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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  最終戦、決死



まるでスノーボードのようにバイクに立って乗る蒔風を、フェイトとファイズが追って行く。

さらに後方からは、漆黒の羽を乗せたバイクの音も聞こえてきた。

《Exceed Charge》




ファイズフォンが鳴る。
蒔風へと真紅のポインターが放たれて、ファイズがクリムゾンスマッシュの標準を合わせた。


蒔風は走行中なのだが、そのポインターは蒔風にぴったりと張りつき着いて来る。



「チッ・・・・」

「ウオリャァ!!!」



蒔風が舌打ちをし、ファイズが雄叫びとともにキックを放つ。


が、それはポインターにファイズが突っ込んだ瞬間に蒔風の右裏拳で弾かれ、後方へと吹っ飛ばされた。



その反動で蒔風のバイクが独楽のように回転して、それでもなお先に進んでいく。




そこからバイクに跨り直してそれを立て直そうとする蒔風。
しかし、跨る直前にフェイトが現れてザンバーを振るって蒔風の胴を狙ってきた。


それを咄嗟の跳躍で回避する蒔風。
その蒔風を追って、フェイトがバルディッシュをツインソードに分けてその片方を投げ放ってきた。


それを弾く蒔風だが、バルディッシュの二刀は魔力糸でつながっている。
フェイトが引き戻してそれを握り、蒔風を一切宙からに降ろさぬように上に向かって攻撃を仕掛けていく。



その後方では吹き飛ばされたファイズが、ミッションメモリーを取り換えてアクセルフォームへと強化変身をしていた。

《Start Up》

そしてバトルモードになったオートバジンに拾われてその肩に乗り、そこを土台にすぐさま飛び出していく。
その後方からバジンもすぐに追い、機銃での援護射撃をはじめて行った。



「!!!」


それを視認した蒔風は、フェイトのザンバーを左肩で受けて肉に食い込ませ、筋肉を絞めて抜けないように奪い取った。


「な!?」

「一本いただき・・・・っと」



フェイトもここまでしてこっちの動きを封じてくるとは思わなかったのか、その行為に驚く。


確かにどうせ使えないものとはいえ、こうも簡単に自らの肉体を囮に使うなんて・・・・!!!



そこから蒔風が上体を返して左肩を引き、フェイトの体を引っ張り込んだ。
そうしてこちら側に来たフェイトの体を躱して後ろに回り込み、両足でキックを放って天井にたたきつける。

左肩から剣が抜け、その一撃にまるで地面を転がるかのようにフェイトが天井を転がり、地面に落ちて膝をつく。


だがまだ意識はあるようで、ファイズに抜かれてから、頭から血を流しながらも、超スピードその先を追っていく。





フェイトをけり上げた直後、ファイズが蒔風に到達してチャージしたナックルを放って来た。
それを翼を使ってのバックステップで回避し、地面に足を付けようとした。


が、そこにバジンの機銃が襲い掛かかってきたのだ。


翼で体を包んでそれをガードする蒔風だが、その隙にファイズが蒔風のバイクに飛び乗ってそこからファイズフォンでのブラスターを浴びせてきた。
すでに時間は過ぎ、通常フォームに戻ってはいるが問題はない。


現在、蒔風にとっての前方(進行方向から見ては後方)からバジンの銃撃が放たれており、蒔風のバイクはその少し先を行っている。
ゆえに、翼を前に回して防御しているために今の蒔風は後ろが無防備なのだ。


そこにそれを放たれ、三発ほど命中して蒔風が揺れる。


その瞬間、フェイトが再び追いついて二刀流を駆使して蒔風へと切りかかってきた。




それを「風林」を使って片手ながらも二刀扱うという手法で防いでいく蒔風。



が、その合間に入れられた蹴りが腹にめり込み、
蒔風が後ろ向きに転がっていきバンッ、と地面を大きく撥ねた。


そこを狙って、挟み込むようにしてブラスターや射撃魔法を放つファイズにフェイトだが、こんな状況でも見えているのかがむしゃらに振るっているだけなのか、くるくると回転する蒔風はそのまま「風林」や翼でそのすべてを弾いていった。


そうして着地地点はファイズの立っている蒔風のバイク上。


しかしあの動きでは、いかに蒔風でも空中での制御などできるはずもない。
蒔風がバイクに落ちてくる一瞬前に、バジンがその間に入って蒔風を殴り飛ばそうとその鋼鉄の拳を放ってきた。


ドムンッ!!!



重々しい音がして、蒔風にその拳が確かに命中した。が、蒔風の体は飛ばない。

腹部に力を込め、それをあえて食らって、そして弾き飛ばされないようにこらえたのだ。



直後、蒔風が剣を振るってバジンを上下に切り分けた。



火花を散らして落ちていくオートバジン。
その蒔風の後方からファイズが掴みかかってくるが、まるでそれを知っていたかのように、その伸ばされてきた腕を掴んで後方に回り、蹴り押した。


その結果ファイズは切り裂かれたバジンの上と下の間に挟まれ、そのまま爆発に巻き込まれる。


「巧!!・・・舜!!」

「いちいちキレんな。カルシウム足りてないんじゃないのか?」



ファイズがやられ、フェイトが叫ぶが蒔風は全く意にも介していない。


しかし、蒔風はまだそのバジンの煙を宙で見ていた。




いまだカード化の光は発されていない。




そして蒔風がバイクに着地、跨った瞬間バジンの残骸から真紅のシルエットが飛び出してきて、一気に追いついてきた。


背中のブースターで飛び出してきたそれは仮面ライダーファイズブラスターフォーム。
その手にはファイズブラスターソードモードが握られていた


それを肩越しに確認し、蒔風がバイクを反転、向かってくるファイズに向けて逆走を始めた。



そのいきなりの行動にフェイトが多少行き過ぎ、急いで進行方向を変えてその後を追い直す。






ファイズとしては向かってくる蒔風をカウンター、最悪相打ちの形でも打ち取ってやるといった覚悟だ。

しかし、それに対する蒔風はファイズの動きからタイミングを掴もうと睨みつけるだけだ。
こちらに覚悟なんてものはなかった。


しかし―――――







ファイズが蒔風へと一直線に飛び、腕に力を込めていく。

そうして交差まであと二十メートルのところで、蒔風が行動を起こした。



一瞬の勢いでトンネルの壁を走り、そのまま天井まで到達してバイクを再び反転、方向を戻して真下の(蒔風にとっては頭上の)ファイズに向かって剣を突き立てた。



完璧に交差するつもりだったファイズはその視界外からの攻撃をもろに食らい、背中には「風」が突き刺ささる。
そのまま蒔風はファイズの背中に乗りボードのように踏みつけた。


ファイズの体が地面に削られ、火花を散らし、そこに天井、壁をグルリと回って地面に降りてきた蒔風のバイクがやってきて、蒔風がファイズの頭を踏みつけて跳躍、バイクに跨った。
踏みつけられたためにファイズの顔面は地面で削られ、コンクリートで舗装されたトンネルの車道をガリゴリと抉る。


当然、そこまで強烈な衝撃に耐えられるほどマスクは強くなく、砕け、勢いに首があり得ない方向を向いて曲がり彼の体が光と消えた。






「な・・・!?」

「最終フォームになったからって、調子乗ってんじゃねえぞ」




「風」を収め、バイクに跨ったままの蒔風がフェイトの攻撃を回避しながら先に進む。
もはや走っている地面は舗装されたコンクリートだけではなく、壁や天井をも利用しての壮絶なカーチェイスとなっていた。


そこに




「ファイガッッ!!!」




ドォン!!!!





クラウドの放ったファイガが蒔風のバイクに命中、爆発した。
その直前にジャンプしてバイクから離れていた蒔風は無傷だが、そのジャンプ直後にフェイトがバルディッシュを大剣型にして腰を返し、バッターが振りかぶるかのようにそれを胴体に向かって振るってきた。


それに対し、蒔風が一瞬で左腰の「風」を握って交差した瞬間に居合い抜く。



ジュカッ・・・!!



という刃物の鋭い音がして、刃がまるで音叉のようにリーン・・・と鳴っていた。




バキン!!




「ッ!?」

「あっぶな・・・」



そして、バルディッシュザンバーの金色の魔力で形作られた刃が切り裂かれていた。



上半分丸々切り裂かれ、パキリ、と儚い音を出してそれが落ちていく。




しかし




「再変換!!プラズマランサー!!」

「なっ!?」




その裂かれた刃が空中で形を変え、金色の弾丸と化して蒔風へと真っ直ぐに疾駆して来た。
それをいなし、後ろに流す蒔風だが、その弾丸は蒔風の後方で停止、ぐるりと転換して再び突貫してきた。


更にはクラウドがバイクから飛び出して蒔風へと斬りかかって来る。



「な・・・・ク、ソッ!!!」



その弾丸を蒔風が獅子天麟の面で受け全てを耐えきり、クラウドからの剣を相手の手首を蹴りあげることで逸らし回避していた。



が、それでもクラウドはもう一本の腕で剣を振るって蒔風へと振り下ろす。
それを獅子天麟で受け止める蒔風だが、その衝撃に二人一緒になって地面へと独楽のように回転しながら落下して行った。


ドォン!!


そして、着地。



その勢いに蒔風の膝がガクリと曲がり、回転を押し殺そうとしているためミキミキと骨がうねった。


「くっ、オオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」



が、そこから蒔風は屈伸してしまった足を伸ばし一気に跳躍。
クラウドと共に再び回転しながら、巻き戻しのように天井へと突っ込んで行った。


「斬演武単撃・螺旋ッ!」

「画竜点睛!」


ドゴッ、ごガァッ!!


そしてその回転をそのまま攻撃に利用し、二人の翼人が一気に上昇、天井を突き破っていってしまった。





その先にあるのは先ほどと変わらぬトンネル内。
が、今度は天井と道路だけで、左右にあるのは壁ではなくいくつかの鉄骨だ。


おそらくは階層別にされたハイウェイが集まってくる地点にまで来てしまっていたのだろう。



穴を突き抜け、バチィ!!と二人が弾けて地面に着地する。



が、その直後蒔風の足元がうっすらと金色に光り、そこから大剣の刃が斬り出てきて、蒔風を一刀両断しようと横断した。


それを横に回避した蒔風。
そこにクラウドが剣を構えて突っ込み、道路に出来た切れ目からフェイトがフェンリルに跨って飛び出してきた。


先ほどの金色の刃はおそらく、フェイトが下の階からザンバーを振るってきたものだ。



そのフェンリルにクラウドが飛び乗り、フェイトが後部に立つ。
フェンリルが突っ込んできた衝撃を流そうと後ろに跳躍した蒔風は再び進行方向へと翼をはためかせて飛び出して行った。



その後を追うバイク。



射撃魔法や剣撃が飛び交い、蒔風が翼を小さく畳んで更に速く飛んで行く。
抵抗を減らしたのだ。身体を真っ直ぐにし、ロケットのように先に向かって飛んでいた。



その蒔風へとフェイトがフェンリルから飛び出していって今度はツインソードで切りかかって行った。


その双剣に対し、蒔風が獅子天麟を「獅子天」「麒麟」に分けて指で挟んで片手に二刀持つ。



そして片方を宙に放り投げ、まず麒麟で攻撃を受けた。
直後、麒麟から手を放して放った獅子天をキャッチ、フェイトへと斬りかかる。


それをもう一刀で受けて麒麟に押し当てていた方を蒔風へと振るう。


現在麒麟はフェイトが蒔風に斬りかかっていたから押さえつけるかのようにそこにあっただけで、そう離されては落ちるだけだ。


しかし、蒔風はこの程度で剣を落とさない。


麒麟の柄の先を足の甲で拾い、脛に麒麟を当ててフェイトの剣を受けたのだ。


左手の使えない状況ながらも、この男は二刀流を操る男・・・!!


「・・・強い・・・・!!!」

「ただの小手先だ」



そうつぶやき、空中でありながらもフェイトの身体を巴投げのように後ろ(実際には進行方向)に向かって蹴り出し、蒔風のその動作の隙に斬りかかってきたクラウドをバイクに弾き返し、そのバイクを狙って獄炎砲を放った。


その直撃を、バイクに戻されたクラウドがハンドルを切って避けるが、道路の方はそうもいかない。
コンクリートが砕け、道が消える。


その瓦礫の中をバイクに跨ったクラウドは回避、着地するも別路線の道路に乗ってしまって直後に姿がトンネル(山の中ではなくチューブ状の道路)に消えてしまった。



と、直後に蒔風とフェイトもトンネルの中へと入った。



相手は一人。


ならば、確実に潰しうる方法が一つある!!



心象的(イマジナリティ)・・・・」

「干渉成功。空間断絶を実行する」

世界破(ワールドエン)・・・な!?ッ、ゲボッ!!」



しかし、その方法たる固有結界は発動しなかった。



蒔風がその名を叫ぼうとした瞬間、それに割り込んできた声の主によって固有結界が阻害された。


そうなれば当然反動は術者に帰って来るし、このような強力な物ならば反動は強い。



血を吐き、それでも天井を蹴って飛翔、更に加速する蒔風。


すると、地面を高速で走る一人の少女を発見した。
フェイトではない。フェイトは今自分の少し後方だ。


その姿は、はかなげで、それでいて今ははっきりとした意志を持った「宇宙人」だった。




「長門・・・・!!!」

「目標の排除、開始」



ダンッ!!



長門が飛びあがり、一瞬で蒔風の真後ろにまわり後頭部を手刀で強打した。
その衝撃に蒔風が地面スレスレにまで落ち、ギリギリで体勢を直した。


そこに放たれるさらなる射撃魔法。






その弾幕を長門がまるですり抜けるかのように蒔風へと切迫し、その体を羽交い締めにしてきた。




「!? このッ・・離せ!!!」

「今」




長門が呟く。

と、そうしていると蒔風の視界に外の光が見えた。
どうやらチューブの出口らしい。



が、そこに一人の姿が見えた。




遠く、そして外からの光の逆光でよく見えないが、そのシルエットを見るに手には銃を握り、腰から何かを取り出して装填していた。



「まさ・・・か・・・!!!」




《ATTACK RIDE―――GEKIJOUBAN!!》





その耳に、確かにはっきりとその音声が聞こえてきた。



直後、その姿を中心に、更に八人の姿が現れてきたのだ。




ガチャ・・・
《Final Vent》
《Exceed Charge》
《MIGHTY》
オォ――ドン!!
《Maximum―Rider―Power》
《ウェイクアップ!》
《エターナル!マキシマムドライブ!!》

《Final Attack Ride―――DI DI DI DIEND!!》





「っ!?ディエンドコンプリート・・・ッッ!!!」



ドドドドドドドドドドンッッ!!!!





身動きの取れない蒔風に、計九人分のライダーの技が叩きこまれていく。


回避しようにも受けようにも、長門が羽交い締めにしていて動けない。




そうして、蒔風が地面に落ち、総攻撃が命中する直前に長門の拘束が解けて、彼女がフェイトに担がれているのを蒔風は見た。



「このッッ!!!」






ドォオオオオ!!!!






そうして大爆発が起き、トンネルの出口は粉砕された。



地面までは吹き飛んでいないが、出口付近の天井と壁は完璧に落ちた。





これで終わるといい・・・・




ディエンドがそう思いながらも、瓦礫を見続けた。




嫌な感じは、おさまってくれない。







to be continued
 
 

 
後書き


とまあ、またBattleでしたが・・・・


「発音無駄にいいな、おい」


あのバトル、イメージしていたのは完璧にFF7ACのバイク戦です。

なんで彼らはあんなに空中で流れるんでしょうね?って言うのは前にも書いた気がする。
そんな感じでイメージしていただけると幸いです。


今回のトンネルも何かをくりぬいて、というよりはチューブ状のハイウェイのようなものだと思ってくれれば・・・・



「誰か絵を書いてくれればいいんじゃねェの?」


書けん。
棒人間が精一杯じゃ。


ちなみに、ディエンドコンプリートフォームは今回初めて出しましたが。出てきたライダーはお分かりでしょうか?


あの効果音順に・・・・

G4、リュウガ、オーガ、グレイブ、歌舞鬼、コーカサス、アーク、エターナルです。

エターナルに関しては勝手な想像なのですが、ディケイドの方も電王が更新(ライナーから超クライマックスに)されていたので、こうしました。


一瞬「この場合はコアじゃないのか?」とも思いましたがエターナルで行きました!!
かっこいいもん!!嫌いじゃないわ!!



「おっしゃるとーりだわー(棒読み)」




「次回、ディエンドの最高の攻撃に一体蒔風は・・・?」

ではまた次回




リスト残り


長門有希
クラウド・ストライフ
海東大樹
フェイト・T・ハラオウン



コンディション

左腕使用不可。

体力値:53%


 
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