鉄仮面
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第三章
「有名な監獄があるわ」
「手紙そこからじゃないの?」
「その牢獄から?」
「しかも十七世紀のお話よね」
「ええ、そうよ。
「鉄仮面その時代の人じゃない」
ルイ十四世の時代に囚われていた謎の囚人である、実在人物でありデュマ等多くの作家が題材にしている。
「そのまま当てはまるわよ」
「そういえばそうね」
「そうでしょ、つまりね」
「その手紙は鉄仮面が書いたもので」
「助けを求めて監獄から外に出したんでしょうね」
「それをご先祖様が拾ったのね」
「そうじゃないの?」
友人はマルグリットに怪訝な顔で話していった。
「それでね」
「手紙のことを知った監獄の人達が血相を変えてね」
「手紙を回収しようとしてご先祖様に会ったのね」
「その偉い人多分監獄長かそうした立場の人よ」
「偉い人の中でも」
「相当に偉い人だったのよ」
そうだったのではないかというのだ。
「鉄仮面のことを任されているね」
「誰に任されているか」
「ルイ十四世でしょ」
当時のフランス王である彼にというのだ。
「鉄仮面の話は有名でしょ」
「ええ、王様の兄弟かもってね」
「言われてるから」
「その手紙も」
「そう、鉄仮面が書いたのならね」
「相当なことが書かれていたのね」
「そうだったと思うわ」
実際にというのだ。
「そしてあんたのご先祖様が読んだ手紙の中身にはね」
「まさか」
「鉄仮面が助けを求める内容を書いていたら」
「鉄仮面の身の上もなの」
「書いていたんじゃないの?」
「ご先祖様はそれを読んだのね」
「その可能性は高いわ、そしてね」
友人はマルグリットにさらに話した。
「だから詰め寄られたのよ」
「鉄仮面の真実を読んだのかどうか」
「けれど読めなかったから」
「命拾いしたのね」
「そう思うと二重に運がよくない?」
「命拾いして読めなかったとはいえ鉄仮面の真実を見て」
文章に書かれているそれをだ。
「それでなのね」
「そう、読めなくてもよ」
「それを知られたって凄いわよ」
他の友人達も言う。
「今も尚正体は不明だし」
「果たして誰だったのか」
このことは本当にわかっていない、諸説あるがはっきりと誰であったか知る者は現在では一人も存在していない。少なくとも表で出る限りは。
「助かったしね」
「余計に運がいいわよ」
「そうね、少なくともご先祖様の運がよくなかったら」
マルグリットはあらためて言った、友人達の言葉を受けて。
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