世界をめぐる、銀白の翼
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第三章 X《クロス》
害虫
森の中での戦闘
コックローチアンデットとディエンドの戦いは、高速移動によって展開されていた。
しかし高速移動いっても、まだ目視できるレベルだ。
だといっても、コックローチアンデットは依然としてその肩にアルルゥを抱えている状態で、ディエンドの動きについてきていた。
(なんて速度だ・・・こっちの弾丸がもう掠りもしない!!)
そう、しかもその状態でディエンドの攻撃は一切当たっていなかった。
それどころか相手の攻撃にこちらの装甲が火花を散らしてしまうほどだ。
ついてきていたどころではない。すでに凌駕し始めていたのだ。
「その程度か?その程度だろうなぁ?所詮人間じゃあこの星の統治者になっても、一番の強者にはなれない、ってこった!!」
ガギィ!!
と、ディエンドの装甲にコックローチアンデットの鉤爪が命中して火花を散らす。
(ぐっ・・・・勝て・・・ない・・・だが彼女だけは!!)
しかし、それでもディエンドは諦めてはいなかった。
現に、コックローチアンデットが彼女を連れてこの場から逃げていないのがその証拠だ。
相手にしてみれば逃げればそれで勝ちなのに、ディエンドはいまだに敵をこの場に引き留めている。
それに、彼は怪盗だ。
盗んで逃げるは専門分野。
くらまし、惑わし、かすめ取る。
今までだって、そうして戦ってきたのだから。
《ATTACK RIDE―――ILLUSION!!》
ディエンドがカードを装填、引き金を引くと、コックローチアンデットを囲むかのように五体のディエンドが現れ、銃口を一斉に向けた。
「早さじゃ勝てねェから今度は数かよ!!」
「そう。君らだってうじゃうじゃいるじゃないか。ハッ!!」
と、計六人のディエンドが次々に襲い掛かり、その肩に担いだアルルゥを奪い取ろうと腕を伸ばしていった。
まず一気に二人が掴みかかり、それをバックステップで避けるコックローチアンデットだが、さらにそこに背後から一人が飛びかかってくる。
それを後ろ蹴りで押しのけるが、その隙に左右からディエンドが一人ずつ掴んで拘束した。
「このっ!!」
「頂いたよ!!」
と、そこでコックローチアンデットの頭上を宙返りして飛び越えて言ったディエンドは、そのままアルルゥの体を掴んで奪い取った。
成功である。
しかし
「テメェこの野郎!!」
激昂したコックローチアンデットが、さっきと比べ物にならない速度で突進してくる。
それに対し、ディエンドはアルルゥを抱えながらカードを装填しようとしていた。
間に合わないか!?
ディエンドがそう思いとっさに彼女を守ろうと背を向けた瞬間
「ガォルルルルルルル!!!!」
バザァッッ!!と茂みを押しのけて、アルルゥになついている白虎「ムックル」が飛び出してコックローチアンデットに剛腕を振るい爪で引き裂こうと襲い掛かった。
それをギリギリで回避したコックローチアンデットだが、ディエンドとアルルゥを守ろうとムックルがさらに咆哮を上げた。
コックローチアンデットはその声の振動に若干ながらも後退させられ、その隙にディエンドがカードを発動させる。
《ATTACK RIDE―――INVISIBLE!》
そしてムックルの姿ごと二人がその場から消え、コックローチアンデットが咄嗟に飛びかかってその腕が空を切った。
「チッ!!・・・逃げられたか・・・」
「ありがとう、白虎君」
「ヴォフ」
と、その戦闘の場から逃げ出した海東は変身を解き、疾走するムックルの背の上で腕を押さえていた。
(強かった・・・想像以上に。とりあえずこの子を保護者のもとに連れてって、それから「EARTH」に保護だ・・・)
「まったく、厄介なことになって来たね」
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「荷物はそれくらいでいいのか?」
「ええ。十分よ」
「ワン!!」
風都から少し離れた町。
そこに、翔太郎の依頼人である長岡ユキの自宅があった。
これから向かうということを承諾した翔太郎と共に、身の回りの荷物を持ってきたのだ。
持っているのは小さなポーチ。
そして、足元でヘッヘッ、と尻尾を振っている一匹の柴犬だ。
「この犬は?」
「私の番犬。一緒にいて、損にはならないわ」
そうして彼女が車に乗って目的地に向かい、その後を翔太郎がバイクでついていった。
二人の乗った車とバイクが、町を抜け、海岸線沿いの道路を走る。
と、そこで
『なあ、行くとこは聞いた。でもよ、なんでそこに行くんだ?化け物ってなんだよ?』
『あら、気になるの?』
『まあそりゃあな』
車の中の長岡と、バイクで追う翔太郎が通信機で会話をする。
その内容は、至極まともなものだ。
いったい何から守ればいいのかわからなければ、護衛のしようがない。
『そうね・・・・だけど、そんなこと話している場合かしら?』
『あん?』
『お客さんよ、ハードボイルドさん!!』
そんな会話をしていると、長岡がハンドルを切って曲がり、海岸の駐車場に突っ込んだ。
この海岸は岩場ばかりで、とてもではないが海水浴場として機能している場所ではない。
ゆえに車も他の人も一切おらず、とりあえずほかの被害は出なさそうだ。
そして、長岡と犬が一緒に車から飛び降りてきた。
直後にその車に向かって何かがが飛んできてボンネットに突き刺さり、車を爆散させる。
「キャあっ!!」
その爆風で地面を転がる長岡だが、それでも何とか受け身を取って膝立ちになる。
その目の前には、一対の羽根を持ち、口がまるで針のようにとがった怪人が舞い降りてきた。
柴犬が長岡の前に出て怪人に向かって唸り声をあげ、長尾もポーチから拳銃を取り出して銃口を向けた。
「守り、ってこと?石版に行かせないつもりね」
「フィリップ!!出たぞ!!」
《ジョーカー!!》
そこにダブルドライバーを装着した翔太郎が割って入り、ガイアメモリを起動させた。
『ああ、翔太郎。いこう』
《サイクロン!》
すると翔太郎の脳裏にドライバーでつながったフィリップの声が聞こえてきて、相棒のガイアウィスパーも聞こえてきた。
そして直後、ドライバーにサイクロンメモリが出現。それを押し込み、さらに自分のジョーカーメモリを押し込み、ドライバーを展開させた。
《サイクロン!ジョーカー!!》
そして、その身体を風が覆い、姿を仮面ライダーWのそれへと変身させ、戦闘を開始した。
「行くぜ!!オォリャァ!!」
気合一発。
声を上げ、再び上空から襲いかかろうとするそのアンデットの足をつかみ、引きずり降ろそうとしがみついた。
しかし、アンデットはそのWを足蹴にし、地面に落して上空から襲いかかる。
「アダッ!?」
『翔太郎!こいつはアンデットだ!!』
「なんだって!?」
『こいつは倒してもすぐに復活する。勝負を長引かせるのは不利だ!!』
チュン、チュンチュンチュンチュンチュン!!!
フィリップからの警告が飛ぶものの、上空のアンデットの針のような口から、同じように針のような赤い弾丸が打ち出されてそれが地面に突き刺さり穿った。
この駐車場には一切の車もなにもなく、しかも開けているので、上空から狙われると格好の的になる。
「うおっ、った、った、った!?」
『翔太郎!岩場に隠れるんだ!!ここでは的になってしまう!!』
「くっ!」
と、フィリップの提案に乗って海岸に向かい、荒々しい岩場に隠れるW。
するとそこには同様に長岡もいて、その隣にはちょこんと柴犬も座っていた。
「ちょっと!!こっち来ないでよ!!」
「え!?」
『そうだぞ翔太郎。依頼人を守らなきゃならないのに、依頼人のところに逃げ込むとは何事だい?』
「はぁ!?え?俺悪いの?確かにその通りだけど、俺が悪いのかこの場合!?」
そんな言い合いをする彼らだが、そこにあるものを発見する。
服だ。
作業員の着るようなものから、男性用の服、女性用の服、子ども服、さらにはサーファーが着るようなライフジャケットやダイバースーツ、釣り人のジャンパーや、釣り竿やらの道具もそこに捨てられてあった。
「これは・・・??」
『・・・・・翔太郎。あのアンデットはおそらく蚊のアンデットだ』
「フィリップ?」
『モスキートアンデット、といったところかな?そして、あいつが撃ち出してきているのは、赤い弾丸だ・・・!!』
「・・・・まさか・・・・あの野郎!?」
『そうだ、あいつは・・・・ここにやってきた人間の血を吸って、それを押し固めて高圧で噴き出してきているんだ!!!』
「これだけの人間を・・・」
『許せないね、翔太郎』
「ああ・・・あの野郎は、絶対にブチのめす!!!」
ザッ!!
《ルナ!》《トリガー!!》
「行くよ!!翔太郎ッ!!」
「ああ・・・フィリップ!!!」
《ルナ!トリガー!!》
「『オオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』」
そして、岩場から飛び出した幻想の狙撃手の銃口から飛び出した金色の弾丸が、吸血の化け物へと襲いかかった。
「『さあ、お前の罪を数えろ!!!』」
to be continued
後書き
さて、今回はディエンドとWの戦闘でしたがいかがでしたでしょうか?
敵は、タイトルの通り害虫ですねぇ!
蒔風
「キモチワルイ・・・・しかもコックローチに至っては上級じゃねぇか!」
そうです。
そりゃあそうでしょう。
だって恐竜の時代からいるようなやつですよ?
生存能力も高いし、一説だと人間が滅んだ後に繁栄するのは奴らだってもいわれてんですから。
それにほら、M宇宙ハンター星雲人だって正体はゴキブリだったじゃないか。
蒔風
「何のネタだ」
「ゴジラ対ガイガン」での敵宇宙人。
蒔風
「濃いわ!!」
で、それ考えてたらまた面白い考えが浮かんでしまった。
蒔風
「ほう?」
一万年前のバトルファイトは人間の始祖、ヒューマンアンデットが勝った。
だったらその前の恐竜時代ではダイナソーアンデットが勝ったのか?
蒔風
「む?確かにそうだな・・・・・」
では彼らと戦ったのは?
伝説に残っているドラゴンや人魚なんてもののアンデットがいたら!?
蒔風
「それはまた壮大だな」
でもありえなくはないでしょう?
蒔風
「確かに」
ま、話には出しませんけどね。
誰かこの案使いません?
蒔風
「にしても強かったな、コックローチ」
彼の速度はクロックアップほどではないですが、ディエンドの移動よりは早いです。
ちなみに作者の考えとしては
ハイパークロックアップ>クロックアップ=アクセルフォーム>アクセルトライアル>ディエンド高速移動
くらいに思ってます。
ちなみに「風足」や「加速開翼」はクロックアップくらいです。
蒔風
「で?コックローチは?」
アクセルトライアル程度です。
でも速度もだんだんと上がっていくので、いつかはクロックアップに追いつくと思いますよ?
もしかしたらそれ以上?
蒔風
「そして、長岡とかいう女史。いったいなぜ、石板の事を知っているのか、そこに向かおうとしているのか。気になるな」
地味にオリキャラですしね。
今回の事件、いろいろとめんどくさいです。
蒔風
「次回、Wの害虫退治!!」
ヒャッハー!汚物は消毒だーーーーー!!
ではまた次回
希少能力持ち少女リスト(現状)
古手梨花
古手羽入
御坂美琴
インデックス
アルルゥ
残り五名
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