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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第三章 X《クロス》
  輪郭



W VS モスキートアンデット


Wルナトリガーの持つトリガーマグナム銃口から金色の弾丸が放たれ、めちゃくちゃな軌道を描きながらもひとつ残らずモスキートアンデットに向かって飛んで行った。
それを左右上下にとちょこちょこ飛び回って回避するモスキートアンデットだが、回避したはずの弾丸がUターンして戻ってくる。


「ギッ!?」

「ほらドンドン行くぞォ!!」



ガキョンガキョンガキョン!!!



さらにWは追い打ちをかけるかのように弾丸を放ち、モスキートアンデットを弾丸で包囲していく。
そうして一発が命中し、そこからはなし崩しのように二発三発と命中していった。


「ギ・・ギギ・・・・」

『このまま引きずりおろそう!』

「ああ!」


《ルナ!ジョーカー!!》



動きの止まったモスキートアンデットに、ルナジョーカーへとハーフチェンジしたWが腕を伸ばして足に絡めた。
そしてそのまま引きずりおろし、地面にたたきつけた後にさらにフィリップがメモリを変える。



《ヒート!ジョーカー!!》




「オォラァ!!」


ボゴォ!!!



翔太郎の気合いと共に、炎を纏ったヒートジョーカーの拳がモスキートアンデットの顔面に突き刺さり、その体を岩肌に叩きつけてやる。
ガリゴリと岩場を削りながら吹き飛ばされたモスキートアンデットを睨み付け、Wが腰のスロットにジョーカーメモリを落とし、腰を叩いてマキシマムドライブを発動させた。


《ジョーカー!!マキシマムドライブ!!!》


その発動を以って、その両拳に先ほどとは比べ物にならない程の炎が灯った。まるで、怒りの炎であるかのように。


「うぉオオオオオオ!!」


そうして、その拳を握りしめて走り出したW。
その拳で渾身の力を持って殴りつけ、相手を爆散させるつもりなのだ。


しかし


「危ない!!もう一体いる!!」

「なに!?ぐぁッ!?」



長岡の言葉と同時に、ガゴッガゴッガゴッ!!!という重い音を立ててWに向かって拳ほどの大きさをした鉄球が飛んできて、その動きを阻害した。
その鉄球をその両拳で粉砕、地面に落として鉄球が飛んできた方向を見ると、そこにはもういったいアンデットがこちらに向いて立っていた。


「なんだよ・・・まだいやがったのかよ!!!」

『鉄球!?・・・・そうか翔太郎。あいつは鉄バクテリアだ!!』

「はぁ!?」

マキシマムドライブを中断されたばかりでなく、それを無駄撃ちさせられた翔太郎がイラつきながら、その鉄球を打ち払って落としていく。

そうしながらも、フィリップが相手の生物を推測していっていた。


新たなアンデットは鉄細菌、というよりもただ単の細菌の始祖たるアンデット、バクテリアアンデットだ。

その種の中には鉄を食べるバクテリアが存在するのだが、おそらくはその力を持って鉄を食らい、押し固めて吐き出しているのだろう。


『被害者たちがここに来た時に乗っていた車などを処分していたのはあいつだったんだ!』

「チッ・・・とことん食らいつく野郎どもだ!!!」


と、そこでモスキートアンデットがムクリと起き上がり、バクテリアアンデットの隣に立つ。
そして、バクテリアアンデットがWに向かって吐き出した鉄球に赤い弾丸をぶつけて破砕、散弾のようにして浴びせかけてきた。


「うぉ!?オアああああ!!!」

『うわぁあ!?くっ・・・翔太郎、まとめて焼き払うしかない!!』

「だったらこいつで間違いねぇな!!」


《トリガー!!》

《ヒート!トリガー!!》



全身から散弾による火花をちらし、後ろに押し込まれるWだが即座にメモリをチェンジして、ヒートトリガーへと変わった。


だが、相手からの散弾がやむことはない。
フォームチェンジの瞬間にはエネルギーによる膜があるので大丈夫だったが、その後の散弾はなおもこちらに当たり続けている。


「グァッ・・・こ・・・の・・・・!!」

『グアア!!・・・クソッ、怯んでいる暇はない!!一気にやろう!』



《トリガー!!マキシマムドライブ!!!》



「『トリガーエクスプロージョン!!!』」



トリガーマグナムの先端から噴き出してきた熱線が、炸裂してきた散弾を蒸発させる。
そしてさらにはモスキートとバクテリアアンデットのもとにたどり着き、その体を焼き焦がしていった。



「ギギギギギギィィィ!!!」

「ブシュルァァァァァアアアア!!!」




そしてその二体が炎に焼かれ、爆発、吹き飛んで身体が岩場にたまっている水辺に突っ込んだ。
だがその体が爆散することはなく、炎と水の中で倒れた二体の腰のベルトが、パキンと縦に割れた。



「クソッタレ・・・・これでもまだやれてねぇのかよ・・・・」

『だがベルトは割れた。これでしばらくは動けないだろう。場所を教えてくれ、翔太郎。僕もそっちに向かう』



そうして二体を行動不能にしたWは変身を解き、フィリップが到着するのを待った。







数十分後、フィリップがリボルギャリーに乗ってやってきた。
翔太郎は大げさすぎると思ったが、相手が相手だ。用心に越したことはない。

そして彼が持って来たラウズカード(興味があったので検索用に橘からもらっていたもの)で二体を封印しようとする。
一枚しかないのでモスキートだけでもと封印したものの、やはりカードに封印した瞬間に絵柄は消え、消滅したため続いてバクテリアのほうも封印した。








「どういうことだい?君を狙っているのはアンデットだった。しかも、普通ではない」

「訳を・・・聞かせてもらえねぇかな?」


そしてその場に残っていた遺品をすべて回収したうえで、フィリップと翔太郎が長岡に聞いた。

彼らは今起こっている別の事件は知らない。
しかし、それでもアンデットが狙ってくるなんてことはよほどのことだ。



だが、長岡は今それどころではないようだった。
ぶつぶつと独り言を言い、思考を廻らせているようだ。


「・・・・・規模が大きすぎる?・・・だとしても、なんで二体しかいないの?・・・」


そんなことを言いながら、こめかみのところを抑えて考え込む長岡。

隣には柴犬がちょこんと座りながらクゥ~ン、と小さな声を上げていた。



「あ~、なあ?話だけでも・・・・」

「?・・・・!?翔太郎!!あれは!?」



そこでさらに話を聞こうとする翔太郎だが、フィリップの言葉に振り返り、空を見た。



「な、なんじゃありゃぁ!?」

「あれは・・・まさか全部アンデットなのか・・・・?」



その空を飛んでいたのは、無数のアンデットどもだった。
飛べないものは飛べるものにしがみつき、さまざまな方向に飛んでいく。


それはまるで、世界の終りでも見ているかのような光景だった。



「どういうことだよ・・・・」

「ここではまずい。いったん風都に・・・いや、「EARTH」に向かおう。僕ら二人じゃ事が大きすぎる」



そうしてリボルギャリーに乗り込み、三人と一匹は「EARTH」へと向かった。




各地へと向かったアンデット達。
いったい何を始めようというのか。





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「この血文字・・・・」

「うぇ・・キショイな・・・それにひどいな」

「うん・・・ひどい現場だ・・・・」



ミッドチルダ火災現場



そこでティアナとギンガ、そして理樹と鈴は現場を見て回っていた。



現場の壁には被害者のものでであろうか、血文字がべったりと残っていて、鈴がうぇえ、と顔をしかめる。




「この文字の解読は・・・・」

「まだです。なにぶんこちらもつい昨日に消火したばかりだったから・・・」

「この文字って、何語?」

「わけわからんな」





その血文字を見て、ティアナとギンガが話し、そこに理樹が聞いてきた。




「どうやら、古代ベルカ文字みたいで・・・・専門家の知識が必要ですね」

「なんて内容だろう・・・え・・・と・・・『詩篇の六 かくして王の帰還はなされること無く、大いなる王と・・・・』長いね」


壁の血文字を見て、すらすらと読んでいく理樹。
その理樹に、ティアナとギンガは驚いていた。

「わ、わかるんですか!?」

「まあね、翼人っていうのは基本的に世界をめぐるものらしいから、僕ら言葉には強いんだ」

「あ、そういえばそんな話聞いたことが・・・・」

「う~~ん・・・「詩篇」ってことは何かからの引用かな?」

「でしょうね。でもいったい何の・・・・」

「それに、古代ベルカがらみだったら聖王教会にも連絡しないとですね」


鈴が飽きたといわんばかりに周囲をぶらぶらとみている間に、理樹とティアナとギンガは情報の収集と今後の動きを話し合う。


「連絡は僕がやっておくよ。えっと、写真写真・・・」

「あ、それなら私が撮ってます。クロスミラージュ、お願い」

《了解。そちらの端末に送っておきました》

「あ、どうもありがとう」



「理樹ーーーー」



と、そこで鈴が何かを見つけたようで、理樹を大声で呼んできた。
なんだなんだとそっちの方へ向かう三人。



「どうしたの?鈴」

「ん、これ」


理樹が聞くと、す、と鈴がコンクリートの床を指さした。
そこには消火した時の水が溜まっており、水たまりになっている。

おそらくは気にも留めるようなものではない窪みでもあるのだろう。


「これが?」

「水たまり」

「え、あ・・・そ、そうだけど・・・」


「ハァ・・・」


「え!?なんで!?なんで溜息!?」

「理樹はわかってない。床がボコボコたとコケるだろーが」

「ま、まあそうだけど・・・」

「この前小毬ちゃんもコケてた」

「小毬さんはなぁ・・・・」



と、そんな話をしている理樹と鈴の横で、反対にティアナとギンガは真剣な顔をしていた。



「ギンガさん、このビルって・・・」

「建ってすぐってわけじゃないけど、床がくぼむほど古いものじゃないわ」

「そうですよね・・・・クロスミラージュ」

《OK》



「ど、どうしたの?」

「鈴さんの言う通りよ。ビルの床がくぼんでるのはおかしい」

「え・・・と?」


「つまり、ここには何かいたのよ。マリアージュじゃない・・・いいえ、下手をすると人間じゃないものかもしれないわ」

「じゃあこれは何かの足跡で、重みで少しくぼんだと?」

「ええ・・・こんなの、普通気付かないわ・・・・ありがとね、鈴さん」

「ん、たいしたことない」

腕を組んでなぜか偉そうに返事をする鈴。
そうして、そのデータを別行動中のルネッサに送り、解析を頼むティアナ。




ここには、なにかいた。



ティアナとギンガ、そして理樹が顔を見合わせる。



この事件には、自分たちの知らないところで動いている何かが、確実に存在するのだ。





「でも連絡は明日になってしまいそうだね」

「そうねー。こんな時間だし、今から連絡じゃあたぶん無理よね」



時間はもう午後の10時を回ろうとしていた。


確かに、こんな時間に連絡するのはよろしくないだろう。
それに急がなくとも、古代ベルカ語を知っているものは知り合いに何人かいる。



「じゃー今日はここまでなのか?」

「そうだね・・・・こっちの血文字は僕のほうでも調べておくよ。これだけのメッセージだ。文字以外にも手掛かりはあるかもしれないし」

「何かあったらここに連絡。私かルネは起きていると思うから」



そうして、あらかたの手掛かりを持って、四人は解散する。



日が沈んで、深夜となって、そしてまた日が昇る。



同じように事件もまた起こるものだ。






to be continued

 
 

 
後書き


はい、害虫退治その二と、マリアージュ事件の方の進展ですね。

蒔風
「これで一日の終わりか?長いな」

 
えっと・・・・


前日深夜

御坂妹、アンデットに襲われ橘が助ける
ミッドチルダで放火事件発生


午前

10:00 一刀、上条の部屋に向かう
10:30 雛見沢にてアンデットの襲来
11:00 ティアナ、事件の報告を受けてミッドチルダへ向かう準備
    一刀、剣崎が到着
11:30 インデックスを連れて脱出。アンデットと交戦

午後

13:00 風都鳴海探偵事務所に長岡が依頼を持ってくる。
    ティアナ、ルネッサ、理樹、ミッド入り。
14:00 一刀、剣崎、アンデットを倒して「EARTH」到着、橘から話を聞く
    防災課のイベント
15:00 士、ユウスケが梨花と羽入を連れて「EARTH」到着
    海東、トゥスクルの森でコックローチと交戦
15:30 ティアナ、理樹が合流。現地での様々な手続き
    翔太郎、長岡、目的地へと出発
17:00 ティアナ、防災課内での情報収集。そして現場へ
18:00 W、海岸にてアンデットと交戦
19:00 現場入り。その後調査



といったところですかね?


蒔風
「うわぁお、なんという同時進行。ってかティアナは結構かかってるな」


まあ、まだ慣れていないのでしょう・・・
細かいことは気にしないで!!

それについ昨日放火があったばかりということなので、現場はまだ荒れ荒れです。
それらの整理もしていたら、自然と時間もかかりますね。





さて、次回は夜!!
明日に向かってガンバロー!!

蒔風
「おー」


リストは増えた時に出します。
なんか毎回あってもしょうがない気がした


ではまた次回で
 
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