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怪獣の来訪

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第四章

「こけてもぶつかってもな」
「歩くのよ」
「すぐにそうなるのにな」
「そうなのよね」
「こんなのか?赤ん坊って」
 翔平はリビングでこけて泣いてだ、美紗子があやしている息子を見つつ妻に問うた。
「やっぱり」
「どうかしらね」
「立って歩くの早いと思うけれどな」
「それでもね」
「すぐにぶつかってこけて」
「泣くから」
「見ている方は大変だな」
「お外に出た時はね」
 その時のこともだ、美紗子は夫に話した。
「いつも目を離してないわ」
「ああ、それこそ目を離すとな」
「何処に行くかわからないし」
「誘拐されたり車とかにはねられた」
「そう思うだけで怖いから」
「そうだよな」
 本当にそう思うとだ、勇人もだった。
「やっぱり」
「あなたもでしょ」
「当たり前だろ、それこそな」
 まさにとだ、勇人も即答した。
「少しでも目を離してな」
「何かあったら」
「そう思うとな」
 それだけでというのだ。
「後悔先に立たずってな」
「言うから」
「俺もそうしてるよ」 
 翔平を連れて外出する時はというのだ。
「絶対にな」
「パチンコに行って車の中に置いてとか」
「そんなの馬鹿がすることだ」
 勇人は一言でだ、そんな親を切り捨てた。
「大体パチンコなんてな」
「お金を捨てるだけね」
「ギャンブルなんてそんなものでだ」
 そしてというのだ。
「子供置いてくなんてな」
「車の中にね」
「そんなのな」
 それこそというのだ。
「絶対に駄目だ」
「そうよね」
「というか本当にな」
「子供からはね」
「目を離せないな」
「ええ、何があっても」
 美紗子は夫にあらためて言った。
「歩いている時もね」
「手をだな」
「離さないわ。だからね」
 こうもだ、夫に言った。
「おトイレの時もよ」
「ひょっとして」
「そうよ、おぶってね」
 そうしてというのだ。
「入ってるの」
「大変だな」
「だから一時もよ」 
 トイレの時すらというのだ。 
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