぁそれと、今回作ったのはバインミーサンドのほんの一例だ。本来このバインミー、屋台飯とかファストフードの類いでな。フランスパンを使っててレバーパテとベトナム風紅白なますを挟む以外は、具材の選択がかなり自由。ハムやベーコン、チキンを今回の豚肉の代わりに挟んだり、目玉焼きやチーズを足す、なんて屋台もある。アレンジは自分の好みで自由自在ってワケだ。
さて、レバーパテはそれ単品でもサンドイッチの具になる。今度はバインミーのような脇役ではなく、レバーパテをメインに据えたサンドイッチをご紹介。
《シンプルが美味い!レバーパテサンド》※分量1人前
・食パン:2枚
・レタス:適量
・ナス:適量
・パプリカ:適量
・オリーブオイル:少々
・塩(ハーブソルトオススメ):少々
・バター:少々
さて、作っていくぞ。ナスはヘタを取り、細めのくし切り。パプリカも同様にヘタとワタを取り除いたら細めのくし切りに。
フライパンにオリーブオイルを引いて熱し、ナスとパプリカを炒めていく。今回はナスとパプリカを使ったが、勿論お好みの野菜で構わない。野菜に焼き色が付いたら軽く塩を振り、冷ましておく。
パンの片方にはバター、もう片方にはレバーパテを塗る。レバーパテが味のほとんどを決めるから、気持ち多めの方がいいぞ。バターを塗った方にレタスを敷き、炒めた野菜を乗せてレバーパテを塗った方で挟めば出来上がり。
「やっぱりレバーパテが美味しいから、野菜と合うね」
「トーストに塗ったのも美味しかったけど、僕はこっちの方が好みだな」
うんうん、好評だな。お次はレバーパテとサンドイッチにすると抜群に美味いピクルスを作るとしよう。
《レバーパテと合わせて!カリフラワーのカレーピクルス》
・カリフラワー:1/2房
・米酢:200cc
・水:100cc
・ハチミツ:小さじ3~4
・カレー粉:小さじ1
・塩:小さじ1
・ローリエ:2枚
・オレガノ:1枝
・黒胡椒(粒):10粒くらい
さて、作るとしよう。カリフラワーは食べやすい大きさの房に分けておく。
分量外の薄い酢水を作り、鍋に入れて沸騰させる。そこにカリフラワーを入れて茹でる。大体1~2分位だな。茹で加減は1つ食べてみて、自分の好みに調節してくれ。
お次はピクルス液だ。鍋に水、米酢、ハチミツ、塩、カレー粉、ローリエを入れて火にかける。軽く沸騰してきたら瓶にピクルス液を移す。
カリフラワーをピクルス駅に入れ、オレガノ、黒胡椒も入れたら冷蔵庫で休ませて完成。大体半日位で食べられる位に漬かるが、2~3日置いた方が更に味が染みて美味いぞ。
サンドイッチにして食べる時には、パンにレバーパテを塗った上に粗く刻んだピクルスを乗せて、その上からバターを塗ったパンで挟めば出来上がり。両方レバーパテってのもアリかもな。秋月達の試食には、予め作っておいた物を使用した。
「カレー味がレバーパテを引き立ててるね」
「うんうん、ピクルスだからさっぱりしてるし」
「結構な種類作ったが……作りすぎたか?」
俺がそんな事をボソッと呟くと、
「そんな事ないよ!寧ろ足りない位だよ!」
「そうさ!もっと種類を作るべきだ」
「わ、私もそう思います!」
3人に全否定されてしまった。まぁ、足りないというならもっと作るけどよぉ。1種類につき1個ってワケじゃないんだぞ?まぁいいか、ウチは大所帯だしな。作り過ぎて余るという事も無いだろうし。さてと、じゃあお次はベーコンエッグサンドでも作りますかね。
《焼き方にコツあり!ベーコンエッグサンド》※分量2人前
・食パン:4枚
・卵:2個
・ベーコン:4枚
・レタス:2枚
・粒マスタード:適量
・ケチャップ:適量
・マヨネーズ:適量
・塩コショウ:適量
さて、作っていくぞ。まずは卵を洗う。しっかりとな。
「あれ?提督何で卵なんか洗ってるの?」
「あぁ、ちょいと殻を使うんでな。念の為だ」
「……食べるの?」
「まさか。流石に殻は食わねぇよ」
卵の殻は卵を焼く時に使うのさ。フライパンを火にかけ、薄く油を引く。そこにベーコンを切らずに並べて広げる。1人前につき2枚だな。そして、卵をベーコンの片側に寄せて割り入れて、黄身の上に殻を被せて動かないように固定する。
「成る程、殻は黄身が移動しないようにする為だったんですね!」
「そういうこった」
白身が固まって黄身が動かなくなったら殻を外し、軽く塩コショウをして卵が乗っていない側のベーコンを折り畳む様にして卵に被せる。少量の水を入れて蓋をし、蒸し焼きにする。黄身がお好みの固さになった所で火を消し、フライパンから取り出して皿に取り分けておく。
パンの両方に粒マスタードを塗り、4等分にちぎったレタスの1枚を乗せる。その上にマヨネーズをかける。更にその上にレタスを重ね、今度はケチャップを。そこに冷ましておいたベーコンエッグを乗せ、ケチャップ、レタス、マヨネーズ、レタス、パンの順番で重ねていく。こうすると断面も左右対称で美しいサンドイッチに仕上がるぞ。後は10分程置いて馴染ませたら、カットして完成だ。
「茹で玉子のサンドイッチとか卵焼きのサンドイッチは食べたことあったけど……」
「目玉焼きは新鮮な感じがするな」
「美味くないか?」
「ううん、すっごく美味しい!」
そうか、ならよかった。さてさて、こっからはちと変化球過ぎるサンドイッチになるぞ。見た目はあんまり宜しくないが、味は保証するぜ。
《騙されたと思って食べてみよう!キムチサンド》※分量2人前
・食パン:4枚
・キムチ:お好みの量
・ハム:4枚
・レタス:2枚
・バター:小さじ4
・コチュジャン:小さじ2
・マヨネーズ:大さじ2
「えっ、キムチをサンドイッチにするの!?」
「悪いか?」
「う~ん……」
3人とも渋い顔で固まっている。そりゃそうだろうな、初めて俺も知り合いに作って貰ったときはそんなリアクションだった。ところがどっこい、食ってみてビックリって奴よ。まぁ、期待しとけ。
キムチは水気をしっかりと搾り、食べやすい大きさに刻む。パンは軽くトーストしておく。
室温に戻して柔らかくなったバターとコチュジャンを混ぜてパンに塗り、レタスを乗せてマヨネーズをかける。ハムを乗せて刻んだキムチを乗せたら、パンで閉じたら完成だ。
「ほれ、食ってみな」
「……あれ、ちょっとピリ辛で美味しい」
「うん、キムチもシャキシャキしてていい食感だ」
「パンにキムチって合うんですね!」
「だろ?先入観は持っちゃダメなのさ」
お次は缶詰を使ったお手軽サンドイッチを一品。
《ツナより美味い!?サバ缶サンド》※分量2人前
・食パン:4枚
・サバ缶(190g):1缶
・玉ねぎ:1/4玉
・塩、黒胡椒:適量
・マヨネーズ:大さじ3~4
ツナ缶はその名の通り、マグロのオイル漬けだ。しかしこいつはサバの水煮缶を使ったサンドイッチ。サバ缶だと身も大きく食べ応えはツナサンドを上回るぞ。
パンはそのままでも軽くトーストしてもOK。そこにマヨネーズを塗っておく。
玉ねぎはスライスして辛味を抜く為に水に晒しておく。サバ缶も水気を切り、身のゴロゴロ感を残す為に大きくほぐす。
マヨネーズを塗ったパンの上にサバの身をゴロゴロと乗せる。その上から塩と黒胡椒をガリガリと振る。そこに水気を搾った玉ねぎをドカンと伸せる。仕上げにパンで挟んで馴染ませ、カットしたら完成だ。サバの水煮だから味がぼやけないように、玉ねぎ、塩、黒胡椒、マヨネーズは多めの方がいいぞ。
「サバがゴロゴロしてて美味しい!」
「玉ねぎの辛味がいいアクセントだね」
ツナサンドよりも多少食べにくいがな。
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