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Muv-Luv Alternative 帝国近衛師団

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プロローグ

 
前書き
生温かく慈悲のある心でお読みください! 

 
地球という惑星の中の日本という国家にある病院で一人の青年が死んだ。

 青年は病気が原因で死んだ。

 よくある話だ。

 まだ未来ある若者が不治の病に掛かりその生涯に幕を下ろした。



 ここまではよくある話だ。














 緑の草原に一人の青年が立っていた。

「ここは……どこ?」

 青年は周りを見渡すが、美しい草原がどこまでも続いており、上を見ても雲一つない青空が広がっていた。

 自分はいつここに来たのだろう?病院に居たはずではなかったのか?
 そんなことを考えながら青年はとりあえず前へと歩き出した。




 しばらく歩くと、前に何か見えた。
 目を凝らして見ると、それは人だった。
 人だったが椅子に座り、テーブルがあった。

 なぜこんな草原の中に人がいるのか?
 そんな疑問を持ちながらも青年は、その人物の下へ走り出した。
















「やぁ、待っていたよ」

 椅子に腰かけている人物は走ってきた青年に言った。その人物は、男性で黒いスーツに身を包みお茶を飲みながら青年を見つめていた。
 青年はスーツを着た男性の言葉をよく理解できなかった。

 僕の事を待っていたのか?じゃあなぜ僕の事を待っていたんだ?

 そんなことを考えていたが、男性が再び口を開いた。

「まぁ、座ってくれたまえ。走ってきて疲れているだろう」

 テーブルを挟んで一脚の椅子が置かれていた。青年は、走った疲労もあり素直に椅子に座った。

「あの~……ここはどこでしょうか?」

 青年は恐る恐る男性に質問した。青年にとっては、病院に居たはずがいきなり草原のど真ん中に居たので、ここはどこなのかを知るのが優先事項だった。

「ここは……ん~どういえばいいかな?………精神世界とでも言っておこう」
「精神世界……ですか?」
「そう精神世界。今のこの空間には私と君しかいない」
「…………いやそう言う冗談は良いので、ここはどこなのですか?」
「信じてくれないのか?まぁ、いきなりそう言われても理解できないしわからないか」

 青年の言葉を素直に受け止めた、男性は少し腕を組んで考える素振りをした。そして考えが纏まると青年を見つめた。

「ここは精神世界だよ」
「さっきと変わってないじゃないですか!?」
「そう表現するしか私にはできないね。でも君も分かってるんだろ?」
「何をです?」
「ここが現実世界ではないことを」

 そう男性が言った途端に青年は激しい頭痛に襲われた。しかしその頭痛は数秒で収まったが、青年の顔は青白く、身体が震えていた。

「僕に……何をした…!?」

男性を睨みながら青年は言うが、睨まれた男性は動じることは無かった。

「私は何もしていないさ。君は病気で死んだ。そのことを思い出させるためにサイコキネシスのようなものをしただけさ」
「やっぱりしてるじゃないか!」
「落ち着き給え。麦茶、紅茶、緑茶、コーヒー、水、コーラ、各種ジュース…何でもあるから好きなの飲んで落ち着き給え」
「………じゃあ、ロシアンティーで」

 青年が言った瞬間に青年の目の前のテーブルにティーカップとジャムが現れた。
 青年はギョッとした表情となり、それを見て男性はニヤニヤと笑った。

「貴方は一体……何なんですか?」
「何だと思う?」

 そう質問返されると青年は、視線を下に向け考えた。答えが出ると青年の表情は露骨に嫌な顔になっていた。

「あの………その……神……みたいなものですか?」
「君の世界ではそういう扱いになるねぇ……。なんでそんな嫌そうな顔するの?」
「いえ僕は、唯一神を信じていないので」
「なるほど、しかし安心したまえ。唯一神なんて者はいないから。少なくとも私は会ったことが無い」
「そうですか……」

 青年は何故かホッとした表情となったが、男性は気にしなかった。








 しばらく二人はお茶会を楽しんでいたが、青年は話題が切れた隙を見て男性に質問をした。

「あの、これから僕はどうなるんでしょうか?」
「どうなるとは?」
「僕は残念ながら死んでしまった身です。やはり天国やら地獄に行くのでしょうか?」

 そう言われた男性は大きな声を上げながら笑った。笑われた青年は、何かおかしなことを言ったのか?と首を傾げた。

「いや、失礼。まず天国や地獄などは無いんだ」
「え?無いんですか?」
「無いね。少なくとも私の管轄には無い」
「……………あなた以外の管轄にはあるんですか?」
「あるんじゃないかな?まあ、そんなことはどうでもよくて私の管轄では輪廻転生しか行っていない」
「じゃあ僕もそれに加わると?」
「そういう事になるね」

 そう言われると、次はこのまま人間として生まれるのか?犬や猫みたいな動物になるのか?魚か?はたまた植物か?っと考え出した青年に男性が声をかけた。

「君の次の人生は決まっているよ」
「え?………ね、猫ですか?」
「残念ながら人間だよ。猫の方がいいかい?」
「いえ!人間で良いです!……でもなんで決まってるんですか?」
「私が決めたから。それで次の君が生まれる世界を少し紹介しようと思ってね。ずっとここで待っていたんだよ」

 男性は、テーブルの上に一つのゲームソフトケースを置いた。

「これは……?」
「これは『マブラヴ オルタネイティヴ』というゲームさ。知らない?」
「名前は知っていますが内容までは………」
「そうか……ではやってみよう」

 男性が勢い良く立ち上がり、指を鳴らすとテレビとPS3がどこからともなく勢いよく現れた。
 そして電気が無いはずなのにテレビ画面に明かりが灯り、『マブラヴ オルタネイティヴ』をPS3にセットし起動された。 
 そして男性はPS3のコントローラを青年に渡し、良い笑顔になりながら言った。

「さ!やろう!」
「えぇ………」

 男性の行動に呆れながらも、青年はどういうゲームなのか気になったのでやってみることにした。











 人間の時間で数時間が経ったがこの空間の空は相も変わらず青空であり、日など一ミリたりとも動いていなかった。
 さて男性にごり押しされながらも『マブラヴ オルタネイティヴ』をプレイした青年は………




「うぐっ………ひぐっ……こんなのあんまりだぁ………!こんな終わり方…………あんまりだぁぁぁぁぁあ………!」

 号泣していた。
 顔が涙と鼻水と涎で汚くなりながら声を上げて泣いていた。

「ホントだよ!こんなのあんまりだよ!」

 男性も泣いていた。
 青年ほどではないが大粒の涙を流しながら泣いていた。

「何でっ…………みんな死んじゃったんだよ!?何でですかっ!?みんな……みんなあんなに頑張ったのに……!?」
「私に言わないでよ!?私だって納得していないんだから!?」

 この後、二人は落ち着きを取り戻し、椅子に腰かけた。

「で、僕はこの『マブラヴ オルタネイティヴ』の世界が転生先という事ですか?」
「そういう事になる。行ってくれるかい?」
「行きます!いや行かせてください!BETAを皆殺しにしてきます!」
「それは心強いね!あんなクッソタレ共なんていkている価値なんてないからね!いっぱいぶっ殺してくるんだ!」
「わかりました!………で、テンプレ的に言うと能力とかはいただけるのでしょうか?」
「もちろん!もう決まってあるよ!」
「え!?自分で決めれないんですか!?」

 普通に自分で決めれると思っていたのでショックを受ける青年だったが、男性は説明を始めた。

「君に与える能力は、一つ目!君が大好きなガンダムの知識、技術すべてを与える!」
「……………モビルスーツに乗れるの?」
「君が、いや”君たち”が造り上げれば、ザクだろうがガンダムだろうが∀ガンダムだろうが乗れるよ!ただし!造れればの話だからね」
「わかりました。次は!」

 納得した青年は説明の続きを促す。

「二つ目!”君たち”の生まれる家はお金持ち!プラス!親は親バカなので多少の駄々はまかり通る!」
「なるほど!モビルスーツを造る資金はあるという事ですね!」
「そうです!三つ目は、君の身体能力を強化しておきます!」
「どれぐらいですか?」
「強化人間ぐらいですね。ですが君自身が努力すればニュータイプになれる可能性があるので、頑張って修練に励んでください!」
「はい!」

 生まれた瞬間から強化人間クラスの身体能力を貰えることは戦闘するにあたって有利だし、努力次第ではニュータイプにもなれるとなれば、青年にとってはとてもうれしい特典だ。

「最後は、助っ人を何人は送ります」
「助っ人?その人たちは僕の命令を聞くんですか?」
「いえ。この助っ人たちも、君と同じ転生者なので、絶対服従とかはできないです。まあ、一人ではないという事ですね」
「なるほど…………分かりました。それで一つ質問していいですか?」
「何です?」
「もちろん前世の記憶、ここでの記憶は継承されますよね」
「されませんよ」
「……………………もう一回言ってもらっていいですか?」
「記憶は一切継承されません」
「………………………」















「なんでですかぁぁぁぁぁぁ!?」
「アウチッ!」

 青年は叫びながら男性を殴った。

「なんで記憶が継承されないんですかァァぁァァァァァ!?」
「いえ、これには理由があってだね?」
「どんな理由ですかァァァァァァァ!?」
「私がやるのは、ただの輪廻転生。私には、ネット小説のようなテンプレなんて都合よく出来ないよ」
「…………そうなんですか?」
「そうなんです」
「…………殴って申し訳ありませんでした」
「いや気にしてないよ」

 青年は殴ったことを頭を下げながら謝罪したが、男性は笑顔だった。

 殴られた頬を抑えてはいたが…………











 その後いくつかの説明と確認を終えると、青空だった空は、美しい夕日になっていた。

「他に質問はないね?」
「最後に、先ほどから”君たち”と言っていますが、僕とその助っ人の人たちの事を言っているんですか?」
「いや、助っ人とは別だよ」
「じゃあ、僕と誰の事を言っているんですか?」

 水平線にゆっくりと沈んでいく夕日を眺めながら男性は言った。

「”君たち”とは、君ともう一人の君の事を指しているんだよ」
「………………すみません、何を言ってるか理解できないんですが?」
「君を二人にして転生させる。これなら分かる?」
「………なんでわざわざ二人にするんですか?一人の方が動きやすいのでは?」
「もし一人だったら、死んでしまったらそれで、終わってしまうじゃないか。二人なら片方が仮に死のうが、もう片方が生きている。生きていればモビルスーツも造れるし、戦える」
「でも、僕ではないんですよね?」
「君ではないね。君と言う存在はここで消えてしまうからね。転生した後はその世界の”君たち”に任せるしかないよ。ちなみに”君たち”は双子、兄弟、姉妹、兄妹、姉弟として生まれるかもしれないし、ただの赤の他人同士として生まれるかもれないので、そこは頑張ってくれ」
「頑張るって言っても、それは次の僕に言ってくださいよ………」
「そうだったね」

 そういう会話をしている内に夕日はどんどんと沈んでいき、あと少しで完全に沈むところまで来た。

「もうそろそろだね」
「そうですか………色々とお世話になりました!」
「うん。頑張ってBETAどもを皆殺しにしてきてくれ!地球と人類の為に!」
「はいっ!一匹残らず皆殺しにして、みんな笑顔のハッピーエンドにしてきます!」

 青年は深々と一礼し、夕日が完全に沈み、闇に包まれた。










 青年が往ったことを確認すると、男性は呟いた。

「強化しすぎたかな?これはこれで困ったなぁ~」

 困った、困った、っと口では言っているが表情は晴れ晴れとしたものだった。










「さあ、頑張りたまえ青年諸君。第4計画が成功するのも、第5計画で人類が滅ぶのも……………………君たち次第だ」 









「それとも原作を盛大に崩壊させて、ハーレム作ってもいいんだよ?」










「全て、君たち次第だ」

 そう呟くと男性は、闇の中へ消えていった。





 
 

 
後書き
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