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とある科学の裏側世界(リバースワールド)

作者:偏食者X
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second contact
  ep.042 第1翼 共鳴する者達

子規の治療を終えた飛鳥は先ほど悠持と仁が向かったルートとは別の入り口に入っていった。
どこに続いているのかも分からないくらいに先は真っ暗で少しの光も差し込まない。
そんな中、モヤモヤと何かが反対側からやって来る。
人魂を思わせるような青い炎だった。

飛鳥はそれを見て「やっぱりか」という表情をしてその炎のあとに続いた。
実は飛鳥がこのルートを選んだのは単なる偶然ではなく、1つの理由が存在した。
飛鳥の持つ能力、不死火鳥(フェニックス)は他にも命廻天翔(フェネクス)理論不死(フェネシス)という同一だが別の能力が存在する。

それぞれが不死鳥を象徴する能力を偏った形で持っていて、実力としてはどれも拮抗している。
中でも飛鳥の持つ不死火鳥(フェニックス)は"火を操る"能力を強く引き継いでいた。

そして何より、この3つの能力は1つの存在を分割されて受け継がれたため、再び1つになろうと互いに惹かれ合う性質を持っているのだ。

『この先に俺の獲物が待っているわけか。』

飛鳥は静かにテンションを上げる。
何故なら飛鳥は既に体内に不死鳥の能力を3分の2、宿しているからだ。

青い人魂のような炎はそのまま広場に導く。
そしてシュルシュルと消えた。
すると、まるで屋敷の仕掛けのように広場の端に灯りのように青い炎が発生し、どんどん奥へと進んでいく。
そして奥に立つ一人の青年の姿が見えた。

「久しぶりだな桐崎。」

「名前すら知らない奴と久しくした覚えはないが?」

飛鳥が煽る。
すると青年がその煽りに答えるように自己紹介をする。

「そうか、なら名乗ってやる。 俺は鬼立 修冴(きりゅう しゅうご)。」

修冴は手のひらを上にして炎を出す。
そこからは青い炎が出現する。
飛鳥はその演出が何を意味していたのかを理解した。

「そんなアピールがなくてもお前の能力くらいは把握してるさ、同種の臭いを辿って来たんだからな。」

すると修冴の表情が狂気な笑みに変わった。
背中から青い炎の翼を展開させ飛鳥に襲い掛かる。

「き〜り〜さ〜き〜、フェニックスをよこせ!!」

青い翼から火の礫が発生し、飛鳥に向かって飛ぶ。
礫の1つ1つが鳥のような造形になり、舞うようにあらゆる方向から飛鳥を狙ってくる。

炎の1部(ファースト・フレイム)。」

すると飛鳥も赤い翼を展開させ、そこから赤い炎の翼が飛んでいく。
赤い礫は鳥のような形になると、修冴を狙うのではなく修冴が飛ばした礫を狙って飛んでいった。

炎の1部(ファースト・フレイム)。」

2色の礫は相殺し、互いにダメージは負わなかった。

「同一の能力なら相殺し合うのは猿でも分かるような結果だ。 加えて俺は2羽の不死鳥を宿している。 必然的に俺の勝ちは決まったと思うんだが?」

飛鳥は再び煽る。
その意見はどうしょうもないくらい正論で、正直修冴に勝ち目があるとは思えなかった。

「うるさい奴だな。 真剣勝負に言い訳を付けるのは"弱者の負け惜しみ"に過ぎない。 それなら俺の一撃で潔く果てやがれ。」

修冴から発生する青い炎がより一層ギラギラと光る。
その光景は修冴の行き場のない憎悪がそのまま炎として具現化しているようだった。

「何がそこまでお前に憎しみを与えた。 objectを作るに至った理由はなんだ?」

飛鳥は質問する。
修冴は止めどない怒りから震えるような声で話す。

「そんなもの.....学園都市以外に何がある?」

修冴の出す青い炎が少しずつ黒味がかってくる。
憎しみが強過ぎて炎の有り方まで歪め始めていた。

地上(うえ)の奴らは知らない。 存在を消せれてしまう恐怖や絶望を、どれだけ地上に憧れても俺たちにそこで暮らす権利はない。」

修冴が言葉を放つたび炎はより黒くなっていく。
飛鳥はハッとした。
学園都市への恨みは飛鳥にも少なからずあった。
しかし、それはstudentでの生活によって忘れられつつあったのだ。

『そうだ...コイツはstudentに入る前の俺だ。』

「お前みたいな甘っちょろい平和主義が、学園都市への恨みを忘れた奴が俺の前に立つな!!」

修冴は激情を飛鳥にぶつける。
不死鳥を体に宿す彼らはすでに概念的に"人間"ではなく、"人間であった物"になっている。
たとえそうなった理由がどうであれ、彼らほど救われない境遇もないだろう。

不死鳥の2部(セカンド・フェネシス)!!。」

修冴の体は青黒い炎を纏い。
右手には真っ青に燃え盛る剣が握られている。

「煉獄すら凍える()き炎。 俺の意志となりて、目の前の弱者を斬り伏せろ。 」

先ほどの激情は終わり、スイッチが入ったかのように突然静かになった。
フィールドは所々炎が発生しているにも関わらず、温度は一層下がっていくようだ。
研ぎ澄まされた殺意は周辺の空気にすら影響を出す。

「ここからが本番だ! 桐崎飛鳥!!」
 
 

 
後書き
セカンド・フェニックスに関しては
呼び方も違う能力なので
所持している不死鳥の名前を使うことにしました。
故のセカンド・フェネシスです。 
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